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<世間に承認されたい人への傾向と対策>
しばしば指摘されるように海外に高級ブランド品を買い漁りにくるのは、日本人が圧倒的多数を占める。
生産国フランスやイタリアでは一握りの最上流階級者しか縁のない高級ブランド品を長年買い支えているのは日本人である。
同じアジア人でも近隣の中国や韓国はそんなものへ投資するより、偽モノを作って儲けようと発想する。
偽ブランド品が他者の権利侵害であるから罰せられてしかるべきですが、
この差異から導かれるのは、ブランド信仰はアジアの特性ではなく、日本固有の奇妙な現象ということだ。
日本人は島国根性からか、他国に見られない舶来品を従順に「崇めようとする心理」、
あるいは権威にすがろうとする不思議なメンタリティがある。
これらは明治維新や敗戦による西欧コンプレックスが大きく関与していることは間違いなく、マーケティングの世界でも最古層、土台にある前提です。(日本を先進国とみなし、欧米を崇め、アジアの他国を見下す暗黙の視線)
同じような日本特有の奇妙な心理現象に、学歴信仰がある。
日本のTOP 東大、京大、早慶など一級のブランドであるが、残念ながら世界の大学ランキングでは下位に留まり、欧州や米国で東大出といってもなんの効力もない。威張れるのは日本国内のみの限定価値である。
(東大の秋入学導入ニュースはグローバル化の中で島国内での価値に限界があることを察知し危機感を抱いた結果、外国人を取り込む戦略である。)
西欧では大学名は重要でなく、何をどのように勉強したか、その内容を問われる。
欧州圏では国立大学が大半で教育は医療同様そこでビジネスすることを忌み嫌う良識が根付いており、大学授業料は無料の国が多い。高卒時の試験(仏バカロレア独アビトゥア)をクリアすれば大学は希望すれば入れる。
日本の教育制度の奇妙さは、学習塾や予備校塾という偏差値、競争原理に乗っかり、営利をあげる企業が巨大産業化していること。
競争や学歴信仰があればあるほど潤う産業だ。子供の頃からその価値観が埋め込まれていると成人後、他者に対してもまずその尺度で測ろうと
する習慣が付いてしまうのもやむおえない。
お上から降ってくるものを有り難がる日本人は自ら主体的に思考することを先祖代々してこなかったのか?
個人的にはこれは戦後GHQの戦略の帰結であろうと考える。
意味じくも日本の象徴「桜」が、マーケティング用語「サクラ」という詐称装置にあてがわれるように。
「嫌われたくない、みんなと同じがいい。」
消費者の意識調査の類、何でもランキングが大量に溢れるわけは、
個として思考、選択ができない証左で、権威から「基準を与えてほしい」と支持を待っているのである。ステマが横行するネット普及以降、これまでのTVの流行も信頼性が揺らぎ、価値基準が不明瞭になる。そこで必要とされるのが意識調査、何でもランキングだ。
しかしブランド品にせよ、学歴信仰にせよ、ここにあるのはその内容、実体に当人が心から満足し追い求めているのではないことは明白だ。
では何の為に、ブランドや学歴や資格を収集しようと躍起になるのでしょうか?
それは「他者の評価」、世間体、視線であるということ、自分を少しでも高価値にアピールしようとする見栄、虚栄心。
つまり価値基準がその人の内部には無く、権威とされる外部が差し出すことを鵜呑みにするのが安全という臆病な態度だ。
周囲に同調することで自分を承認してほしいと日々渇望し、一生懸命努力する。
ここでは恐ろしいことが起きうる条件が見事に揃っている。
ナチスの党員の真面目さにせよ、東電の件にせよ、個々の社員にフォーカスすると何ら問題のない善良な市民として家族を愛している典型的な良い父親であったりさえする。
しかしハンナアーレントの言う悪の凡庸さとは、こういう人々にこそ当てはまるのだ。
「与えられたルールの厳守が善である」という盲信状態、そのメタ領域を見ようとしない視野狭窄な振る舞いにある。
神戸高塚高校校門圧死事件で扉を閉めた教師は殺意があるわけがなく、ただルールを厳守したまで。無くなった女生徒もまさか死ぬなど想像だにしなかったはずだ。なんとしてでも「遅刻しないこと」しか視野になかったはずである。もう少し不真面目な生徒ならもう諦めて遅刻するか、仮病でも使ってサボることもありえただろう。この悲劇は彼女の「真面目さ」が一因としてあるのだ。
ルイヴィトンのバッグや有名大卒であれば、世間は承認してくれる。自分を愛してくれる。愛してほしいからルールに沿うことに必死なのである。
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