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消費税上げをやがて辞任する首相に押し付けるのは卑怯で愚策!
http://www.asyura2.com/09/dispute30/msg/458.html
投稿者 taked4700 日時 2011 年 6 月 18 日 01:40:48: 9XFNe/BiX575U
 

消費税上げをやがて辞任する首相に押し付けるのは卑怯で愚策!

 http://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg5007.html?t=58 で「政府・与党社会保障改革検討本部 成案決定会合-平成23年6月17日」のビデオが見れることになっているのだが、どういうわけか全く画像が写らない。最終案の文案そのものは、次のURLにある。 http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/syakaihosyou/kentohonbu/kettei4/siryou1.pdf

 しかし、この最終案、今までの政治を踏まえてまったくの噴飯ものだ。どれほど卑怯で愚策なのか、それを以下に述べよう。

1.消費税だけでなく、所得税・相続税についても増税すると述べているが、数字が明記されているのは消費税税だけだ。そして、所得税や相続税の増税については後回しにして
消費税を上げるとはっきり述べている。
*以下、 http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/syakaihosyou/kentohonbu/kettei4/siryou1.pdf より引用:
「社会保障給付の規模に見合った安定財源の確保に向け、まずは、2015 年度までに段階的に消費税率(国・地方)を 10%まで引き上げ、当面の社会保障改革にかかる安定財源を確保する」

(1) 個人所得課税
雇用形態や就業構造の変化も踏まえながら、格差の是正や所得再分配機能
等の回復のため、各種の所得控除の見直しや税率構造の改革を行う。給付付き
税額控除については、所得把握のための番号制度等を前提に、関連する社会
保障制度の見直しと併せて検討を進める。金融証券税制について、金融所得課
税の一体化に取り組む。

(4) 資産課税
資産再分配機能を回復し、格差の固定化を防止する観点から、相続税の課税
ベース、税率構造を見直し、負担の適正化を行う。

2.1984年の税制改定以来、故意に格差社会化を促す税制改定が繰り返されてきた。1983年当時と現在を比べてみよう。1億円と350万円の所得があったとして、それぞれ、どの程度の所得税、住民税を課税されたかの比較だ。
1983年当時 所得税率ーー住民税率ーー合計税率ーー税引き後所得
1億円の収入  : 75%ーー 18%ーー  93%ーー 700万円
350万円の収入: 25%ーー 12%ーー  37%ーー 221万円

2011年現在 所得税率ーー住民税率ーー合計税率ーー税引き後所得
1億円の収入  : 40%ーー 10% ーー 50% ーー 5000万円
350万円の収入: 20%ーー 10% ーー 30% ーー  245万円

 一目瞭然で、1億円の収入がある場合、手取りが700万円から5000万円へ7倍以上になっているが、350万円の収入の場合、221万円が245万円に1割程度増えただけだ。税引き後、1983年当時はほぼ3倍の収入格差でしかなかったのに、現在では20倍以上に収入格差が開くように税制が作られている。
 しかも、例えば住宅取得控除などの各種控除制度が近年ますます充実し、高額所得者ほど、現在は控除ができるようになっている。更に、消費税そのものが高額所得者に有利にできている。生活するのに必要な食料や衣料品の費用は所得に関わらずある程度の金額が必要なので、低所得者ほど消費税の割合は高くなる。しかも、いわゆるぜいたく品は消費税導入前は30%の物品税が課せられていたのが、導入後は消費税5%となり、25%もの減税になっている。また、多くの国では複数税率制を敷いていて、食料品などには消費税をかけない場合もある。

3.証券税制について「金融証券税制について、金融所得課税の一体化に取り組む」としているが具体案は示されていない。配当課税については昭和53年当時35%の税率だったものが平成15年度から軽減税率が適用され10%になっている。特に、都銀についてはバブル崩壊時の不良債権処理のため法人税を払っていないが、赤字法人には本来禁じられている配当金支払いを都銀は特例的に続けている。

