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【ブログ】中国、食品の安全確保に苦慮−拝金思想が背景に
China Real Time Report
2011年 4月 26日 12:32 JST
インク、染料、漂白剤、ワックス、それに有毒化学物質――これらは最近中国の食品に混入しているのが見つかった物質のほんの一部だ。政府が食品への異物混入を厳重に取り締まると繰り返し約束しているにもかかわらず、食品の安全に対する懸念が再燃している。
なぜ中国では食品の安全確保にこれほど大きな問題が生じているのだろうか。
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イメージ
Sean Yong/Reuters
ハム加工場(10日、中国・浙江省金華)
中国で食品関連の不祥事が発生するのは珍しいことではない。だが、ここ1カ月で明るみになった一連の食品汚染事件は、このような事件に慣れてしまっている地元の人々にまでショックを与えた。同国南部広東省の衛生当局はここ数日間で、麺メーカー17社を閉鎖させた。生地にインクとワックスを混ぜていたことが判明したためだ。一方、湖南省長沙市では先週末、添加物クレンブテロールの入った肉を食べて、300人近くが体調を崩したとの報道があった。クレンブテロールは「脂肪分を少なくする」違法添加物で、3月に食肉業界に対する取り締まりが行われたばかりの物質だ。
最も奇怪な事件は恐らく、今月、同じ長沙市でおこった事件だ。夜、台所に入ってみたら、店で買った豚肉が暗闇の中で光っていたとの事例が消費者から多数寄せられたのだ。
中国政府は長年、食品の安全確保に苦慮してきた。この問題は2008年に頂点に達したかにみえた。この年には工業用化学物質メラミンに汚染された乳児用ミルクによって少なくとも6人が死亡、数万人が健康障害を起こした。政府は衝撃を受けて断固たる措置を講じたかにみえた。しかし、結局のところメラミンは、他の化学物質や違法な添加物とともにまた中国の食品の中に使われている。このため、中国政府はなぜこのような基本的な問題を解決できないのか、と多くの観測筋がいぶかしがっている。
米ウィルマーヘール法律事務所のレスター・ロス弁護士(在北京)は、一番の問題は、何を犠牲にしても手っ取り早く金を稼ぎたいと考える傾向があることだと指摘する。添加物を使うことで経費を削減し、利益率を上げられると考える企業があり、そのような企業は添加物が消費者にもたらす影響まで考えないのだという。
ロス氏によると、解決法は消費者への周知徹底キャンペーンを行うことだ。例えば、中国当局は地下鉄、バス停、それにテレビにも、食品に化学添加物を使うことの危険性を知らせるためのメッセージや広告を出すことができる。
ロス氏はまた、化学物質を口にして病気になったという中国国内メディアの報道が周知の助けになっていると指摘した。最近数日間の多くの報道によって、中国の消費者はクレンブテロールの入った肉は脂肪分が少ないかもしれないが、頭痛、吐き気、それに動悸(どうき)をもたらす可能性があることを知った。また野菜は亜硝酸ナトリウムを使うと生長が早くなるかもしれないが、がんが引き起こされる可能性があることも知った。
国営英字紙チャイナ・デーリーが伝えたところによると、中国保健省は年末までに合法的な食品添加物のリストを修正して公表する計画だ。また、違法な添加物のブラックリストも作成する予定だという。
しかし、国民への周知は問題解決の一部でしかない。ロス氏によると、もう一つの問題は、ことわざに言うように「台所にいるコックの数が多過ぎる」、つまり食品安全を担当する役所が多過ぎることだ。同氏によると、食品安全問題を扱う中心的な組織は保健省だが、国家工商行政管理総局、国家食品薬品監督管理局、それに農業省も関わっている。
食品の安全確保は中国特有の問題ではない。北京大学公衆衛生学部のウー・ミン教授は、米国や日本を含む多くの国々も食品業界で同じような悩みを経験してきたと指摘した。
米国では19世紀末に、食品の製造・加工時の衛生と汚染に関する問題がはびこっていた。中国法を専門とするスタンリー・ルブマン氏が最近指摘したように、作家アプトン・シンクレアが1906年に小説「ジャングル」の中でシカゴの食肉加工場の恐ろしい現状を明らかにするまで、米国では食品安全の問題が注目されていなかった。
ミン教授は、米国と中国の一番大きな違いは食品業界の「規模」にあると指摘し、中国では食品に係わる企業の数が多く、その結果、規制が難しいと言う。同教授は「一夜にしてこのような問題をなくすのは不可能だ。長い時間が掛かるだろう」と語った。
記者: Laurie Burkitt
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