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BusinessWeek誌より引用
中国政府は、ついにドル偏重からの脱却に本気で取り組み始めたのではないか。それどころか、人民元を米ドルの後釜として、世界経済の基軸通貨に据えようとさえしているのではないか。最近、こうした疑念を裏づけるような事実が増えつつある。
3月以降、中国はドルへの過剰依存体質に対する危惧を表明してきた。長年の対米輸出による外貨獲得や米財務省証券(米国債)の大量購入により、中国政府のドル資産保有額は、2兆ドル(約190兆円)に達している。米国が財政赤字の膨張に歯止めをかけられず、米国債とドルが暴落すれば、中国は莫大な損失を被る恐れがある。
中国指導部は、ドル建て国有資産の価値低下を懸念する3月の温家宝首相の発言を皮切りに、こうした問題について積極的な発言をし始めた。温首相の発言の10日後には、中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁が、ドルに代わる新しい国際準備通貨の必要性を提起。ドルに代わる新準備通貨として、国際通貨基金(IMF)が管理する多通貨バスケットを利用するのも一案だと論じた。
人民元、為替自由化へ?
今まで懐疑派は、中国政府のこうした言動を口先での牽制にすぎないと見てきた。というのも、米国は世界一の経済大国として圧倒的な地位を保っており、国際基軸通貨としてのドルも揺るぎない地位を確立しているからだ。
いずれにせよ、中国政府は慎重に行動する考えであり、中国指導部の真意が人民元の世界的地位向上にあったとしても、短中期的に人民元の国際通貨化を推し進めるとは考えにくい。
また、中国が国際貿易の分野で、人民元をドルに代わる通貨にするつもりなら、人民元を、世界中のトレーダーや投資家、各国政府、企業の自由売買によって為替レートが決まる交換可能通貨にする必要がある。
多くの欧米投資家は、共産党の一党独裁体制を取る中国が、人民元の為替レート決定権を手放すはずがないと主張していた。為替が自由化されれば、中国国内のあらゆる金融取引への参入が容易になり、証券市場をはじめとする中国金融市場への外資の流入は避けられない。中国政府がそのような状況を受け入れるはずがないというのだ。
だが、最近、一部の観測筋は見方を変えてきている。きっかけは、ここ2カ月間における金融関連での中国政府の動きである。欧米の専門家は、中国指導部が今後数年以内に人民元の為替自由化に踏み切り、ドルとの覇権争いに向けた大きな一歩を踏み出すとの見方を強めている。
観測筋の見方が変わってきたのは、以下のような動きがあったからだ。4月、中国政府は、アルゼンチンや香港、インドネシア、マレーシア、韓国などの各国・地域政府と、新たな「通貨スワップ協定」の締結を完了した。
この協定により、中国は、相手国・地域の通貨を受け取る代わりに、人民元を各国・地域の中央銀行に提供し、中国との貿易に利用してもらう。この結果、協定を結んだ国・地域が対中貿易決済の媒介通貨として米ドルを利用する必要性は、理論上完全になくなった。
5月19日には、中国とブラジルが米ドルを介さず両国通貨のみで貿易決済を行う計画を協議した。この計画の規模は不明だが、前述の通貨スワップ協定は、総額で6500億元(約9兆円)の規模となる。比較として2008年の米中貿易額を挙げると、3330億ドル(約32兆円)であった。
ドルの最大の強みは“安全性”
とはいえ、中国には、いくつか克服すべき大きな課題がある。人民元の為替自由化もその1つだ。世界の主要中銀は、自由に売買できない通貨の大量保有を望まないが、各国中銀が大量に保有しなければ、国際準備通貨にはなり得ない。
人民元建て債券の大規模な市場がないことも課題だ。米国などの先進諸国が人民元建て債券を市場相場の利率で購入したり、売却したりするようになれば、人民元が準備通貨として認められた重要な証拠と言える。現在、人民元建て債券は、中国の国内銀行と、アジア開発銀行(ADB)や世界銀行傘下の国際金融公社(IFC)などの国際金融機関だけが発行しており、発行場所も中国国内にとどまる。
