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公的債務積み上がりの背後にある精神、それは資本主義精神の敗北! 多くの先進国で公的債務が積み上がっている。その一方で失業率が高止まりし、20%を超える失業率を記録している国さえある。こういった国では失業給付などの社会保障事業自体が公的債務を増加させる大きな要因になっている。 財政赤字が積み上がり、結果的に破たんすれば通貨安とインフレがやってくる。そうなれば幾ら財産があろうと大幅な目減りは避けられない。仮に海外に資産を移転していても現在の状況は世界的なものになりつつあり、資産保全ができる人はそう多くはあるまい。 ここには具体的に二重の問題があるように見える。一つは貧困層が大量に生み出されていること。もう一つは富裕層の持続性が確実ではないことだ。 別の視点から見れば、一部の富裕層が他の人々をどんどんと犠牲にして富を独占していくシステムが出来上がっていることこそが問題だと言えるだろう。 そういったシステムの正体は、例えばサブプライムローン問題を見ることである程度明らかになる。住宅価格の持続的な値上がりのため、自己資金がほとんどなくローンで住宅購入をしても値上がりした住宅価格のために新たなローンを組むことが出来、却って利益が出る時期があったのだ。当然、不動産の値上がりが続くはずはなく、無制限なサブプライムローンの拡大は規制されなければならかった。ところが全く規制がされず、それどころか頭金を全く用意できず、収入そのものもない人々へまでローンを組ませて不動産購入をさせたのだ。背景には銀行から金を借りて返せなくなれば担保物件である不動産を手放せばローン残高も帳消しになると言うシステムがあった。だからこの段階で止まれば単に銀行の暴走ということで終わったことだ。ことはもっと複雑で、サブプライムローン組込証券をさまざまな仕組みを使って世界中の金融機関などへアメリカの証券会社が売ったことだった。売った段階では格付け会社が高い格付けをつけ、買う方は無条件でその価値を信用して大量に買って行った。サブプライムローンの焦げ付きが始まると一気にサブプライムローン組込証券は値下がりを始め、欧米の金融機関などは保有していサブプライムローン組込証券を投げ売りした。値下がりしたサブプライムローン組込証券のかなり部分を買ったのは最初に売ったアメリカ資本だった。簡単に言うと、アメリカ資本は高値でサブプライムローン組込証券を世界中へ売り安値で買い戻したことになる。まだアメリカの不動産市況は悪化したままだが今後世界中で災害が起こっていくにつれてアメリカへの移民が大規模に起こるはずでその時点で不動産バブルが再度起こるだろう。 ここには少なくとも4つの問題点がある。 これら4つの問題点から分かることは、一般市民を犠牲にして、政府や民間企業、そして司法組織やマスコミをも巻き込んで、社会の上層部が不当な利益をむさぼるシステムが完成されていることだ。 当然、こういったシステムは合法的なものではなく、その行為が告発されたら本来処罰の対象になる。ところが、現実にはほとんどそういった告発がされないし、処罰は全くされていない。つまり、不正を働く組織が非常に強力でそれに対抗する勢力がなかなか出てこれていないということだ。 ここまで強力になったのは単に利権があるからだけではない。インターネットなどを通じた非常に広範な情報収集システムが出来上がっていたことやテレビ画面を使ったサブリミナル効果でのマインドコントロールがあったからだろう。同時に世界中の国々の政府機関の特に司法組織の乗っ取りが実質的に1980年代から90年代に完成していたことがある。不正を取り締まる側が不正を行っているのだから告発が功を奏するはずがない。 しかし、サブプライムローン組込証券の詐欺は多少でもニュースを見ていれば多くの方が気が付くはずのものだ。多数の人々が自分の生活がそういった不正のために脅かされていると気がつけば、問題と取り上げない司法組織そのものが非難されるからだ。 これが財政赤字の正体だ。つまり、強欲の生贄にされた一般市民を公的な資金を使って救済し、不正な利権システムが露見しないようにする。しかし、自分たちが儲けた金を税金として政府に渡すのは嫌だ。だから、富裕層への課税をどんどん引き下げる。こうして、政府部門の赤字がどんどん積み上がるのだ。 現実にはもっと手が込んでいて、金融資本が無理をして土地投機に融資をした結果倒産の危機に瀕すると政府が一般企業や一般市民への影響を防ぐと言う名目で資本注入を行い、その結果、政府の赤字がさらに積み上がると言う事態が出来ている。 