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今のところ9月14日以前に斉藤検察官の説明が行なわれたという痕跡は見つかっていない。 検察も「○○日に出頭している」とははっきり言っていないし、検審事務局も「出頭要請書」の月日を公開していない。 どちらかが「出頭を要請した月日」を証拠文書で公開すれば、それで済む話なのだが。
いちばん単純に考えれば「9月14日以前には検察官の説明はなかった」の結論になる。 ちゃんとやっているのであれば、出頭日を秘匿する「理由がない」からだ。 審査員個人の保護とはなんの関係もない。 審査内容(個人の発言等)とも関係がない。 それでも秘匿し続けているということは、表に出せない「理由」があるとしか考えられない。
それで思考実験をやってみたいと思う。 9月14日以前に検察官は説明に行ったとして、逆に手順を遡るのである。 当日になって「出て来い」と言ったとしても、「はい、それでは」と他官庁が俊敏に応じるはずがないのは、役場の窓口に行ったことがある人なら分かるはずだ。 小さな役場内でさえそうなのであるから、司法(検察審査会)と行政(東京地検)の距離が如何に遠いかは、建物の近さとは関係ない。
最低でも「一週間前に文書で」お伺いを立てないと、「寝ぼけてんじゃねえよ!」と言われるのがおちだ。 つまり一週間前には「東京地検側」に文書が届いていないとアウトだ。 それでは思考実験を始める。 議決日は9月14日、検察官の説明出頭日も9月14日と仮定する。
審査員の旅費請求日などから判明している2回目の「審査日」は次のとおりになる。
@7月13日(1群+2群の審査員)
A7月27日 ↓
B8月 4日(2群+3群の審査員)
C8月10日 ↓
D8月24日
E8月31日
F9月 6日
G9月14日
合計で8回の審査を行なったと「審査事件票(表題もなく急ごしらえ)」に明記してある。
それでは9月14日の一週間以上の前の日とは、いつの審査会を指すのであろう? 9月6日がそれにあたる。 つまり9月6日には「起訴議決をする」の方針は決められていなければならない。 でなければ検察審査会長は東京地検に対して「検察官の説明を要請」することはできない。
すると疑問がひとつ起こる。 検察審査会法・第35条には「検察審査会の要求があるときは」いつでも検察官を呼び出せる、と書いてある。 9月14日より前に「検察官の説明を受けていた」ということはないのだろうか? しかし、仮に受けていたとしてもこの「説明」は検察審査会の方針が決まる前である。 最終的な弁明の機会を与える「第41条の6 2項」の説明とは性質が異なる。 だから「起訴議決をするときは、あらかじめ」検察官の説明を「もう一度でも」聞かなければならない、それが第35条があるにもかかわらず「第41条の6 2項」が明記されている意味であると考える。 「前に聞いたからいいだろう」ではないはずだ。
それでは9月14日に説明を聞き、9月6日にその出頭要請書を検察審査会長が作成したとしよう。 出頭要請書を作成したということは、それより前に「起訴議決の方針」が決まっていたということである。 つまり、遅くとも9月6日の審査会の時には「起訴は俺たちでやる」との意思を持った者が8名以上いることが確認できた、ということである。 それを元に審査会長が出頭要請書を作成したはずなのだから。
さらに遡って、8月4日〜8月31日の4回の審査会ですでにあらかたの資料の検討は終わっていた、ということになる。 1回目とはまったく別な審査員が、1回目よりさらに厚くなった資料類をもう一度最初から、1回目(3月9日〜4月27日の8回:審査事件票より)の半分の日数で検討を終えた、ということだ。 7月中の2回の審査会は8月当初に半分が入れ替えになっているから、実質は8月に入ってからの審査会が審査がメインになるのだ。
しかしこうして見ると、充分な審査をやっていたはずの2回目の審査会(8回開催)は実はかなり「慌ただしい」審査をやっていたことが分かる。 しかも8月中に3件の別件審査を議決しながらだ。 2群+3群の審査員の奮闘努力には頭が下がる思いだ。
ただし、審査員が「いた」としての話だが。
検察審査会法・第41条の6
2 検察審査会は、起訴議決をするときは、あらかじめ、検察官に対し、検察審査会議に出席して意見を述べる機会を与えなければならない。
第35条 検察官は、検察審査会の要求があるときは、審査に必要な資料を提出し、又は会議に出席して意見を述べなければならない。
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