ただし、この点に関しては、つい最近、新たな動きが出てきている。英銀大手HSBCホールディングス(HSBC)と香港の中華系最大手、東亜銀行が、外資系銀行として初めて、中国国内での人民元建て債券の発行を認められたのだ(関連記事)。
それでも、中国が米ドルの地位を脅かすことができるかは疑問だ。ブラジルのグスタボ・フランコ元中銀総裁は、ブラジルと中国が今後一切ドル建てでの貿易取引をしなくなるという考えを「全くのたわごと」と一蹴した(関連記事)。
米シンクタンク、ピーターソン国際経済研究所(IIE、ワシントン)のエコノミスト、モリス・ゴールドスタイン氏も、「当面、懸念材料はいくつかあるが、米ドルの安全性は不安を補って余りあるものだ。流動性を求めるなら、誰もが米ドル資産を買う」と指摘する。
だが、欧米の中国専門家の間では、中国がドル基軸体制に挑戦する方向に確実に歩み出しているという見方が大勢を占めてきているようだ。中国は現在まだ外堀を埋めている段階で、明確な方針を打ち出す政治決断をしていないだけだと多くの専門家は分析する。
その決断の時は近づいてきているようだ。
5月20日、中国銀行業監督管理委員会(銀監会)上海支局の張光平副局長が、人民元は2020年には重要な準備通貨となっている可能性もあると発言。張副局長は記者団に、2020年は、上海をロンドンやニューヨークと並ぶ国際金融都市とする計画を実現する目標年でもあると述べた(関連記事)。人民元の為替が自由化されていなければ、上海を中核金融都市にしても意味がない。
2012年をメドに為替自由化?
今後10〜15年で人民元の基軸通貨化を目指すという目標期間は、欧米の多くの専門家の予想とも一致する。
だが、中国政府が、もっと早く自由化に動くと予想する向きもある。IEEの中国専門家ニコラス・ラーディ氏もその1人で、人民元を交換可能通貨にするという考えは、中国指導部内で以前からあったと指摘する。中国が初めてその考えを表明したのは1990年代のことだが、1997年のアジア通貨危機で頓挫してしまったと同氏は語る。
「2〜3年以内に為替が自由化されてもおかしくない。我々は、中国政府がこれまで金融システムを多面的に改革してきたことを過小評価しがちだ」(ラーディ氏)
実施時期がいつであれ、為替自由化は中国経済にとって重大な転機となる。中国政府は外国為替業務の取扱業者や国内へのドル流入額などを規制し、人民元の為替レートを厳しく統制し続けてきた。多くの専門家は、人民元のレートは低すぎると見ている。
米シンクタンク、外交問題評議会(CFR)の通貨問題の専門家、ブラッド・セッツァー氏は、「中国は輸出企業を支援するため、人民元を市場での交換価値より低く設定したままだ」と述べている。同氏はCFR公式サイト内でブログ「フォロー・ザ・マネー」の執筆を担当している。
中国が保有する巨額のドル資産の問題もある。米金融シンクタンク、RGEモニターの中国専門家レイチェル・ジエンバ氏は、「中国がドル買いをやめたら、保有しているドル資産の価値も目減りするため、中国政府が短期的に政策を変更することはない」と予想する。
中国がドル建て資産の保有リスクを徐々に軽減する1つの方策は、保有資産を長期米国債から中短期債に替えることだ。そうすれば、中国はより柔軟にドル依存体制からの脱却が図れるだろう。
米ニューヨーク・タイムズ紙は先ごろ、中国がドル建て保有資産の総額規模は変えないものの、保有資産を満期期間1年以内の債券にシフトさせているようだと報じた。これは従来、見られなかった動きだ。
私のコメント
覇権国の通貨が基軸通貨なるのである
中国が次の覇権国にはなれないのと同様に
人民元が基軸通貨になる事などありえない
アメリカの次に覇権国になるのは、紛れもなく日本である
ドルの次に基軸通貨になる可能性が一番高いのは日本円である