財政赤字は金銭的な赤字だが、それとは別の赤字体質がある。それは教育部門だ。アメリカや韓国でもほぼ同様なシステムが出来ている様子だが、日本では平成の初めごろから大規模な高校入試不正、そして試験不正が行われている。現在では少なくとも1000万人を超えた試験不正の関係者がいるはずだ。これらの人々は本来身につけるべき知識や技術を習得することなく教育機関から一般社会へ送り出されている。そればかりか、入試不正・試験不正に関わったためにその後の人生をほぼ一生そういった不正組織にコントロールされる事態になっている。本来なら社会のために行動するべき人々が反社会的な行為をするようになって行くわけだからこれは一種の赤字だ。 あまりに赤字が巨大になれば、それを社会が支え続けることが出来なくなる。結果的に社会全体が劣化することになる。その結果、上層部の強欲を支えてきた不正なシステムはその不当性を追求されずに済むかもしれない。 しかし、劣化した社会は以前のような富を生み出すことはできない。上層部が得ることが出来る富は目減りせざるを得ないのだ。この結果、上層部の中で共食いが始まる。そして、次々に仲間が姿を消し、最終的にはシステム自体が成立し得なくなる。 ではなぜこういった将来のないシステムが現在幅を利かせているのだろうか。この答えは多分単純だ。第2次世界大戦後の急激な科学の進歩により平均寿命が飛躍的に伸びた。その結果、自分自身の生命の限界を感じることなく欲望の追及が永久に可能だと言う幻想ができあがってしまったのだ。 ここにはかってマックス・ウェーバーが思い描いた資本主義の精神はない。禁欲性がより合理的な生活を支え、それがより大きな富をもたらすと言う私有財産制を支えていた神と自己との対話、自分自身を超えた存在への畏敬が無くなってしまったからだ。 神意識は何も特別なものではない。戦前の日本社会では「世間様」という言葉で表されていた感覚がほぼ神意識と同質なものだったし、西欧でも郷土愛とか言う言葉で表されるものがここで言う神意識だ。 つまり、基本にあるのはミーイズム(meism)であり、他者は自己の欲望をかなえるための手段だと言う考え方だ。自己を超えた社会への貢献を忘れた資本主義は今後崩壊するしかない。社会そのものが劣化するときに個人が存在し得ないからだ。 現実的には、現在の強欲主義をなんとか説得して止めさせることだと思う。このまま行けば全体が破たんするのだからこの説得は本来うまく行かなければならない。 *6月8日の記事「近づく戦争・テロ社会、これらの動きを止めるべきでは?」から一連番号を付しています。<<923>>
@不動産価格が永久に値上がりするわけはなく、ある程度値上が続いた段階でサブプライムローンの貸し出し拡大に規制がかけられなければいけなかった。規制当局だけでなく貸し出しをする銀行自体やマスコミもそのことを言い出さなかった。つまり無理な貸し出しが関係者全員の少なくとも黙認のもとに続けられたと言うことだ。
A不動産の無制限な値上がりがあるはずがないのでサブプライムローン組込証券に高い格付けをすることは本来ならあり得ない。ところが格付け機関はそれをやってしまった。格付け機関だけではなく債務保証会社なども登場しサブプライムローン組込証券が危険なものではないと思い込ませていった。つまり信用を保証する機関が大規模に本来信用を付与できないものへ信用供与をやったのだ。こうやってインチキがより大規模化した。
Bサブプライムローン組込証券自体がその正体を一般市民へ明かすことなく、単に複雑に組み合わされた実態のはっきりしない証券と説明された。専門家もその実態を明らかにすることがなかった。つまり、インチキの種あかしがされない仕組みが作られていたわけだ。サブプライムローン組込証券を大量に買った金融機関は当然業績悪化し一般預金者への利子引き下げなどが行われた。しかし、そうやって実質的な被害を被った一般預金者にインチキの仕組みを解明する術は閉ざされている。つまり、一般市民は単に犠牲者になる道しか残されないようなシステムが作られていたわけだ。
Cサブプライムローン組込証券は値下がりしたと言っても実態のある不動産が裏付けとして残っている。だから、本来は投げ売りする必要はないものだった。ところが、どの程度サブプライムローンが組み込まれているかそれが不明だと言う理由で投げ売りがされ、アメリカ資本による破格の安値での買戻しを許した。つまり、インチキのシステムが欧米の金融機関にも広がっていたと言うことだ。
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