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激震 口蹄疫:宮崎日日新聞
http://www.the-miyanichi.co.jp/special/kouteieki/index.php?id=328&paging=17
【連載企画】緊急リポート(上)(2010年4月29日付)
■「まさか…」不安現実に 隣県巻き込む戦いへ口蹄(こうてい)疫問題は28日、畜産関係者が恐れていた広域化という局面に突入した。突然の事態に「まさか、えびので」「児湯のようになるのが怖い」と驚き、恐れる地元の農家。感染は牛だけで、発生地域も狭かった前回(2000年)の規模を大きく超え、鹿児島、熊本県も「ついに県境へ来た」と危機感をあらわにする。県や市町村、畜産関係団体は、防疫作業や家畜の殺処分に続々投入される消毒物資と人員確保に追われ、疲労の色を濃くする。
えびの市は農業粗生産額の7割を畜産が占めるため、畜産農家700戸に消毒剤を配布するなど水際対策に力を入れてきた矢先だった。突然、移動制限区域内に入った農家男性(59)は「川南、都農で発生したが、まだ余裕があると思っていた。まさか、えびので」と予想外の展開に肩を落とす。
感染疑い農場から数キロ内にある農家の男性(80)は「年間30頭の肥育牛を出しているが、計画は完全に崩れた。(児湯郡のように)後が怖い」と苦しげに語る。
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隣県にも衝撃が走った。熊本県は同日、移動、搬出制限区域内と近隣の1市9町村で対策会議を開催。消毒ポイント設置や既に聞き取り調査を終えた畜産農家の再調査を決めた。
養豚出荷額で全国1位、肉牛では2位の鹿児島県は感染疑い続発を受け、27日に口蹄疫対策本部(本部長・伊藤祐一郎知事)を設置。同県畜産課の宮里俊光環境飼料監は「関係機関で気持ちを一つに水際で防ぎたい。宮崎と鹿児島は互いに畜産県。連携を密にしたい」と話す。
肉牛、養豚で県内一の産出額を誇る鹿屋市も「ついに県境へ来た」と28日に防疫対策本部を設けた。5月競り市の中止・延期やイベントの中止も相次ぐが、ある畜産関係者は「行事は来年も開ける。でも口蹄疫が入ってくれば、鹿児島の畜産に来年はない」と事態の深刻さを理解する。
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続発と広域化に伴い、防疫現場での人手と消毒薬の不足も懸念される。県畜産協会(宮崎市)は防疫に使う炭酸ソーダ1万7千袋(1袋25キロ)を県内外の扱い業者に発注。来月3日ごろまでに県内畜産農家約1万500戸に順次配布する。
同協会衛生指導部の安藤忠弘部長は「連休中の確保のめどはつきそうだが、製造元の生産が追いついていない。全国で取り合いが起きている商品もある」。
防疫現場の苦闘も続く。28日には牛や豚の埋却、農場の消毒に県職員だけで100人以上を動員。県畜産課の水野和幸・中小家畜担当リーダーは「連日にわたって作業が続き、獣医師や職員に疲労感が漂っている。しかし、本当に苦しいのは農家。一刻も早い終結のため、防疫に全力を尽くす」と士気を保ち続ける。
「鹿児島、熊本県知事に協力を要請した」。東国原知事は28日の対策本部会議でこう明かした。口蹄疫は本県だけの受難から一気に南九州の畜産を守る戦いへと拡大した。
【写真】口蹄疫感染の疑いがある牛舎周辺を歩く、白い防護服に身を包んだ関係者=28日午後0時32分、えびの市
激震 口蹄疫:宮崎日日新聞 via kwout
激震 口蹄疫:宮崎日日新聞
http://www.the-miyanichi.co.jp/special/kouteieki/index.php?id=321&paging=17
【連載企画】緊急リポート(下)(2010年4月30日付)
■事態悪化に焦燥感 専門家「初動防疫は妥当」感染疑い1例目の確認から10日目の29日、川南町で新たな感染疑いが確認されるなど、終わりが見えない口蹄疫問題。専門家は県の初動防疫の妥当性を認めるが、前回発生した10年前とは異なる要素が事態の悪化を招いている。あるJA職員は「ここまで出続けると20日からの防疫が機能しているのか。今となっては分からない」と焦燥感を漂わせる。
都農町で1例目(後にO型感染確定)が確認された20日、県は国との協議を経て、発生農場から半径10キロを家畜の移動制限区域、同20キロを搬出制限区域に設定した。10年前の経験や世界各国での事例から作成した県のマニュアルや、国の指針などに基づいた措置だ。鹿児島大農学部獣医学科の岡本嘉六教授(公衆衛生学)は「初動としては国際的に見ても妥当な防疫措置だった」と認める。
前回は50キロの搬出制限区域も設けられたが、県内のある獣医師は「大きな網を掛けて(人員面などで)防疫を徹底できるのかという見方もある」と初動防疫の広域化には懐疑的だ。
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万全だったはずの県の初動防疫態勢。ただ、予想外の要素が浮上するなど、事態は当初の想定を上回る。
県の疫学調査の対象となった都農町の別の農家では、3月31日に採取していた検体から感染疑いが判明した。移動制限開始の20日以上前からウイルスが侵入していた可能性を示しており、児湯地域での防疫措置が成功に終わるかは未知数だ。
さらに、児湯地域とえびの市の感染疑いの関係について、国の疫学調査チーム長を務める動物衛生研究所の津田知幸企画管理部長は、移動・搬出制限前に何らかの形でウイルスが同市へ運ばれた可能性を示唆。「疫学調査で牛や飼料の動きを追う中で分かった」と述べた。
宮崎大農学部の後藤義孝教授(獣医微生物学)は「県の(封じ込めの)方法や手順が間違っていたわけではない」とした上で、「制限の時期が遅すぎたのかどうかは今後検証すべき問題。その大前提としてえびの市と都農、川南町での感染疑いの因果関係を明らかにする必要がある」と指摘する。
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県畜産課幹部は「何としても初動防疫で撲滅し、前回(3例35頭)の規模で抑えたかった。伝染力が非常に強いウイルスということを実感し、非常に危機感を持っている」と落胆の色を隠せない。
後藤教授はこれまでの海外の事例で、本県以上の牛や豚を殺処分している事例があることも踏まえ「今回が口蹄疫本来の姿だ」と語る。
本県畜産業にかつてないつめ跡を残しつつある口蹄疫。県央部のある和牛繁殖農家(50)は「前回(の口蹄疫)や鳥インフルエンザ、飼料価格の高騰も乗り越えてきた。未来はあると信じたい。われわれは消毒などできることをするだけ。人事を尽くして天命を待つしかない」と祈るような声で話した。
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