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松本和則・独協医科大特任教授(安全対策調査会座長)は
「現段階では新型インフルエンザワクチンと死亡や重篤な例との間に因果関係を認めるものはないという整理」
でとりまとめ、押し切ろうとした。しかし、桃井真理子・自治医大小児科教授(参考人)のまっとうな意見で待ったがかかった。
「これらのデータを見せられて、よいですねと言われても、疫学的に比較検討できるデータもないし、カルテも見てないし、何も言えない。因果関係がないと言うためには、何日まで何人見たらよいのかというスタディデザインがされたデータが出てこないと言えない。そのようなスタディを行うことで危険なのかという疑念を呼ぶマイナスはあるかもしれないが、ぜひ検討いただきたい」
それを無視して結論を急ごうとした検討会事務局だが、稲松孝思・東京都健康長寿医療センター感染症課部長(副反応検討会委員)からも待ったがかかり、疫学的比較試験と解析を行うことになった。
もう少しで、科学とは無縁のシャンシャン検討会になるところだった。
今回は恥ずかしい事態が回避されたが、次回はいかに?
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ロハス・メディカルから転載
http://lohasmedical.jp/news/2009/12/05152726.php
新型インフルワクチン 疫学解析を 副反応検討会
川口恭 (2009年12月 5日 15:27)
先月30日に新型インフルエンザワクチンの安全性について検討する厚生労働省の検討会が開かれた。接種後まもなくの高齢者の死亡が相次いでいることに関して、委員からは「ワクチンとは関係ない」という意見が大勢を占めたが、「関係あるとかないとか言えるだけの疫学データが示されていない」と参考人から「待った」がかかり、事務局は研究班に依頼して解析を行うと約束した。(川口恭)
先週から今週にかけて非常に多忙で報告できていなかったが、疫学解析を行うと事務局が約束したことに関して、あまりメディアで報じられていないようなので、議論がなかったことにされないよう証拠保全的意味を込めて書いておく。
この検討会は『薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会』と『新型インフルエンザ予防接種後副反応検討会』が合同開催されたもの。新型インフルエンザワクチン接種後の死亡例や重篤症例に関して、主なやりとりは以下の通り。
永井英明・国立病院機構東京病院呼吸器部長(副反応検討会委員)
「季節性ワクチンに比べて死亡の報告が多い。これは報告義務があるから多いのか。というのは、新型ワクチンの死亡例が多いというイメージが流れている。因果関係のないものは排除して季節性と同じようにして数を出さないと今後ますますこの数だけ増えることにならないか」
多屋馨子・国立感染症研究所感染症情報センター室長(副反応検討会委員)
「明らかにワクチンとの関連ないものはハッキリ分けてしまうほうが誤解を招かないのでないか」
稲松孝思・東京都健康長寿医療センター感染症課部長(副反応検討会委員)
「報告基準が違うので同列には比較できない。基礎疾患のある人が接取されているから死亡率も高くなっていて、念のために報告というのがほとんどだろう」
河野茂・長崎大学病院院長(参考人)
「今の薬剤に関しては関係あろうがなかろうがすべて報告することになっている。報告が来るのは当たり前で仕方ない。そして、その因果関係が本当にサイエンティフィックに結論が出るかというとなかなか難しい。たとえ関係ないと言っても、それを信用する人もいれば信用しない人もいる。それを議論しても仕方ない。問題は従来のワクチンと理屈のうえではリスクが変わるはずはなく死亡までの副反応があるとは考えられない一方でメリットはあるということだ。いわれのない罪をワクチンに着せるのはかわいそう。その辺りのメリットデメリットを世間の方とか先生方にわかりやすく提言するしかないのでないか」
庵原敏昭・国立病院機構三重病院院長(参考人=治験実施担当医師)
「重症例の方でも明らかに因果関係のあるものはない。数字だけが勝手に走り出しては困る。公表する時にきちんと説明する必要があるのでないか」
五十嵐隆・東京大学小児科教授
「0歳から50歳までは死亡者がいないことになっている。この年代には、どの程度の割合で打たれたのか。こちらの方が多いのでないか。そうでもないか。というのは、もし何かワクチンに原因があるのだとして、若い人にも副反応は起きるのだけれど、高齢者にだけ恐ろしいことが起きる理由を考えないといけない。そんなことはないんだと言うためにも、実際の接取割合が分かるともう少し判断できるのでないか」
