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「死傷者が少なすぎる」「鉄道相を更迭せよ」ネット世論が沸騰
2011.7.25 09:08 産經新聞
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110725/chn11072509100003-n1.htm
【温州(中国浙江省)=河崎真澄】中国浙江省温州で23日に起きた高速鉄道の列車追突事故に対し、中国のインターネット上では安全性より建設のスピードを重視した問題や、汚職がからむ手抜き工事などへの疑惑から「人災だ」と指摘する声が相次いでいる。鉄道省ではこれまで「高速鉄道の安全は全く問題ない」(何華武技術主任)としてきたが、重大事故の発生でネット世論は沸騰し始めた。
ネット上では「人災を落雷のせいにするな」「現場のひどさに対し発表された死傷者数が少なすぎる」などと鉄道当局を批判する言葉が渦巻いている。「業績を急いだ指導者が最大の事故責任者だ」「鉄道相らを即刻更迭せよ」と当局者の責任を問う声も大きくなってきた。
24日深夜に温州で記者会見した鉄道省報道官は「落雷による設備故障」が原因と改めて強調したが、ネット上では、「運転士や運行管理センターは何をしていたのか」「設計自体に問題があったのではないか」との疑問も広がっている。
6月30日に開業した北京−上海間の高速鉄道専用軌道線(中国版新幹線)では連日のように故障や不具合が発生。「中国共産党結成90周年の記念日(今年7月1日)に間に合わせようと開業を急ぎ、走行試験を怠ったのではないか」との疑惑も浮上していたが、鉄道省報道官は「日本の新幹線もよく故障する」などと強弁を繰り返していた。
ただ、最近は一部路線の手抜き工事も発覚。今年2月には劉志軍前鉄道相が工事をめぐる汚職事件で更迭された。後任の盛光祖鉄道省は安全対策などを理由に、一部路線の最高営業時速を従来の350キロから300キロに引き下げたが、同省元幹部は中国紙に対し「前鉄道相が世界一にこだわって、安全性を犠牲にしていた」と暴露して波紋を広げた。
中国は日本の新幹線「はやて」をベースに開発した高速鉄道技術の国際特許を米国などで申請。国際特許紛争になる懸念も指摘されている。中国鉄道省は「独自開発で最高速度を大幅に引き上げた」と主張するものの、日本メーカーの関係者は「モーター出力を増やして速度を上げただけで安全上は問題だ」として、重大な事故を引き起こす恐れがあると指摘していた。
中国では定員オーバーの長距離バスが炎上し、乗客ら41人が死亡する事故が発生したばかり。手抜き工事が原因とされる橋梁(きょうりょう)の崩落や道路の陥没事故なども相次いだ。国民の間からは貧富の格差だけでなく、交通や生活の安全面でも胡錦濤指導部が掲げてきた「調和の取れた社会」に対する疑念が強まり、ネット上で不満が充満しているようだ。
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