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同床異夢の「東アジア共同体」中国も姿勢転換 豪州構想も【産経】
http://sankei.jp.msn.com/world/asia/091024/asi0910241937002-n3.htm
2009.10.24 19:25
【フアヒン(タイ中部)=宮野弘之】
タイで開かれている東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の首脳会議で日本と中国は24日、「東アジア共同体」構想に向けた姿勢をそれぞれ表明。
共同体をめぐる地域での主導権を競う形となった。
これに対し、ASEAN首脳は将来の統合の形としての共同体構想は歓迎しながら、あくまで「ASEAN統合が第一歩」(アピシット・タイ首相)として日中の綱引き合いに警戒感を隠さない。
インドや豪州の思惑も交錯し、東アジア共同体構想は、まさに同床異夢といえそうだ。
「東アジア共同体構想について伺いたい」。
ASEAN首脳会議の議長を務めるタイのアピシット首相は24日、鳩山由紀夫首相との会談の冒頭、こう切り出し、説明を迫った。
「われわれはこれまで成し遂げたことを誇りを持って振り返ることができる」と、一連の首脳会議の開会宣言で強調したアピシット首相はじめASEAN各国首脳にとっては、日本の提案はこれまでの取り組みを、まるで評価していないように映ったようだ。
日本に対するASEAN側からの小さな疑念のすき間を縫うように、中国の温家宝首相は24日のASEAN首脳との会談で、ASEAN統合への協力推進とともに将来の共同体実現に向け協力していく考えを示し、中国主導での共同体実現に意欲を示した。
先の日中首脳会談で日本側が東アジア共同体について説明した際の反応は冷ややかだったにもかかわらず、今回のASEAN首脳会議の直前、中国外務省幹部は、記者会見で中国が同構想を会議で取り上げる方針であることを表明した。
中国はASEAN首脳との会議でASEAN向けに創設する100億ドルの投資協力基金などを活用しASEAN加盟国間の格差を是正し統合を促すことなどを表明。
さらに知財保護を含めた情報交換を行うASEAN・中国センターの創設などを盛り込んだ覚書をかわした。
来年1月には中国・ASEAN自由貿易協定(FTA)に基づきASEAN中国自由貿易圏(ACFTA)が事実上スタートする。
中国を中心とする経済圏構想は着々と形作られている。
いまのところ中国は「東アジア共同体」にどの国が含まれるのか言及していない。
日本はこれまで中国を牽制(けんせい)する意味で、インドやオーストラリアがASEANとの連携を強化することを支援してきた。
もっとも、オーストラリアのラッド首相は昨年来、米国も含むアジア太平洋共同体の2020年までの創設を提唱。
25日の東アジア首脳会議で各国に同構想を改めて説明し、賛同を求めていく考えだ。