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社会の複雑化に取り残される個人
今の世界の情勢を読む上で鍵になる要素が幾つかあると思います。今までに一連番号772「世界は高レベル核廃棄物処分場を求めている」、780「世界に広がりつつあるマインドコントロール」を書きましたが、今回は個人の知覚と社会の複雑化についてです。
10月14日に文部科学省から児童・生徒用に「http://radioactivity.mext.go.jp/ja/1311072/syougakkou_jidou.pdf」と言う副読本が発表されました。そこには例えば放射線の働きとして細菌を死滅させることに使うなどのことが挙げられていますが、最も重要な連続核分裂を起こさせる中性子のことは全く触れられていません。また、「一度に100ミリシーベ ルト以下の放射線を人体が受けた場合、放射線だけを原因としてがんなどの病気になったという明確な証拠はありません」と書かれ、ベラルーシで明らかになった小児甲状腺癌のことは全く触れられていないのです。あたかも晩成障害・内部被ばくは存在そのものがないとされているかのようです。
このことには多分3つの意味があります。放射能の危険性を覆い隠し、原爆保有を正当化したいと言う一部の国家のエゴ、そして、そういった政治的な圧力に屈してしまいがちな日本の政治、一般市民の生活からは遠い存在の放射線というものが直接市民生活へ悪影響を与える状況が普遍化している日本という社会。一部の強国の意思で日本の政治が捻じ曲げられ一般市民が犠牲になって行くという構図です。
基本的には人間の活動範囲が拡大し、分業が行われた結果、こういった情報・意識の断絶・格差が生まれたのです。ただ、現在の特質として、こういった情報格差を更なる支配の道具として利用しようとしていることがあります。
人間社会にある意味こういった支配はつきものです。また、一種のリーダーシップがなければ社会という構造自体が成立し得ません。ただ、問題はこういった格差が定着し格差が拡大してしまうことです。多くの場合、格差を作り上げた人間が死を迎えることでそういった格差の存在自体が消えていき、格差の拡大が防がれてきました。
しかし、現代はこうした仕組みさえなかなか機能しない状況になりつつあります。それは格差を作り支配体制を維持する側が特定の個人とその人に従う集団というよりも個人の個性を超えた単なる組織として存在しつつあるからです。何らかの方法で選抜され、一定の報酬を支給され、定年を迎えると職から外される。そこに個人の死が入り込む余地はないのです。
そして、こういった隠れた支配のための組織は単に自己目的化して更なる隠れた支配を強めようとします。もともと隠れた活動しかしていないので、その活動をチェックするものがいないため、歯止めがかからないからです。
しかし、人間としての存在、その可能性はほぼどんな人でも同じようなものです。生まれたての新生児に、誰であろうと変わりないからです。そして、その可能性を非常に大規模に否定していくことになるのが今の隠れた支配という社会体制なのです。その結果、こういった隠れた支配体制を終わらせるためには、その社会全体が死を迎えるしかないことになります。皮肉なことですが、これは事実です。
そのことを示すことは数多くあります。新自由主義という社会格差を個人の自由と責任という言い訳で放置してしまう無責任体制。同様に401Kという確定拠出型年金は金融取引のプロが跋扈する株取引の世界へ個人で挑むことを促す制度で、その背景には支配側が特定の個人を優遇したり罠にかけることを可能にする仕組みづくりがあります。一種のインサイダー取引を大掛かりにやる仕組み作りです。
この数日話題になっている311の震災の復興費用を賄うための増税に関する議論。一年間の負担が7000円ほどかそれとも5000円以下になるか、そういった議論がさも真剣にされています。一世帯数千円の負担増をするかどうかを細かく検討するほど日本の政治はちゃんとしていると言う印象を受けるでしょう。しかし、復興費用は総額でも20兆円から30兆円ほどです。そして、日本ではもうすでに10年以上毎年新たに30兆円から40兆円の借金を国が行っているのです。既に1000兆円以上の公的借金が出来上がっていて、やがて民間資金が底をつくことは確実です。だから、本来なら、財政再建自体をもっと時間をかけて取り組むべきですが、このことはまるで無視されているのです。
脱原発は20年かけて行うとあたかもそれが安全で正常な政策であるかのように多くの政治家が語ります。しかし、311の地震以降、日本の全国で毎年マグニチュード6から7、ひょっとしたら8を超える地震が5年から10年程度は続くことがはっきりしています。全国に散らばる54基の原子炉のその直下でマグニチュード6を超えた地震が起こる可能性はかなり高いのです。また、使用済み核燃料は日本のような地震国では深地層処分などできるわけはありません。しかし、このことも全く無視されたままです。
これらの不合理さを作り出しているのは一部の強国に巣食う隠れた支配を行う組織です。少なくとも、こういった支配体制が現在作られていると言うことを一般市民は理解するべきですし、政治家はそのことをきちんと公言するべきでしょう。
*6月8日の記事「近づく戦争・テロ社会、これらの動きを止めるべきでは?」から一連番号を付しています。<<788>>
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