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10年後の日本社会
今年は2012年ですから2022年がどのようになっているかを簡単に予想したものです。
2011年の311大地震後に予測されていたとおり首都直下地震が2015年10月に起こった。そのため、急激な円安になり、輸入物価高に見舞われた。化石燃料の輸入代金の支払いが巨額になったため原発再稼動という声が高まり、日本各地の原発で2016年から運転が再開された。ところがそのほぼ1年後の2017年10月東海地震が起こり、浜岡原発で過酷事故に至ったのだ。5号機のみが運転再開され他の4機は停止中だったがすべてが過酷事故を起こした。5号機が特にひどく圧力容器と格納容器がともに破壊され、内部で小規模な核爆発が起こったとされている。1号機から4号機はすべて核燃料の冷却がすでに放棄されていて浜岡原発一帯は単に立ち入り不可能な状況とされている。1時間当たり5シーベルトを超える放射能が御前崎市の浜岡原発近くでは事故後5年経った2022年現在でも計測されていて、誰も立ち入ることが出来ないのだ。
浜岡原発から東側半径150キロ、西側半径100キロ圏内は居住が禁止されたが、実際には100万人を超える人々が残留し、さまざまな形で生活を続けている。東側150キロに線引きがされたのは横浜や東京の大部分が圏外になるからだった。小田原はもちろん藤沢や鎌倉も150キロ圏内に含まれてしまったが150キロよりも狭くすることはあまりに無理があった。西側100キロも名古屋を含めないために決められた数値だった。
物価は高騰していて、しかもかなりの食料不足だ。太平洋戦争後は農家へ買出しに行く都会住民が多かったが今では九州や沖縄に農産物の買出しに行くことが大規模に行われている。ほぼ100%のインフレが起こっていて、年金受給者は生活苦にあえいでいる。政府は赤字国債を大規模に発行し銀行がそれを買うとその直後に日銀が銀行から国債を同額買い取ると言う政策がすでに2015年の首都直下地震のときから行われているが、今では年間の赤字国債発行高が150兆円を大きく超え、180兆円に迫りつつある。
2022年現在で、ガソリンは1リットル8000円から10000円していて市民が自家用車を使うことはほぼなくなっている。米は5キロが120000円から150000円、食パン一斤が7000円から10000円であり、缶コーヒーなどの自動販売機での販売はすでに禁止され缶コーヒー自体の製造がほぼされていない。
2022年現在、為替レートは1ドル5000円ほどだ。ここまで円安になっても輸出は回復していない。理由は国内の産業基盤が大地震と原発震災によって壊されてしまったためと電気代の高騰があるためだ。円安は輸出価格の低下というよりも化石燃料の輸入価格高騰を招いていて、電気代の高騰が産業基盤の衰退に一層拍車をかけている。
失業率は30%を超え、特に首都圏は40%を越えている。政府は食料配給を始めているが、政府支給の食料は放射能汚染されているといううわさが絶えることがない。
急激な人口減が起こり、特に若年人口が減りつつある。ほぼ2011年までは毎月出生数が8万人から10万人の間であったのに2015年ぐらいから7万人前後に落ち込み2020年ごろからは5万人から7万人の間を上下するするようになったのだ。
高齢者人口も減る傾向にあるがそれよりも働き盛りの30代から50代の人口で減少が目立つ。全人口で見たとき、毎月の死亡数は10万人から15万人の間に入っている。これは2011年以前と比べると1割から4割程度増加している。
国会移転の決定が2015年の年末にされ、国会は福岡県の博多へ移転している。中央省庁のかなりものが2016年の夏までに全国各地に移転したが、半分程度は以前のまま東京にとどまっていた。そこへ2017年浜岡原発事故が起こり、現在霞ヶ関の官庁はほぼ空になっている。皇居は京都へ移転した。
テレビキー局は2012年当時と同じ体制が存続しているが番組はほとんどが過去のものを再放送することで時間が埋められ、新規の番組はほとんど作られていない。ニュース報道の半分は政府提供のもので、広告も半分以上が政府広報で占められている。
復興途中であった福島県は浜岡原発事故が起こったために人口流入が起こり、主に会津地方を中心にして新規の住宅建設が続いている。
福島原発事故の影響はほとんど表面化していない。しかし、子供の甲状腺がんの増加は2015年ぐらいから表面化し現在でも学童期から20代の甲状腺がんの増加が続いている。動植物の奇形は数多く観察されていて、人間についても同様なことが起こっているはずだと言う指摘がされているが、政府統計としてもマスコミ報道としてもなんら放射能汚染の影響は示されていない。
