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それでは所謂「日本型ファシズム」、30年代に現れたこの現象をどのように観るのか?−ボナパルティズム、若しくは「天皇制ボナパルティズム」というべきだろうと思います。
但し、左翼やマルクス主義が規定した「階級均衡論」的な「例外国家」などではなく、西川長夫氏が言う様に、「執行権力の独裁」型のボナパルテイズム権力こそ近代国家の典型である、という意味において。
即ち、強大な執行権力の独裁こそが近代中央集権国家のもっとも強化された最終的形態であり、その意味でー元祖は「クロムウェル独裁」としてー「ナポレオン独裁」(仏第一帝政)こそその<原型>、そして非西欧も含めて考えると、西川氏が言う様に、明治の大久保独裁ー「有司専制」こそがその<典型>であるということ。
所謂「開発独裁型」と<近代化論>の枠組みで狭く定義されるのは明らかに一面的であり、むしろこの「膨大な官僚,軍事組織をもち,多くの層に分かれた精巧な国家機構をもった執行権力」=ボナパルテイズム型権力こそが近代国家の普遍的形態である、ということです。
そして、ここからすると、30年代に現れた現象は、危機に臨んで、この権力の原初形態(執行権力の独裁)が露出した、と同時に、ドイツやイタリアと同じ様に、<大衆の時代>に合わせた社会的諸関係の再編成を(上から)推し進めるものであった、と言える。 ー60年代に現れた大衆社会化は、あくまでその結果である、と。
これを先の「政党政治」の蹉跌の問題と絡めると、日本においては、政党が下からやろうとしたことを(遅ればせながら)上からやったということ、しかしながらそれ故、その歪みというか皺寄せ(政治的主体の不在)が軍部において集中して現れ出たのではなかったか?
私が「ボナパルティズム論」を有効と考えるのは、所謂「日本型ファッシズム」とされる「昭和維新」の運動を上手く説明出来ると同時に、この間の政治状況についてもより解り易くなるように思えるからです。
即ち、明治維新型の「天皇親政」による<変革>への希求を「有司専制」=軍事官僚専制へと収束させたのが「天皇制ボナパルティズム」である、と。 そして、他方、フランス第一帝政と第二帝政の関係が、(政治的、社会的再編成の違いを除けば)この明治維新と昭和維新との関係にもアナロジーとして成立するようにも思えます。
そうして、現在の状況を見るに、ヒトラーやムソリーニ型の「ファシズム」を想定するよりも、今日、軍隊抜きで、このボナパルテイズム型権力がどのように変貌を遂げてきつつあるのか?ーかっての天皇制ボナパルティズム=大政翼賛会に替わる、今日版「大政翼賛会」を想定することーの方が遥かに有意味であると考えますし、その意味で、近年の小泉政権が最もその特徴を示したものと言えるのではないか?
例の”自民党をぶっ壊す”発言にいみじくも表れてるように、小泉政権下で劇的に進んだものこそ政党(政治)の破壊や議会軽視、又没落する層(B層!)の熱狂的な支持等、ボナパルティズムの際立った特徴を示していたのですから!
従って、小泉政権を支え、或いは強力に推し進めたものが何であるのかを考察することは、今日のボナパルティズムを視ておく上で、欠かせないことと思えます。
とすると、”検察ファッショ”と言われた前回同様、小泉政権の「政敵」に対して「国策捜査」を繰り返した検察が先ずは浮かんで来ます。 また、小泉政権以降特に、タバコ(少年非行)、酒(同+車)、暴力団等、様々な口実を設けて国民を更に管理=統制して行こうとする警察や、地方行政の枠を超えて、国政に関与する姿勢を鮮明にしている知事や自治体の首長達の登場など、フランス第1帝政・第2帝政と共通する要素も同時に在ります。
しかしながら、それより何より、それらを繋ぐ環ともいうべきものにテレビを中心とするメディア※@が成っているということ。
テレビがしばしば政治への登竜門となり、又メディアに支持された<権力>は長続きし、批判されたら<権力>を維持することさえ困難になってくる。 <権力者>とはー少なくともその必要条件※Aとはー<メディアの寵児>に他ならないことを示したのが小泉政治と言えるのではないか?
だとすると、メディアが世を蓋い尽くすと共に、そのメディアが権力と一体化しつつある、と言ってもいいのでしょう。
そうだとすると、今日のボナパルティズムの様相は、メディアを中心にして考察されなければならない。
※@新聞や雑誌を含む色々な媒体が、テレビを中心にメディアミックスとも言える様に相互交流し、言わば複合的な相乗効果をもたらしてる。
※A十分条件は(アメリカの意思を背景にした)官僚の支持。
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