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2011年1月31日 掲載
フランスの文明批評家が語った中国経済急成長の実像
「脅威論」に振り回されるのは日本だけ?
日本で語られる「中国論」は一面に過ぎないと思った方がいい。メディアを通して流されるのは、声が大きい「嫌中派」か、嫌中派に媚びる中国人の見方ばかりだから、自然と意図的な中国脅威論が多い。GDPが日本を追い越して世界2位となったニュースも大げさに報じられているが、実際は、中国の急成長をどうとらえればいいのか。
フランスを代表する文明批評家のギ・ソルマン氏(66)が26日、都内で「中国の強さ」に疑問を投げかける講演を行った。
最高学府のパリ政治学院で経済学を講じ、「幻想の帝国―中国の声なき声」などの著書のあるソルマン氏は講演で、「中国は経済成長も平均7%。共産党は、教養がある特殊な組織、政治、経済で成功している」としながらも、「目の前の豊かさを求めるあまり、持続的発展に目を向けていない」ことを指摘した。
中国は「世界の工場大国」でありながら、発展を感じさせない理由をこう話す。
「農業人口が都市に移動し、組織力により、下請けもきちんと成り立っているが、大きな脅威とならないのは、技術革新に欠けるからだ」
また、失業率の高さも活力をそぐ要因だ。「大学卒業して2年経っても就職できない。資格に見合った求職がない」と強調。
さらに、「ひとりっ子政策で、結婚相手の見つからない男性が増え、しかも高齢化が進んでいるが、年金制度などもありません。土地も私有化させない。そのため、田舎での反乱は多い」「中国は、統合するどころか、貧しい者と富める者に分裂させている」と、不安定要素を語った。
急成長急拡大の中国だが、内実は伴ってないとなれば、市場として商売相手として日本がつけ込むスキはいくらでもある。脅威論だけに振り回され、過剰に毛嫌いしないことが重要なのだ。
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