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沖縄県・尖閣諸島の近海を航行する中国政府の漁業監視船を28日、朝日新聞社機「あすか」から確認した。すぐ脇を海上保安庁の巡視船が並走しながら警戒しており、曇天に覆われた洋上は緊迫した雰囲気に包まれている。
現場は魚釣島の南東約50キロ。午後2時半ごろ、船尾に赤い中国国旗を掲げた白い船体の漁業監視船が島を左に見る形で北東へ針路をとった。側面に「中国漁政203」とある。中国農業省の漁業監視船だ。甲板に人影はない。その約500メートル島寄りに、海保の大型巡視船が立ちはだかるように並走。さらに島寄りに巡視船がもう1隻、後方にも3隻が追走しており、領海に侵入しないよう、漁業監視船に無線で注意を続けているという。
漁業監視船は、中国漁船と海保巡視船の衝突事件後の10日未明に尖閣近海に2隻現れた。18日以降、いったん姿を消したが、24日夕から再び日本領海のすぐ外側で航行を続け、海保が警戒にあたっている。
衝突事件の引き金になったのは、周辺海域で急増した中国漁船による違法操業だったとみられる。
尖閣諸島付近の日本領海で違法操業の疑いがあるとして、海保が外国船に立ち入り検査したのは、2008年に2件、09年に6件だった。このうち中国漁船は08年の1件だけで、残り7件は台湾漁船だった。
ところが、今年に入って立ち入り検査は21件と急増。このうち11件が8月以降に集中し、すべて中国漁船だった。海保によると、尖閣諸島周辺の日本領海やその外側の排他的経済水域(EEZ)には8月中旬から中国漁船の姿が増えるようになり、多い日には70隻が領海内で確認された。事件があった9月7日にも30隻が領海に入っていた。
海保は「中国船を狙い撃ちにしているわけではない。立ち入り検査の対象は、故意に領海深くに入って操業する漁船だ」と説明する。
事件後、尖閣諸島の周辺で中国漁船は確認されていない。28日も、日本の漁船とみられる小舟が数隻みられたほかは、不審な船は見あたらなかった。(佐々木学、永田工)
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