★阿修羅♪ > カルト7 > 152.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
『タルムードの中のイエス』:俗説を完全粉砕する学術書
http://www.asyura2.com/09/cult7/msg/152.html
投稿者 はちまき伍長 日時 2009 年 5 月 05 日 13:41:07: Zpc9bbdVkJn3c
 

ユダヤ教の経典『タルムード』の中にイエス・キリストに対する非常に侮辱的な章句が多く含まれているということは広く知られていますが、中には「タルムードにはそんなこと書いてない、全部反ユダヤ主義者のでっちあげだ」と主張する頭のおかしい人もいます。大衆向け俗書の内容を鵜呑みにせず常識を持って見れば「反ユダヤ主義者」のほうが正しい(善悪ではなく正誤のことです)のは明白ですが、それを予備知識のない人に説明するのは骨の折れることでした。
一昨年、プリンストン大学のユダヤ研究プログラム主任Peter Schafer教授による『タルムードの中のイエス』が出たことで、そういう妙な俗説に何の根拠もなかったことがはっきりするのは喜ばしいことです。
Jesus in the Talmud (Hardcover)
http://www.amazon.com/Jesus-Talmud-Peter-Schafer/dp/0691129266/asyuracom-22

ユダヤ人新聞『Forward』にも紹介記事が出ています。
Do Jews Have a Jesus Problem?
http://www.forward.com/articles/105242/

さて、では何故ユダヤ教がこれほどキリスト教に対する憎悪をむき出しにするのでしょうか。この本で引用されている箇所は西暦3世紀から4世紀にかけて書かれたものということです。キリスト教がローマの国教になったのは4世紀も遅く、380年になってからのことですから「キリスト教権力の迫害に対する恨み」といって説明することはできません。キリスト教が権力を持つようになる以前からユダヤ教の側ではキリスト教を嫌う理由があったのです。

私見ですが、その根底にあるのは「イエス・キリストの神性」という教義の問題ではないかと思われます。タルムードのキリスト教を非難する文句の中にはしばしば「偶像崇拝」という言葉が出てきます。偶像崇拝の禁止というのは、字面どおりに神様のお姿を像に刻んで拝むのがいけない、という意味に取られがちですが、もともと神様以外のものを一切拝んではならぬという教えです。日本なら乃木さん東郷さんはおろか狐や蛇の類まで平気で神様に祀っていますが、仮にも一神教を名乗る宗教が教祖を現人神に祭り上げるというのはただごとではありません。

ただ、西暦325年のニケーア公会議で「イエス・キリストは神様」という教義が定まって以来千数百年、もはやキリスト教の根本教義にまでなってしまっているので、臭いもの身知らずでキリスト教徒の側ではおかしいと思いもしないわけです。昨年、キリストの生涯を描いたイラン映画『Jesus, the Spirit of God』がアメリカのフィラデルフィア映画祭に出品されたときのことですが、アメリカ人のブロガーが「見てきた。悪くはなかったけど、キリストが神様じゃないというのは間違ってる」なんて書いてました。

キリスト教徒がこういう頭で凝り固まっているし、ユダヤ教の側から見ればキリスト教は問題外の外道の教えということになるので、ユダヤ教のほうでも正面から神学論争を挑むようなことはせず、タルムードの中で侮辱と嘲弄を浴びせるだけに終始したわけです。そういう文章をキリスト教徒が見てしまうと、せんだってのデンマーク紙のムハンマド風刺画より千倍も侮辱的に感じるのは当然です。自分たちが何ゆえ非難されているのか理解できないのですから、一方的に悪意を向けられたと思うに決まっていますし、キリスト教徒にとって「反キリスト」といえば天魔の類なので、怒りがいきすぎればユダヤ教を悪魔の教えとまで思い込むこともあるでしょう。マルチン・ルターが『ユダヤ人と彼らの嘘』のような文章を著してユダヤ人を非難したのは当たり前の反撃であって、差別や偏見にもとづく「反ユダヤ主義」などではないのです。誰もムハンマド風刺画騒動に対するイスラム教徒の怒りを西洋差別とか西洋に対する偏見に過ぎないなどと片づけはしないでしょう。キリスト教・ユダヤ教双方ともに曖昧な「いわれなき偏見」などではなく明確な宗教的理由から対立していたのです。

昨年ハアレツ紙がポーランドの反ユダヤ主義の動きとして取り上げた、「クラコフの教会が"我々に唾を吐きかけるカイクども"に反対する礼拝を行う」という記事があります。
Krakow church holds service against 'kikes who spit on us'
http://haaretz.com/hasen/spages/953499.html

実のところ「唾を吐きかける」というのは比喩でもなんでもないのです。2004年の記事ですが、こんなのがあります。

Christians in Jerusalem want Jews to stop spitting on them
http://www.haaretz.com/hasen/pages/ShArt.jhtml?itemNo=487412
ギリシャ正教のお坊さんがエルサレムの役所の前で自分の車に乗り込んだところ、キッパをかぶったおじいさんが車の窓をコンコン叩くので窓を下げてみると、顔にペッと唾を吐かれた、という書き出しです。エルサレムではこういうことが日常茶飯事なのです。

エドワード・サイードの友人として、日本ではサイードの文章の翻訳に名前だけが紹介されるイスラエルの人権活動家、故イスラエル・シャハク教授の著書『ユダヤ人の歴史、ユダヤ人の宗教』には、キリスト教会や磔刑像を見たら三度唾を吐くという昔からのユダヤ人の習慣について書いてあります。この書物でタルムードの下品な文章と、それがイスラエル人の生活に与えている実際的な影響について暴露してしまったので、シャハク教授はシオニストからキチガイ扱いされています。英語版ウィキペディアの記事なんかひどいものです。サイードの友人であっても、欧米やその尻馬に乗るばかりの日本の自称平和主義者たちが絶対にシャハク教授の文章を紹介しようとしないのはこういう訳だからです。

Jewish History, Jewish Religion
The Weight of Three Thousand Years
by Israel Shahak
http://www.geocities.com/alabasters_archive/jewish_history.html  

  拍手はせず、拍手一覧を見る

 次へ  前へ

▲このページのTOPへ      HOME > カルト7掲示板

フォローアップ:

このページに返信するときは、このボタンを押してください。投稿フォームが開きます。

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。