東電は政府による国有化がされている。当初国有化に抵抗していた経営陣が2013年になって急遽国有化に同意したのだ。2022年現在、東電管内の大企業はほとんどが移転してしまってい、人口急減も進んでいるため東電は完全な営業赤字に陥っている。福島第一原発事故の賠償が重なりほとんど企業としての展望はない。今後国民の税金が10兆円単位でつぎ込まれるだろうと言われている。
2022年現在、新エネルギーはあまり普及していない。2012年7月に決められた再生可能エネルギーの買い取り価格と買い取り期間が太陽光以外あまりにも厳しいものだったからだ。ところが、2015年の首都圏直下地震で住宅屋根につけられた太陽光発電設備や神奈川県のメガソーラー施設のほとんどが故障してしまった。もともと太陽光のコスト高が指摘されていたが、首都圏直下地震後、コスト高にもう耐えられないという世論が起き、太陽光発電については買い取り対象からはずすことが2017年の春の国会で決められたのだ。2016年から地熱発電の開発がやっと進みだしたがすでに団塊世代が年金受給年代に入っていたため投資がなかなか出来なかった。更に2017年の再生可能エネルギー買取価格の改定でもあまり高い金額が設定されなかった。ただ、このことによって日本の電気代は高騰し、それが企業の海外移転を大規模なものしてしまった。その結果、たとえば放射能汚染の影響をあまり受けていない九州電力でさえ電力需要が低迷し、化石燃料の輸入代金の高騰とあいまって経常赤字に陥っていた。
「ちきしょう。こんなことになるんだったら10年前に辞めておけばよかった。」福島県庁企業局に勤める佐藤健一はつぶやいた。2011年の大震災と福島第一原発事故直後、福島県庁はパニックに陥っていた。しかし、そこへ「放射能汚染はたいしたことがない。安全だ。」と言う話がどんどんと出てきたのだ。危ないと言う話をしようものなら村八分にされるような雰囲気があった。しかも震災瓦礫処理の単価が1トン3万円から6万円、場所によっては10万円を超える金額が設定され、それがキックバックとして役所に入ってきていた。復興事業の資金も数億円単位で入ってきたためそれが福島の経済にバブルをもたらしていたのだ。ところが首都圏直下地震で様子がまったく変わってしまった。首都機能移転が言われ、それまで県に権限があったものがほとんど国の機関の県支部へ持って行かれたからだ。県の予算はどんどん減らされ新規採用はほぼゼロになった。5年前の浜岡原発事故が起きてからは、なおさら悪いことに給与や退職金の実質的な減額がどんどん進んでいた。ほぼ毎年100%のインフレなのに給与は60%も上がらなかったからだ。2012年当時と比べたら実質的な価値は5分の1程度になっていた。
おまけに家族はばらばらだった。妻は子供をつれて実家のある新潟へ戻っていた。自分が直接知っている親戚が40人ほどいるがその内の7人がこの5年で亡くなっている。4人は肺がん、1人が心臓麻痺、あとの2人が脳溢血だ。新しく生まれてきた子供は2012年以来一人しかいない。自分自身も疲れやすくなったと思った。特に視力が落ちていて小さい字の書類など読む気がしない。
阿川の顔が浮かんできた。中学の同級生だ。2011年当時東電に勤めていて福島原発の担当だった。阿川は事故が起こるとさっさと東電を退職し沖縄へ移住した。家族全員での移転で、沖縄の離島に農地を買い、サトウキビ栽培をしていると言う話だった。生活は厳しいが安心で健康な生活ができると何回か葉書が来た。ろくな仕事もない離島へ行く阿川をあまりに神経質だと思ったものだが現状を見るとあいつの判断が正しかったと思わざるを得なかった。
県庁では道州制になったらどうなると言う話が出ていた。国の支部が中心となり、その下へ地方自治体が付くのだが県庁の存在はいらないとされているのだ。州都にある州の役所と後は市町村の役所があればいいとされると言う。要するに国家公務員が県庁組織を乗っ取ると言うことなのだ。実際2013年からの新規採用はほとんど止まっていて戦後の高度成長期に大量採用された世代が退職した後の職員補充はアルバイトばかりだった。
それどころかもし九州にある原発や四国の伊方原発、若狭湾にある原発で事故が起こればもう日本は住めないだろう。こういったことが言われてはいた。自分もそのことは知っていた。でも現実に起こるとは思わなかったのだ。誰もこのことを真剣に話そうとはしなかった。時々東京に行くと街頭で原発が危ないと演説がされていたが、無駄なことをやっていると思っていた。しかし、浜岡原発の事故が起こってからは本当に心配になったのだ。このまま日本は国土がなくなるのかも知れない。沖縄に行けばよかった。
*6月8日の記事「近づく戦争・テロ社会、これらの動きを止めるべきでは?」から連番号を付しています。<<1033>>
TC:37476, BC:150929, PC:?, Mc:?
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