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「検察審査会の本来の業務は検察を裁くことである」ことは前投稿で述べた。であるから検察審査会と検察はどちらかというと敵対関係にあるはずなのだ、ということも述べた。このことを如実に現すのは次の例であろう。
その例とは、検察や警察の身内の不祥事に対して検察が「不起訴処分」を行なった時で、それに対して検察審査会が2度の「起訴相当議決」で応戦し、見事に容疑者を起訴した場合である。検察は面白くはないであろう。しかし検察審査会が独自に起訴する案件であるから、邪魔をするわけにもいかない。さてこの構図を踏まえて次を読んでいただきたい。
検察審査会は議決後に議決書を作成しなくてはならない。実際は審査補助員が作成するのだろうが。そして議決した審査員名は議決書に署名・捺印されて、その写しは『当該検察官を指揮監督する検事正』及び『検察官適格審査会』に送り届けられる。(第40条)
だから検察は審査員の名前を知ることが可能だ。もちろん検察官適格審査会の委員も全員この名前を見ることができる。実際、森ゆう子議員も名前を見たと言っていた。
検察審査会に対して不満を募らせている検察は「議決書の審査員名」を見てどう思うか。「ほぅ、素人にしてはなかなかやるなあ」と素直に感心するだろうか? 「どこのどいつだ、ちょっと微罪で締め上げて可愛がってやれ」とお礼参りモードに入るだろうか? 断っておくが、これは仮定の話である。検事はみな紳士であろうと私は思っている。
審査員名は議決書で分かっている。審査員の顔も検事の説明の時にすでに見ている。あとは検察と警察の捜査体制をフル動員すれば、審査員の住所を割り出すことなど朝飯前のはずだ。容疑者だった人物のお礼参りも怖いであろうが、こうした組織のお礼参りも恐怖である。
しかし検察審査会法では、国民に対しては「審査員の秘匿保護」で完璧にガードしているのだが、もう一方のドアは開け放たれたままである。公務員が「理不尽な行為」をするはずがないと考えたのか?
この仮説から二つのことが分かる。一つめは、検察審査会はかようにヤバイ案件には「不起訴相当」しか議決しないだろうということである。さわらぬ神にたたりなしだから。
もう一つは、審査会法は「審査員の保護」など真剣には考えていないということである。議決後になって審査員名が判明するのだからたとえ脅しても手遅れだ、はいかにも役人的考えである。それをいうならお礼参りそのものが手遅れの行為なのだ。やられるかもしれない恐怖は審査に影響を与えないだろうか?
ついでだが「審査申立人名」もこの時わかる。彼の身も同様に危険に晒されているといえるのだが、彼の名前は検察に「告発」した段階ですでに割れているから、少なくとも検察審査会法の責任は問われないだろう。
もし、一つめの推定に逆らって「起訴相当」を議決したのなら、素人審査員の度胸をほめてやるべきである。裏口から覗かれているのに堂々と着替えをしたようなものだから。でなかったら審査員は「何かに守られた」人たちだったのだろう。被告の親分である検察に正面から見張られているのに、ものともせずその身内を起訴したのだから。
もうひとつは単なる茶飲み話だが、たとえ捜索されても住所が判明しないよう「全員偽名」を使ったのかもしれない。どうせ「そんな審査員など存在していないぞ!」と検察が表立って異議を唱えることなどできやしないのだから。こうすればもう一方のドアも閉じられる。
《検察審査会法》
第40条 検察審査会は、審査の結果議決をしたときは、理由を附した議決書を作成し、その謄本を当該検察官を指揮監督する検事正及び検察官適格審査会に送付し・・・
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