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http://jp.wsj.com/US/Economy/node_106506
米国の政治家が、中間選挙を控え中国に強硬姿勢をとるのはおかしなことではない。しかし、だからといって米国の政治家の対中姿勢に一貫性があるというわけではない。
現在論争の的となっている2つの問題を取り上げよう。一つは中国の為替政策であり、もう一つは中国鉄鋼最大手の鞍山鋼鉄集団の対米投資計画である。中国の為替政策を批判する人たちは、人民元がドルに対し大幅に過小評価されており、米国の雇用を奪っていると主張する。人為的な元安により、中国製品の輸出価格を低く抑え、米国の産業の競争力をそいでいるというのだ。批判派は、対抗策として中国製品に報復関税を課すよう求めている。
一方、中国国有の鞍山鋼鉄と米スティール・デベロップメントとの合弁事業計画に対する反対派にとって、雇用はそれほど重要な問題ではなさそうだ。鞍山鋼鉄とスティール社はミシシッピ州に製鉄所を建設する計画で、鞍山鋼鉄は最終的には米国内5カ所に製鉄所を設置する可能性がある。
一見したところ、この投資は米国の雇用を増加させそうだ。だが、投資計画の反対派にとってはそれだけでは十分ではない。反対派は、鞍山がノウハウを取得し、中国の鉄鋼業の競争力を強化するためだけに投資しようとしているのではないかと恐れているのだ。鞍山が計画に従って合弁事業に14%出資することは、米国の安全保障に脅威を与えると主張する向きさえある。
世界の唯一の超大国である米国は、中国企業が鉄鋼会社との合弁事業に2350万ドル(20億2000万円)を投資することで驚くほどの被害を受けるのかもしれない。それ以上に、中国の鉄鋼会社が米企業を食い物にして台頭するのを阻止したいと望む人たちが徹底した保護主義を訴えている可能性もある。
確かに、この問題は中国に対する米国の混乱した見方を明るみに出した。中国の為替政策は米国の雇用にマイナスの影響を及ぼすとして批判される一方、米国の雇用創出に役立つ可能性のある中国の対米投資は不信の目で見られている。
保守系のシンクタンク、ヘリテージ財団のデレック・シザーズ氏によれば、中国製品に関税を課したり、中国の投資を阻止したりすれば、中国だけでなく米経済にも被害をもたらすと主張する。中国からの輸入品を割高にしても、衰退した米産業が息を吹き返す可能性は小さい。輸入先が、中国から最近自国通貨が下落しているベトナムなどに置き換わるだけだろう。
確かに、中国の貿易・投資姿勢に対して文句を言うのはもっともなことだ。だが、同じ批判が米国政府にも当てはまるかもしれない。
[ハード・オン・ザ・ストリート(Heard on the Street)は1960年代から続く全米のビジネス・リーダー必読のWSJ定番コラム。2008年のリニューアルでアメリカ、ヨーロッパ、アジア各国に 駐在する10人以上の記者が加わり、グローバルな取材力をさらに強化。刻々と変わる世界市場の動きをWSJ日本版でもスピーディーに紹介していく]
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