事務局
「医療従事者が最も先に行き、続いて妊婦と基礎疾患のある人という流れ。幼児と小学生には前倒し。高齢者の場合は、この中で言うと基礎疾患のある人になる。数に関しては、医療機関も忙しいので、まだ十分に捕捉できていない。その報告が出てくると、もう少し議論できるのかもしれない」
稲松
「長年、高齢者の死因の研究をしてきた。年に100万人弱いの方が生まれて死にほぼ平衡。死ぬかたの多くが高齢者であり、その中でも24時間前までは元気で予期できなかったという人が大体5〜10%いる。その中で構図として、いつもと違ったことは何かなかったかと探した時に、そういえばワクチンを接種したというような話になってしまうものは、ある程度の数出る。
だから、今回報告された症例の数々を高齢者には普通のことと感じるか、それとも何か異常なことと感じないといけないのか、臨床家としての能力を問われているのだと思う。今のところワクチンとの因果関係を疑わせるような症例はないと思うが、しかしそれを100%ないとも言えない」
川名明彦・防衛医大内科第二教授(副反応検討会委員)
「資料では、季節性ワクチン接取後の死亡率は1000万人に1人とか、1億人に4人になっている。これを100万人に5人という新型インフルエンザの数字と比べると、逆に低すぎるんじゃないかという気もする。これはどういうことか」
事務局
「前回も説明したが、新型インフルエンザワクチンに関しては因果関係の如何に関わらず報告義務のある予防接種実施要領で報告を求めている。これに対して季節性インフルエンザワクチンは、副反応によると疑われる事例のみ報告を求める薬事法の下のもの。そういう違いがある。また、社会的な関心が高いこともあるだろう」
永井
「しかしネットなどでは、そういう背景は説明されずに数字だけが流れる。もう少し明確に、基準が違うんだと打ち出してもらわないと誤解を払しょくできない。我々現場の臨床家としても、基礎疾患のある人だから死亡率が高いんだというような話だけが出ると、基礎疾患のある人にこそ打たなければならないのに困る」
松本和則・独協医科大特任教授(安全対策調査会座長)
「対象の人にそう説明しないといけないのでないか」
永井
「ワクチンの副反応がきわめて怖いというイメージができるのを恐れている。国民全体のワクチンに対するリスクの許容範囲が明確になっていない。そこをハッキりさせてもらう必要があるのでないか」
松本
「季節性と比べてどうかというのが一番簡単。きちんと評価した方がいいが実際問題難しい。打つべき人が打ってこういうことが起きている。基礎疾患を悪くした可能性は残っている。一方で、罹ったらもっと悪いことの起きる可能性が高い」
河野
「ワクチンを打った後の問題と打たずに罹った場合の問題をどう見るかだが、医師の間にも誤解している人が多いのでないか」
松本
「医師の教育について話が出たが」
飯沼雅朗・日本医師会常任理事(参考人)
「我々のところに現場から届いている苦情で最も多いのは書類書きが多いこと。ワクチンの何たるかを現場で1人1人に説明するなんてことは不可能。国で責任を持って分かりやすくじっくり何回も広報して説明してほしい」
松本
「因果関係に関する判定基準も必要でないかとは思うのだが、しかし今のところ難しい。ということでよろしいか」
永井
「発表することそのものに反対しているわけではない」
松本
「では、現段階では新型インフルエンザワクチンと死亡や重篤な例との間に因果関係を認めるものはないという整理でよろしいか」
桃井真理子・自治医大小児科教授(参考人)
「これらのデータを見せられて、よいですねと言われても、疫学的に比較検討できるデータもないし、カルテも見てないし、何も言えない。因果関係がないと言うためには、何日まで何人見たらよいのかというスタディデザインがされたデータが出てこないと言えない。そのようなスタディを行うことで危険なのかという疑念を呼ぶマイナスはあるかもしれないが、ぜひ検討いただきたい」
松本
「その点は事務局でも検討を」
事務局
「ではとりまとめの評価としては前回同様で、さらに今後の対応について、接種を行うことの適否を慎重に対応することの徹底と情報提供の徹底とを強調することで」
なんと桃井参考人の意見を無視した。が
稲松
「疫学的比較試験がなければ決着がつかない。今回の機会を捉えて解析すべきでないか」
と意見が重なったことで事務局もさすがに無視するわけにはいかなくなったようだ。
事務局
「研究班などもあるので検討したい」
次回、きちんと疫学研究について報告される。注目だ。