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【以下転載記事】
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宮崎口蹄疫騒動を検証する(第17回)
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宮崎口蹄疫騒動を検証する 原田 和明
第17回 口蹄疫特措法に反対だった赤松農水相の失脚
東国原知事は「リングワクチンは、何の罪もない人から全てを奪うから、二度
としてはいけない」と言う。それを可能にした口蹄疫特措法はどのような経緯
で成立したのでしょうか? 本来の責任者である鳩山首相と赤松農水相(当時)
は最初からリングワクチンに反対でした。しかし、二人はマスコミのバッシン
グを受け、失脚してしまいます。そして入れ替わりに、ワクチン推進派の山田
副大臣が台頭してきたのです。
「そのまんま日記」(7月17日)より以下引用。
リングワクチンは二度としてはいけない。確かに、あの時は蔓延防止・拡大
阻止のために致し方無かった。言葉に語弊があるかも知れないが、これは、
何の罪もない人から全てを奪う無差別攻撃なのである。この悲劇は経験した
者でなければ分からない。二度と経験してはいけない、させてはいけないこ
となのだ。
だから、山田大臣が良く言う「もし、次にリングワクチンを打つような事態
になったとき・・・」というのは、地元の気持ちを考えれば、軽々しく言っ
てはいけないことなのだ。それは、僕にとっては、(例えは不適切かも知れ
ないが)「もし、次に原爆を落とすような事態になったとき・・・」と国民
に言われているような気がして、到底受け入れられるものでは無いのだ。そ
れは、絶対にあってはいけないことなのだ。(引用終わり)
対する山田大臣はリングワクチンの必要性に対し、一点の疑念もないようです。
これでは交渉になるはずがありません。山田正彦のブログ「薦田さんの種牛6
頭の殺処分に、心から感謝。」(2010年7月18日(日曜日) )より以下引用。
例外を認めていては再びワクチン接種しなければならない場合に応じる人が
いなくなるおそれがある。ここは譲れない。
法令上もワクチン接種地区の偶蹄類はすべて殺処分することになっている。
「・・・どうしてもやれないなら、国としては地方自治法のもとづいて代執
行も辞さない」
「・・・」
東国原知事との会談は物別れに終わった。
もともと、このことは当初から心配されていた。
薦田さんは、熱心に種牛の育成に取り組んだ地元でかなり知られた方で、民
間でも品評会で優勝するなどの実績を上げていた。
ところが宮崎県は薦田さんの種牛をこれまで宮崎牛のブランドとすることも
認めず、精液の扱いも差別されて県とも裁判をするなど複雑な状況にあった。
当時、現地対策本部長として、燃え盛る口蹄疫を封じ込めるにはワクチン接
種するしか他に方法がないと決断したときに、私が一番気になったのが薦田
さんの種牛だった。
果たして薦田さんは、県の説得に応じてワクチンの接種に応じて殺処分して
くれるだろうか。
そのためにも、必要がないという赤松農水大臣に、薦田さんの種牛6頭の話
を持ち出して、強制殺処分ができる法案「口蹄疫対策特別措置法」を急遽、
先の国会で成立させたいきさつがあった。(引用終わり)
当事者のブログには、新聞記事からは伺い知ることのできない情報が詰まって
います。私が注目したのはワクチン接種を決断したのは鳩山首相でも、赤松農
水相でもなく、山田副大臣だったという告白です。そう言えば、そのまんま日
記(7月17日)に、
現地対策本部長の山田氏が「僕がここに来たのは、ワクチンを打ちに来たん
だよ」と嬉しそうに、まるで宮崎が実験場であるかのように仰られた。
というくだりがあります。しかし、決断したといっても、財産である家畜をす
べて殺されてしまう地元農家に対して、自ら説得を試みるといった一番苦労し
そうな部分はハナから考えていなかったようで、知事に丸投げで、しかも、知
