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「入学金だけで半年分の給料が要る」中国の川柳に見る格差社会の悲惨な実態
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110428/chn11042812050002-n1.htm
2011.4.28 12:04 産経新聞
中国では昔から、「順口溜」という韻文風の風刺文学がある。日本の川柳をいくつかくっつけて出来上がったようなものだ。その内容も川柳と同様、おかしげな社会現象への風刺や惨めな立場にある人々による自嘲などが主である。
ネットの世界ではこの類いのものが常に流布されているが、それらを読んでみると、笑いを誘われながらも中国の世相がよく分かってくる気がする。
たとえば近年来、深刻な社会問題となっている貧富の格差の拡大を反映して、「貧乏人」と「金持ち」に関する次のような順口溜が出回っている。
女房が人と寝るのは貧乏人だが、人の女房と寝るのは金持ちである。
牛や豚を飼う奴は貧乏人だが、犬や猫をペットにする奴は金持ちである。
田んぼで稲を植える奴は貧乏人だが、庭で花を育てる奴は金持ちである。
土を耕す奴は一生の貧乏人だが、土地を売買する奴は子孫まで金持ちである。
ホンモノを作っていても貧乏人のままだが、ニセモノを作るとたちまち金持ちになる。栄養食品を作って売る奴は、しょせん貧乏人だが、有毒食品でも作って売れば金持ちの仲間入りができる。
友人から借金する奴は貧乏人だが、国からカネを掠(かす)めた奴は大金持ちである。
以上の順口溜を読めば、現在の中国で一体どういう人たちが金持ちとなって、逆にどんな人たちが貧困にあえいでいるのかがよく分かる。
とにかく、働き者や正直者が貧乏人となって、悪い奴ほど金持ちになるというのは、まさしく「社会主義大国」中国社会の実情なのである。
それでは、この国の貧乏人たちはどのように生きているのか。次のような有名な順口溜がある。
結婚はしたいけどそれは無理なことだ。マンションも車も持たない俺に誰が嫁に来るというのか。
結婚して子供を産みたいけど、それはまた無理なことだ。産院で帝王切開でもすれば3カ月分の給料が飛ぶではないか。
子供は産んではみたが、学校へ行かせるのは無理なことだ。入学金だけで半年分の給料が要るから。
子供が大きくなってうれしいけど、病気にでもなれば大変なことだ。医療費一つで家がつぶれてしまう。
病気が治らず死にたいけど、それはさらに大変なことだ。火葬代があれほど高騰してどうやって死ねるのだろうか。
この順口溜の言わんとするところは明々白々であろう。要するに「経済大国」と称される中国の貧困層にとって、生きるのも死ぬのも容易ではない、ということである。
「帝王切開で3カ月分の給料が飛ぶ」とか、「入学金だけで半年分の給料が要る」とか、あるいは「医療費だけで家がつぶれてしまう」とかは、決して風刺文学特有の誇張ではない。むしろ今の中国の現実であることがよく知られている。
今年2月6日に国営通信社の中国新聞社が配信した社会記事でも、「食べていくのに精いっぱい」という低層の人々の生活難の実態が克明にリポートされている。
そして4月22日に発表された米調査会社ギャラップの「2010年の幸福度調査」によると、自分の生活について「満足している」と感じている中国人は全体の12%でしかなく、逆に「苦しい」と感じている中国人は71%もいることが判明したという。
この国の民はいつになって、生きることの苦しさから解放されるのであろうか。
◇
【プロフィル】石平
せき・へい 1962年中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒。88年来日し、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関を経て、評論活動に入る。『謀略家たちの中国』など著書多数。平成19年、日本国籍を取得。
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