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日本の状況
本日(10月8日付け)の日経新聞の「大機小機」に「IMFは、日米の政府に対する投資家の信用が大きいことの表れだとしたうえで、赤字と公的債務に対する十分にして詳細にして意欲的な削減計画がうちだされない限り、両国への信頼が突如として弱まる可能性があると重い警告を発している」と書かれている。そして更に、「2011年の日本のグロスの政府債務は名目国内総生産(GDP)の213%と予想している。この数値は米国の101%、ユーロ圏諸国の96%に比べ極端に高い。各国との比較でも、ギリシャの157%、イタリアの129%を大きく上回り、世界各国の中で突出している」としている。
笑ってしまうのはIMFの警告の仕方だ。IMFが日本の財政破綻について公式に言及し出したのは2010年の5月か6月ぐらいだ。しかし、現在の状況になることは既に日本政府自身が1990年代の半ばには予測資料を公開していた。かなり多くの経済学者がこのままでは行き詰まると警告し、僕も民間資金がその内にそこをつくと言ってきた。ただ、マスコミに載るのは、多くが国内消化しているからいくら国債が積み上がっても大丈夫という議論であり、IMFもそのことについて何も異議を唱えてきてはいなかった。2010年の春の春日部市議選で僕が訴えた最も大きな点は財政破綻が迫っていて、その結果消費税が上げられる可能性が強いがそれは社会の階層化をより一層推し進めると言うことだった。春日部市議選の結果はビリ2の得票数で供託金も没収だったが、訴えそのものはある程度聞いていただけたはずだ。選挙ポスターで、街頭演説で財政破綻の可能性を大ぴっらに警告することで、多分、多くの方がいくらなんでもこのままではまずいと気がつき、その結果、IMFも公的に警告を出すことに至ったはずだ。IMFのこのスタンスは基本的にアメリカの利益を優先するものだ。それもアメリカの支配層、資本家とそれに結びついた軍産複合体の連中の利益を優先したものだ。なぜなら、日本が財政破綻に陥り、円安に振れ、税金の使い方に対する世論の関心が高まれば、日本政府や日本の金融機関が米国債を買い続けることもできなくなるし、却って現在日本が持っている米国債を売る方向へ動く可能性さえあるからだ。だからIMFはかなり以前、確か1990年代の前半に一度改革案を日本向けに提案したぐらいであとは全くなんの警告も発してこなかったのだ。
国際機関でそういったスタンスに立っているものはかなり多くあると思う。例えばWHOだ。それは2009年の春から冬にかけて日本を含めて世界的に大流行した新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)に関する取り組みの不自然さだ。新型インフルエンザウィルスは1919年に世界的に流行したスペイン風邪の遺伝子を一部保有していた。つまり、90年前のスペイン風邪ウィルスが生き残っていたか、または、交雑したウィルスがスペイン風邪特有の遺伝子構造と分かる遺伝子部分をずっと残してきていて、それが豚インフルエンザと新たに交雑したということしか可能性としてはありえない。つまり、非常に稀な遺伝子組成を持っていたわけで、人工的に作られた可能性が高いと指摘してもいいものであったはずだ。ところがそのことにWHOは一切言及しなかったし、日本の政府機関も無視したままだった。更に不自然なことに、感染源はメキシコであり、メキシコとアメリカの国境は行き来がふんだんにあるため封鎖ができなかったのはしかたないにしても、アメリカやメキシコから出発する海外への飛行機便について全て到着地の空港の機内で防疫作業が行われた。本来ならこれらの防疫作業は全て出発時にアメリカやメキシコの空港で行うべきものだ。感染国内で封じ込めるのが基本であり、風邪気味のものなどを搭乗時にチェックして機内の席を隔離するなり、出発させないという措置が必要だった。出発時なら時間的な余裕もあり、スペース的にも空港全体で新型インフルエンザの検疫部門を設けることで余裕をもって対処ができたはずだ。
国際機関のもっとひどい例はリビア攻撃に関する国連安全保障委員会の決定だ。カダフィ政権はリビア国民の信任を得た正統政府として国連は長年認めてきた。2010年以前カダフィの暴政について国連で取り上げたことはなかったはずだし、少なくとも各種の委員会や総会で決議がされたことはない。そして今回の争いでは革命側も武器を持っていたのだから、少なくとも一方的にカダフィ側のみを攻撃するのではなく、非武装中立地域をまず設定し、その地域へ侵入する勢力を攻撃し、事態の安定化を図るのが普通だ。しかしそれはせずに一方的にカダフィ側を空爆したのがフランスやイタリアなどの西側勢力だった。
