20. 2010年4月04日 00:17:46: 6J0Px こういうのはどうでしょう。「現在子供に対する精神疾患の予防は国際的に認識されている」のだとか・・・。 http://www.pref.mie.jp/TOPICS/2009070150.htm しかしビーダーマンしかり、マッゴーリーしかり。 両人とも、今では製薬企業とのつながりとデータねつ造による薬品販売市場開拓が暴かれています。 発病もない子供に抗精神病薬を投与するのは、いくらなんでもあまりに行きすぎた資本主義医療でしょう。 TIMEの記事を訳しておきます。 Drugs Before Diagnosis? 診断よりも薬のほうが先? 定義によれば、実験とは未知なるものへの船出とされる。しかし、メルボルン大学の精神科医パトリック・マッゴーリーが1990年代後半に若者に対して行った実験は、数ある実験の中でも極めて大胆不敵なものであった。マッゴーリーは、例えば統合失調症のような精神疾患には発病前の段階、つまり前駆症状があり、この間に注意して介入を行えば発病および患者やその家族が崩壊するのを予防できるのではという考えにとりつかれた。こうした理論を唱えたのはマッゴーリーだけではなかったが、彼は世界初となる臨床試験に踏み切ることを決め、精神医学に懐疑的な人間を仰天させた。 争点となったのは、マッゴーリーの臨床試験に参加した約30名の被験者に対し、運動性疾患をはじめ多くの有害な副作用のある抗精神病薬、つまり神経弛緩薬に分類されるリスペドリンの常用量を、治療の一環として投与したことであった。単に直感だけでこうした危険な薬物を投与したことに憤慨した批評家は、製薬企業との繋がり、そして製薬企業のマーケット拡大の強い意図を疑った。2001年、アメリカのメンタルヘルスのロビイストであるディビッド・オークは、「これは私の知る中でも、人類が若者に対して行った最もキテレツで逆効果を生む実験だ」とTIMEに語った。 この臨床試験は参加者数が少なすぎたため結論には達しなかったものの、マッゴーリーに自信を与えるには十分な結果となった。メルボルン大学と連携する公立のメンタルヘルス・クリニックの仲間らとともに、2000年後半、彼は2回目となるさらに大規模な臨床試験を募集、その結果は今でも未分析のままなのだが、一方アメリカでも同様の実験に取りかかる研究者が現れた。こうした実験に対する怒りの声が弱まることはなかったが、マッゴーリーには教授会連合の仲間であるエール大学精神科の主任教授、トーマス・マグラシャン(Thomas McGlashan)がいたのだ。しかし、もはやその支えであった柱が消えてしまった。自分の行った臨床試験において、早期薬物療法が実効性のある測定可能なベネフィットを示さなかった結果に落胆したマグラシャンは、最近ニューヨーク・タイムズ紙に対してこのように語っている。「統合失調症の予防の可能性には疑いを抱いている。私はもうこういうことには以前より悲観的だ。何が前駆症状であるのか、何がどうなっているのかを理解し明確に見極めるには、リスクファクターはあるが薬物療法を受けていない若年層をフォローすることの必要性を今まで以上に感じでいる」 一人残されたマッゴーリーはどうするのだろうか。 どうやらまったく意欲をそがれた様子もない。マグラシャンの「態度の変化」には、アメリカの精神医学における「倫理的混乱」に関する言及に比べ、予防概念の欠陥に関する言及が少なすぎるとマッゴーリーは主張する。引き下がったどころか、彼はこうも言う、「必要なのは、統合失調症に限らず精神疾患の発病に対してすべてのスペクトラムを用いて、若者をケアにつなげるアクセス方法を考えることだ。」 物静かでソフトな語り口ではあるが、マッゴーリーには、抗精神病薬を実験的に使うことが唯一信頼性のある方向に向かっているように見せかける術があるようだ。メルボルン大学付属のオリジェン・ユーズ・ヘルス(Orygen Youth Health)の事務局長の肩書きを持つマッゴーリーは、軽度の妄想や社会適応障害の症状を持つとされる15歳から24歳までの患者を受け持つ。「適切な治療法としてフィッシュ・オイル療法や認知行動療法 (CBT) が優先的に行われるべき療法ではあるが、それらが功を奏さないときに患者が狂気に移行するのを見ているだけというのは受け入れがたい、とは言え誰がそうなるのかを確実に予測することは不可能なのだが。しかし何かすべきだ。」マッゴーリーが言うのは、神経弛緩薬による薬物併用治療という考えである。「彼らに友人はいない。ただ寝室に座って、人生が過ぎていくのを見送っている。彼らを救うためには積極的な研究が必要だ。批評家がこの問題に対して声を上げるのは正しい。しかし明らかに障害のある人を、われわれの恣意的なシステムに適合させる術がないことを理由に、軽視することはできない。マグラシャンが行った臨床試験のデザインには欠陥があり、それが否定的な結果につながった理由だ」と彼は言う。 一方マグラシャンはTIMEとのインタビューでマッゴーリーを「素晴らしい精神科医であり先駆的な研究者」と呼びながら、ただ熱意の対象が異なるのだと言う。つまりマッゴーリーが予防に熱意を持つのに対し、マグラシャンの方は精神疾患を発病するメカニズムにあるというわけだ。「早期介入の丘の上には金が見つかるかもしれない、しかし・・」と、彼は言う、「われわれには十分なデータもなく、また再現性においても十分な知見があるとは言えず、現時点においてはさらなる調査研究を必要とすると言う以外に言えることは何もない」と敗北を認める。 現在いくつかの国では精神病の予防が花盛りであるが、国際早期精神病協会(International Early Psychosis Association)の会長、マッゴーリーは「アメリカにおいては精神病の予防は地響きを上げて完全停止し、アメリカの健康医療活動家もどう考えていいものやら混乱している。彼らはADHDの子供たちに対する過剰投薬の問題で忙しく、この問題がぼやけている」と言う。しかしマッゴーリーは以前にもまして意気軒高だ。最近のオーストラリア政府による5400万豪ドルを基金とする若者の心の健康財団(National Youth Mental Health Foundation)をバックに、薬物乱用、人格障害、 双極性障害その他もろもろのあらゆる若者のメンタルヘルスの問題に、早期診断・早期治療の原理を当てはめたがっている。仲間は失ってしまったものの、マッゴーリーの航海は全速前進、機雷などクソ喰らえといったところだ。 http://www.time.com/time/magazine/article/0,9171,1205408,00.html
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