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ヒロシマからフクシマへ ー文明の臨界点フクシマ
http://www.asyura2.com/09/dispute30/msg/667.html
投稿者 影の闇 日時 2012 年 8 月 06 日 21:08:20: HiXvZf/FmwPNU
 

ヒロシマは強兵の破綻、フクシマは富国の破綻ー即ち明治の「富国強兵」以来の(強力な中央集権体制によって近代化し、欧米の仲間入りをするという)近代化=文明開化路線の最終的な破綻を意味するーその意味で文明の臨界点critical pointに来ていることを意味する。

この文は昨年書いたものですが、今回、こちらに合わせて書き換え、又書き加えております。 まぁ、内容の一部に時事的な面でズレがありますが、大筋ではこちらへ載せる意味もあるだろうと考えました。  何となら、事故後一年以上経ち、フクシマ或いは原発(事故)について、その孕んでる問題の拡がりと深刻さにおいて他の何にも増して際立ってると感じられてるにも拘らず、それに応じた議論がなされてるようには見受けられないからです。
この阿修羅においても、折角、短足鰐さんから下記の貴重な提言が為されてるというのに、無知丸出しのコメントが一つ有ったっきりの、文字通りのナシのつぶて。

脱原発を完全に成し遂げるためにはイデオロギーが必要だと思う
http://www.asyura2.com/09/dispute30/msg/497.html


議論が拡がらないのは、イデオロギーをこのコメント氏の様に受け取っている人が多いからなのか?又は単に能力の問題なのか?
ー何れにせよ、結局は、問題とされるべきは何なのか?或いは、本当の問題とは何なのか?が解っていないからではないか? 

それは何故なのか?何処に原因が在るのか?そうして、本当の問題とはそれでは何か?
今回論じようとするのは、短足鰐さんの提言を私なりに受け止め、掘り下げたものですが、同時にそれは、そうした<視点>を踏まえたものでもあります。

元より科学について何ら専門的知見を有せず、加えて浅学非才を以て任ずる当方としては、こうした問題を論ずるのは余りに荷が重い。 専門外どころか、科学に無知なド素人が「科学の問題」について云々出来るのか?ー生兵法は知らぬに劣ると言うではないか、、、
しかしながら、フクシマを巡って我々が見せ付けられてるのは、「専門家」の「専門的知見」なるものが生兵法と何ら違わぬということではないのか? 我々が感じてるのは、言うならば藪医者に感じる不安、若しくは医者の診立てや診断といったものが全く信用出来なくなった患者にでもなったようなー茫漠とした不安でしょう。

とすれば、我々としては、徒に「専門家的知見」に拘泥するよりも、或いは「専門的知見」を駆使し、恰も医者の立場になって彼是診断するのではなく、斯かる我々に見合った、我々なりの議論の立て方や構えが在っていいし、在るべきだと思います。
そうしてそれは、<情報>に対してリテラシーである様に、批評的態度に如くはない。 「医者よりも、患者の側に批評精神はある」という小林秀雄の言葉に何程かの真実が在るとするなら、フクシマを巡る我々の置かれた状況からしても、批評であろうと思うわけです。
かてて加えて、上記のタイトルの如く、文明の臨界点critical pointであればこそcritic批評の出番であろうと。

無論、以上の事からして、「脱原発のイデオロギー」をここで言挙げしようというのではありません。
元より脱核(原爆・原発)のイデオロギーなり思想が重要であることに異存はありませんが、同時に(その前、或いは並行して)「核のイデオロギー」批判もそれに劣らず重要だろう、と思うのです。
先のウマシカコメントにも覗える様に、イデオロギーを左翼の専売特許と思い込み、「冷戦」の終焉と共にイデオロギー(の問題)も終ったと見做してる人がホントに多い。 本来であれば「イデオロギー対立」の時代にイデオロギー批判(吟味・探求)はあるべきで、最低でもその終焉時に徹底した批判(検証・検討)がなされるべきでしたが、「ソ連崩壊」という”想定外”の事態に、さながら事故後の原子力の専門家の如く、大半が口篭り、押し黙るー結果、F.フクヤマ流の「終焉論」に惑わされたまま、今日に至っている。 結局イデオロギーについても、イカにもアメリカっぽくバカっぽい「全体主義批判」の文脈で共産主義批判がカタられたこと、またソーカツされたことが今日の思想の衰弱と混迷に繋がってることは明らかなのに。