さて、IMFに戻ろう。その警告の仕方にはもうひとつおかしな点がある。財政赤字削減のためにこうしろとか削減ができなかった場合何が起こるかということを述べていない点だ。IMFが様々な国の財政赤字削減の方策としてやらせているとはどこもほぼ同じだ。公務員人件費の削減、福祉レベルの引下げ、そして増税だ。IMFがほとんどやろうとしないのがその国独自の産業開発で、本格的に産業構造の転換をして財政立て直しをやろうとしたことは多分ほとんどないのではないだろうか。本来なら、IMFは今回の警告でいつ頃までにどの程度の財政赤字削減が必要でその方策は公務員人件費引き下げで幾ら、福祉引き下げで幾ら、増税で幾らのように具体的に勧告を出すはずなのだ。それがそうでないというのは、日本において公務員・官僚が実質的に日本を植民地化するための手先として動いている現状があるからだ。また高校入試段階から大規模組織的に入試不正・試験不正が行われていて、その上がりとして公務員就職が設定されているので公務員待遇の引き下げができないという状況もあるはずだ。さらに悪質なのが「両国への信頼が突如として弱まる可能性がある」というように財政破綻が起こった場合の影響を極めて抽象的にしか表現していない点だ。公務員も含めて人々の生活がどう影響を受けるかを具体的に述べることをしないで、その影響のひどさを感じさせないようにしている。
そもそも、国債の国内消化であれば、発行残高がいくら増えても大丈夫という論理自体が成立しない。金を貸す側と借りる側が同じ国内に居るか、別の国に分かれているかという問題と、金を返す必要がないということとは全く関係がない。金の貸し手が国内か国外かは全く関係なく、貸し手は返してもらうことを前提に貸している。日本でここまで財政赤字が積み上がったのは、政治家と中央官僚、そして銀行の経営陣が実質的に腐っていたからだ。一般会計の歳入の何割にもなる額を毎年借り入れる借金財政が続くはずがないのは誰の目にも明らかなのに、表向きの景気の好調を維持し、米国債を日本政府や日本の金融機関に買い続けさせるために、国債の大量発行を続けたのだ。外貨預金に対する預金保険制度適用をせず、一般市民の預貯金が海外へ流出しないようにしてきた。そして昭和の時代に積み上げた一般市民の預貯金を食い潰してきたのだ。
日本国内で投資がうまくいかないと一般の投資家の多くが考えるようになれば、キャピタルフライトが起こる。つまり国内資金は海外へ流出する。結果的に海外に国債消化をさせていたのと同じ状況が発生する。円売り外貨買いによる大幅な円安が起こり、同時に大規模な輸入物価高とそれに伴うインフレが始まるのだ。インフレは年金生活者を直撃する。年金は物価スライドだが、どの程度物価が上がったかを調査してから年金額が調整されるので実質一年遅れになるからだ。物価2倍のインフレが続けば年金額は実質半分の価値になる。政府が日銀に新規国債を直接または間接に買い取らせるようなことをやってもそれは通過量を増やすことだけであり、やればやるだけインフレを助長してしまう。しかしそれをやらなければ財政難で公務員人件費が出なかったり、年金支給が困難になる。日本の場合は資本不足が毎年の新規国債発行分とキャピタルフライト分の両方で発生するからその衝撃はアメリカの比ではない。そしてIMFの警告は日本とアメリカを全く同列に扱っている点でも卑劣なものだ。アメリカの場合は単に法律で財政赤字の限界値を決めてあり、野党がその拡大に反対していたからデフォルトになる可能性が出てきていただけであった。日本ののように、資本そのものの不足が起こりつつあるのとは根本的に異なるのだ。この点には基軸通貨であるドルとそうではない円の差がある。
2008年の化石燃料輸入代金は23兆円かかっている。今後国内の原発がどんどん停止していけばその代替え分のLNG代金などがかさむから30兆円や40兆円を大きく超える金額が必要になる。既に日本は生産年齢人口が5年以上前から減少している。高齢化は世界一の水準で今後数十年は推移するから、原発事故が無くても国内産業は衰退する状況にあった。
少子高齢化は今後特に都市部において顕著に進む。農村部と違い都市部は高齢者が生産に従事する機会が少ないので、必然的に生産年齢人口の人々への負担が増し、それがまた経済活動や税収を圧迫する。つまり、財政破綻や新たな原発事故が起こらなくても、今後数年で日本は化石燃料の輸入代金の負担ができなくなる可能性が強いのだ。団塊世代が年金受給年齢の65才に入るのがこの数年間だ。
原発事故の背景には日本全土が地震の活動期に入ったことがある。特に311の地震は2004年のスマトラ島沖地震とほぼ同規模で日本各地で今後少なくとも5年間以上マグニチュード7を超える地震が頻発することを意味している。そしてその結果、たとえ運転を停止していたとしても原発の直下でマグニチュード6を超える地震が起き、それが福島第一原発事故と同程度の事故で済んだとしても風向きの関係で首都圏や関西、中部などの日本の中枢部を居住不能にしてしまうだろう。福島第一原発事故は西風が卓越している日本の東部の海岸沿いで起こった。だから、漏れた放射性物質の99%は太平洋上へ流れた。もし、関東以西にある原発が事故に至れば、それより東にある地域は福島県の数百倍から数万倍以上の規模の放射性物質により汚染され確実に居住不能になる。