4.そもそも、日本のような消費税制度は価格交渉力のある企業に有利に働き、中小企業は消費税分を実質的に自己負担することになる。日本はインボイス方式をとっていないため、価格交渉力のある大企業へ中小企業が納品をする場合、消費税込の値段で交渉することになる。この結果、多くの企業が消費税分を買い手である大企業へ請求できず実質的に自己負担している。つまり、現行の消費税制は企業間格差を広げる機能を持っている。

5.派遣社員を雇うと、その給与には消費税がかかるが、大企業は派遣会社に対して消費税分を転嫁できる。つまり、年収300万円の社員を正社員として雇った場合は300万円が費用だが、派遣で雇えば概算15万円分の還付が受けれる。つまり、消費税が高くなればなるほど企業は派遣社員を雇うようになり、結果的に社会は疲弊する。

6.派遣社員制度は会社内に決定的な格差をもたらすもので、ほとんど技能や技術の伝承ができない。この結果、一度派遣社員になると一生その地位から抜け出すことが出来なくなり、貯金も結婚もできないまま年齢だけを重ねると言うことになる。50代から60代以降になると派遣での働き口そのものが無くなり、生活保護しか生活の糧がない状態になる。結果的に社会的なコストが高くなり、派遣社員を雇った会社が一時的に儲かるだけだ。

7.北欧で消費税率20%の国があるが、これらの国では同一労働同一賃金という制度が定着している。日本は正社員と派遣・契約社員との間の格差が非常に大きく、同一労働でも2倍から3倍以上の給与格差がある。この点についての是正をしないで社会保障費のための消費税上げというのは現行の社会保障格差を定着する効果しかない。

 全体的に単に公務員制度を当面守るための制度改定でしかない。しかし、この結果、ますます日本の行政は環境変化に対応する動きが遅れ、より徹底的に社会が劣化しないと問題点に取り組むことが出来なくなる。当面、つまり、数年から5,6年はこの税制改定によって公務員制度が守られるかもしれないが、その後は、現在よりもずっと深刻な社会全体の劣化に直面することになり、公務員制度自体の存続が危うくなるだろう。

 本来、日本全体の一体感を強める方式での税制改定が必要だ。日本における労働モラルの高さや犯罪率の低さは日本社会の一体感によってもたらされていて、今のような格差社会化が続けば、こういった良さが失われてしまい、それを取り戻すには非常に大きなコストが必要になる。多分、取り戻すことが出来ず、どんどん社会が劣化していくだけだ。つまり、今必要なのは消費税上げではなくて、所得税の累進性強化であり、相続税の各種控除の廃止だ。 

 菅直人首相が主張していた消費税増税は給付制度や複数税率制を伴うものだった。つまり、今回の政府・与党社会保障改革検討本部による成案は民主党幹事長である岡田克也の意向を反映したものだろう。つまり、卑怯で愚かなのは岡田克也幹事長であると言うことだ。
**************
http://www.asahi.com/politics/update/0617/TKY201106170250.html
所得・相続税も増税、消費税10%明記 一体改革最終案
2011年6月17日12時3分

 消費増税と社会保障の一体改革で菅政権は17日朝、政府・与党社会保障改革検討本部(本部長・菅直人首相)の成案決定会合を開き、政府・与党の最終案を示した。「2015年度までに消費税率10%まで引き上げ」との方針を明記。格差是正のための所得・相続税の増税など「負担増」を求める内容となった。

 菅首相は会合で、「最終的な調整を経て20日に予定どおり成案を決定したい」と述べ、20日に政府・与党案を閣議決定する方針を示した。ただ、民主党と国民新党内には消費増税への反発が根強く、退陣を表明した首相の増税方針が実現するかは不透明だ。

 最終案は2日に公表された政府原案をもとに、政府税制調査会や民主党の議論を反映させて作成した。社会保障費負担について「将来世代への先送りは許されない」とし、消費税率の引き上げ方針を打ち出した。

*6月8日の記事「近づく戦争・テロ社会、これらの動きを止めるべきでは?」から一連番号を付しています。<<593>>
 

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