ここで「イデオロギー対立」について瞥見しておくと、私をして言わしむれば、イデオロギーの内実或いはそれ自体よりも、何故「イデオロギー対立」になったのか?の方が遥かに重要だと考えます。
http://www.asyura2.com/09/dispute30/msg/258.html
端折って結論から言うなら、成り立ちからして理念(イデオロギー)国家であるアメリカの世界への登極が無かったらソ連も在り得ず、従って「イデオロギー対立」という現象も起きなかったでしょう。 また「イデオロギー対立」についても、その教義なり内実に引き釣られることなく距離を置いて眺めれば、<自由主義>VS<共産主義>の対立とは、言うならば、大衆の時代における<イギリス経験論>と<ドイツ観念論>の対立であり、従って思想・イデオロギーから観た「冷戦」とは英独対立の延長戦でしかなかった※ーと私には思えます。

※英米と並べた場合、アメリカはより実践=行動主義(プラグマチック)な性格が強まり、従って、その長所は元より、欠点も又矮大化するだろうとは言えます。


このように観て来ると、左右に対する我々の批判の眼目は、西欧の(影響の)世界化を翼賛(妄信)したという処に求められるべきであり、本来「西欧にとっての問題」に過ぎないものを恰も「世界にとっての問題」であるが如く(吟味・検証することなく)言い募った点に在る、ということが分かるでしょう。

そうしてその点を押さえるならば、当然、冷戦以後の「アメリカ一人勝ち」の状況の中で、イデオロギー批判(吟味・検証)の矛先はアメリカそのものに向かうべきであることが分かるはずです。 また、「イデオロギー批判」という場合、核(科学)については取分け、本来その中心に見据えるべきは斯かる哲学的な視点であろう、ということも。 

「科学の党派性」を論じたのは戸坂潤ですが、フクシマを巡る対立は(ブルジョワとかプロレタリアートの様な)近代の枠内での「党派性」というよりもう少し大きな配置で観るべきであり、我々が自明の前提としている<近代>の認識論的布置そのものが陰画の様に浮び上がって来ているーように見えます。 わけても放射能を巡っての「科学的見解」の相違は、煎じ詰めれば<知の構え>の違い、政治にも刻印されてる英独対立が投影されているのでは?とも思えますが、ま、この問題に関しても専門外である当方としては、これ以上踏み込むことは止しておきましょう。

私としては、ここではそれ以外の視点で、これまで殆ど論じられることの無かった(正確に言うなら隠蔽されていた)イデオロギーや政治を浮び上がらせることによって、体制翼賛(原発であれ原爆であれ)の立場の不毛性及び不能性、又更に踏み込んで犯罪性を明らかにしたいと考えます。
何故なら、この問題は、その根幹に在る政治やイデオロギーを隠蔽することにおいて、「安全保障」の論議と同断だからです。

即ち「原発問題」と「普天間基地」を巡る「在日米軍」の問題は、前者が”エネルギー安全保障”後者が”軍事安全保障”と、一見別個の問題に見えますが、その何れも(ついでに言えば”TPP”も)アメリカの(世界)戦略と深く結び付いており、その意味でもイデオロギーと政治が絡まり合っておることで、更に斯かるイデオロギーと政治を(自明のものと見做して)隠蔽することによって、何が真の問題なのか?が全く見えなくなっているということでも、共通しております。 無論エネルギーも軍事も経済も、其々固有の問題が有りますが、固有の問題として論じるよりも、通有の問題として見直すことが却って理解の早道なのかも知れないーその意味で、通有の問題として、イデオロギーと政治の<視点>から論じることの方が個別の問題としても分かり易いのではないかーと思います。

端折って言うならば、「核のイデオロギー」を理解することは、優れて、政治を理解することである、逆に言えば、政治が解らなかったら<核>をー煎じ詰めれば科学(という問題)をー真に理解したことにならないのではないか?ーと、本質直観的に感じてるが故に、敢えて踏み込んだ考察をご披露することにしました。  

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