事を恫喝するという最低の手法でした。そのまんま日記(7月17日)より 以下
引用。
5月18日、ワクチン接種を 山田大臣(当時まだ副大臣)に迫られた。「知事
さん、このリングワクチンを地元に説得出来なければ、あんたのリーダーと
しての資質は無いんだ。知事として失格だな」と低い声で言われた。国の責
任でやると言っておいて、地元や農家さん達への説得・同意等は地元首長達
に押し付けるのだ。その高圧的な物言いにも到底納得が行かなかったし、貴
方なんかに言われる筋合いは無いと思ったが、あの時、そんなことをとやか
く言っている時間的余裕は無かった。(引用終わり)
それにしても、どうして、首相、大臣を飛び越えて副大臣が決断したのでしょ
う? 副大臣は首相、大臣の指示に従う立場です。それなのに山田副大臣(当
時)は赤松大臣を「薦田さんの種牛を引き合いに出して説得した」というので
すが、そんなことは 越権行為ではないのでしょうか? 現在の 篠原副大臣は
「薦田さんの種牛について、固体検査はしてもいいのではないか?」と山田大
臣に意見は言っても、それ以上の行動は控えています。(第13回)それが組織
というものです。(以下引用)
赤松広隆農相は5月18日の閣議後会見で、(中略)家畜伝染病予防法の改正や
特別措置法の必要性については「今、とりたててやらなければいけないとい
うことはない」と否定的な考えを示し、「この方針で行こうと(17日に鳩山
由紀夫首相と)下打ち合わせの話ができた」と明かした。(5月18日毎日新聞)
赤松農相だけでなく、鳩山首相も特措法には否定的だったようです。その理由
は「人の財産権を侵す話で、物理的にも無理がある」(産経新聞5月18日(火)
15:14)と述べています。一定エリア内にいる というだけで、健康な家畜を全
頭殺処分というのは、憲法29条「財産権は、これを侵してはならない」に抵触
するというわけです。そして、10万頭以上の家畜を殺して埋めるための労力や
場所の確保、そのための補償のことなどを考えると「物理的にも無理」と判断
したのだと思われます。
二人は「リングワクチンは、何の罪もない人から全てを奪うから、やってはい
けない」という立場だったと考えられます。
これでは、「清浄国に復帰することの重要性」をいくら山田副大臣が説いたと
ころで、議論がかみ合うはずがありません。しかし、「赤松大臣は『だから殺
せと言ったんだよ』と笑って発言された」(そのまんま日記7月17日)との証言
もあり、赤松大臣がどこまで財産権の侵害について考えていたかはよくわかり
ません。
実際に成立した口蹄疫特措法は、その無理難題をすべて宮崎県に押し付けて、
農水省は宮崎県にやれと命令するだけでよいというものでしたが、二人が「そ
れならOK!」と言うとも思えません。
ところが産経新聞は、赤松大臣が「人の財産権を侵す話」と言っているにも関
わらず、「感染家畜が出ていない農場も含めた予防的な全頭処分の可能性に言
及した」とかなり強引な 印象操作を行なっています。産経新聞(2010年5月18
日(火)15:14)より以下引用。
赤松広隆農水相は18日午前の閣議後の記者会見で「(感染拡大防止のため)
あらゆることを含めて検討している」と述べ、発生地域内でのワクチンの使
用や、感染家畜が出ていない農場も含めた予防的な全頭処分の可能性に言及
した。
農水省が検討している全頭処分は、感染が確認されている地点から一定の半
径内が対象。県内全域など、一部で要望が出ている広域での全頭処分につい
て農水相は「人の財産権を侵す話で、物理的にも無理がある」と述べ、否定
的な見解を示した。
農水相は一定地域内での全頭処分について「限定された地域で所有者の了解
を得ながらなら、今の法律でもできる」と述べ、現行法の枠内で対応可能と
の認識を表明。家畜伝染病予防法の改正や特別措置法の制定は必要ないとの
考えを示した。家畜伝染病予防法では、口蹄疫の陽性反応が出た家畜と、同
じ農場内の家畜が殺処分の対象となる。(引用終わり)
その後、口蹄疫特措法は、鳩山首相や赤松大臣がマスコミの力により発言権を