しかし、これらに対処する道もある。それは地熱発電だ。地熱発電は日本の全電力をまかない、積雪地帯での冬季の地域暖房や農業を可能にし、地下深く設けた各種センサーによって地下の温度や地下水変動を観察することにより地震予知も可能になって行くのだ。
地熱発電は天候による出力変動がない。つまり、太陽光や風力発電では発電できない期間があるのでそのためのバックアップ発電施設が必要になるが、地熱はその必要がない。輸入燃料に頼ることもない。因みに資源エネルギー庁はウランを全量輸入に頼っているにもかかわらず、原発を自主エネルギーと位置づけている。モノを燃やさないのでCO2も排出しない。そして何より、初期コストはかかるが、ある程度日本全国で開発が進めば、発電コストは飛躍的に低減し、現状の電気代を半額程度にまで下げることができる。現状では山奥で地熱開発をしたとき、そこまでの道路や送電網の整備に数百億円かかる。しかし、ある程度開発が進めば、そういった道路や送電網を少しだけ拡張することで済むからだ。現実に主要設備で減価償却がほぼ終わったいくつかの地熱発電所では1kw時8円以下で発電できている。
地熱発電を大規模に行えば、原発をすべて廃止することもできるし、毎年数十兆円の化石燃料輸入代金を払う必要もなくなる。基本的に温泉設備を併設できるから、日本全国どこでも低価格で温泉利用が可能になる。また、地熱施設を中心に地域開発を行えば高齢者に優しい、高齢者が自分のペースで生産活動に従事できる社会が創造可能だ。
しかし、残念なことに日本は地熱開発に進んでいるようには見えない。それどころか、福島第一原発事故の原因究明もあいまいなまま、全国の原発再開に向かいつつあるように見える。現在、どの程度の放射性物質が原発から放出されているのか、その観測もきちんとはやられていない。プルトニウムなどのα線を出す放射性物質についてはほとんど調査そのものが行われていない。低線量被爆についてはその影響が広島・長崎の原発投下やチェルノブイリ事故で解明されているはずだが、実態ははっきりしないままだ。そもそも低線量被爆についてかなり簡単に各種の実験ができ、例えば人間の細胞を採取して実験室で低線量被爆の影響を数年間にわたり観察することもできるはずだ。
原発を再開するよりは停止・廃止にしたほうがいい。このことは原発を停止・廃止することにより節減できる費用が稼働・維持をしたときに生まれる利益よりも多いことからはっきりしている。このことは10月8日(土)の朝の読売テレビの番組で専門家が明言されている。
ではなぜ原発廃止に向かわないか。それは原爆保有国のエゴがあるからだ。原発を廃止してしまえば、原爆保有に関わるウラン採掘や核廃棄物の問題が表面化する。原子力発電所があるから平和利用のためにウラン採掘も核廃棄物も電力供給という平和目的の影に隠せる。また原爆使用時における長期地球環境汚染の問題を隠すために、低線量被爆の影響は明らかにされないのだ。
1997年に起こった東電OL殺人事件。どう考えても被害者の女性が何年間も売春をやっていたとは考えられない。短期間やっていたと言う意味ではない。全てがでっち上げの可能性が大変に強いのだ。このことについては、次のURLにある記事で詳しく述べているのでそちらを参照していただきたい。
「佐藤栄佐久前福島県知事の裁判と二つの事件、日本のエネルギー政策を左右する影」
http://www.asyura2.com/09/eg02/msg/155.html
投稿者 taked4700 日時 2009 年 10 月 20 日 06:40:31: 9XFNe/BiX575U
本来、1997年のこの事件の発生時に原発の危険性を認め、脱原発に舵を切っておけば福島第一原発事故はありえなかったし、今の日本が直面している政治や経済の停滞も避けれたはずだ。東電の社内関係者は事件の不自然さに気がついていたはずだし、情報統制をしていたはずだ。更に、事件の調査や裁判にあたっていた関係者も事件の多くの矛盾に気がついていたはずだし、中心人物の何名かはまさに事件の捏造を担当したはずだ。事件の不合理さや原発の危険性に気がついていた方たちは多くいたはずだが、結果的にそういった声はほとんど表面化することなくおしとどめられてしまった。つまり、おしとどめるための作業をやっていた連中が日本国内に一定数いたわけで、同じようなことを今も引き続きやっている連中がいるわけだ。
財政破綻をすれば地震が起こらなくなるわけではない。巨大な地震は自然現象であり、人間の都合とは無関係に起こっていく。今の日本は財政破綻にさえ立ち向かうことができず、原発震災を避けるための脱原発にさえ舵を切れていない。ただただ当面の危機を表面化させず、現存する富にかじりつくことしかやっていない。その先に待っているのは国際的な核廃棄物処分場に日本の国土の大部分が化けてしまうという事態でしかない。
今の時代を生きる日本の人々は1997年当時の過ちをまた繰り返そうというのだろうか?
*6月8日の記事「近づく戦争・テロ社会、これらの動きを止めるべきでは?」から一連番号を付しています。<<761>>
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