奪われる形で成立していきました。2010年5月18日(火)8時0分 配信 産経新聞
より以下引用。
赤松氏は4月20日に感染が確認されていたにもかかわらず、30日から9日間、
中南米を訪問した。この間、殺処分対象の牛と豚は4369頭から一気に14倍以
上の6万2426頭に跳ね上がった。しかし、5月8日に帰国した赤松氏が 真っ先
に向かったのは栃木県。民主党衆院議員の後援会会合出席のためだった。
赤松氏がやっと宮崎県を訪れたのは10日になってから。鳩山首相は対応の遅
れについて、「必要以上にさまざまな風評が立つと、農家の方が困る」と釈
明したが、すでに感染は拡大しており、風評被害を気にする段階は過ぎてい
た。赤松氏は17日昼、首相との会談後も記者団に「対応が遅れたとは思って
いない」と自己正当化を試みた。
国会周辺では17日、「口蹄疫被害拡大は政府のテロに等しい」と題し、「政
府が備蓄した消毒薬を民主党幹部が地元に流した」とするビラがまかれた。
農水省は「国は消毒薬を備蓄する仕組みになっていない。ましてや『横流し』
なんて完全な作り話だ」と否定するが、政府の対応の遅れが疑惑を招いたと
もいえる。
首相は今回、赤松広隆農水相がトップの同省対策本部では対応できない事態
と判断し、自ら指揮を執る選択をした。背景には、被害拡大の中、現地から
の悲鳴をよそに外遊や政治活動を優先した赤松氏への批判の高まりもあると
みられる。(引用終わり)
東京では民主党幹部が消毒薬を横流しというデマが流されたようですし、赤松
大臣は、ネット上で「赤松口蹄疫」なる言葉が飛び交ったように、「大臣の外
遊が感染を拡大させた」かのような言われ方をされ、まるで犯人扱いのようで
した。そして、地元・宮崎県では道休誠一郎議員(民主党・宮崎二区)が口利
きした韓国人研修生が感染源だとする噂が流されたり、とこの時期、民主党に
対するかく乱情報が飛び交っていました。
鳩山首相は普天間問題 5月末決着の期限切れを控えて、5月4日に沖縄を訪問、
普天間基地の県外移設断念を表明して、轟々たる非難を浴びていました。とて
も口蹄疫の陣頭指揮を執れる状態ではありませんでした。それでも赤松大臣を
トップに据えられないほどバッシングが酷かったのだろうと考えられます。既
に内閣の意見など聞く必要がないとばかりの雰囲気作りがマスコミによって醸
成されていたと考えられます。その中で鳩山首相は責任を追及されています。
首相公邸前で記者団が「政府、県の対応に問題はなかったか」と質問したの
に対し、「一定の部分はあると思う」と答えた。(2010年5月18日(火) 12時
23分配信 読売新聞)
このように、憲法29条の財産権に抵触しかねない口蹄疫特措法を鳩山首相や赤
松大臣に呑ませたのは、マスコミの力であって、山田副大臣の説得によるもの
ではありません。特措法も議員立法という形ではありますが、農水官僚の作文
であることは第12回(GEN765)で言及しました。つまり、口蹄疫特措法の成立
は農水官僚とマスコミが協力して「財産権の侵害はできない」という赤松大臣
を追い落とした成果なのです。(産経ニュース2010.5.25 12:52)より以下引用。
赤松広隆農水相は5月25日午前の 衆院農林水産委員会で、宮崎県で被害が拡
大している口蹄(こうてい)疫問題について、「私としては誠心誠意、必要
と思うことをやってきたつもりだが、結果としてこれだけ広範囲に口蹄疫が
広がったことについては大変申し訳ない気持ちでいっぱいだ」と陳謝した。
自民党の谷公一氏の質問に答えた。
これまで赤松氏は「結果責任はある」としていたが、初動対応に遅れがあっ
たとの指摘には「反省するところはない」と語っていた。一方、赤松氏は同
委員会で、被害拡大の最中に外遊に出かけたことについては「私が行ったこ
とで急に発症が大きくなったということはない」と述べた。(引用終わり)
赤松広隆農水相の失脚とともに、5月22日、ワクチン接種が始まっています。
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