★阿修羅♪ > 豚インフル02 > 441.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
新小児科医のつぶやき から転載
http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20091114
2009-11-14 白紙契約の教訓
通常と言うか、常識と言うか、当たり前の話ですが、契約を結ぶに当たっては「契約書」が必要です。契約を結ぶ前に契約書の内容を吟味し、不審点とか意味が分かりにくいところについては質問し、納得してから契約を結びます。説明は契約を結ばせようとする者の義務になっているとしても間違っていないでしょう。
また契約を結ぶに当たっても熟慮する時間が必要とされます。迷った時には考慮するのに十分な時間を与えなければならないはずです。熟慮時間を与えずに、強引に説得して結んだ契約で被害が出た時には損害賠償の対象に優になると記憶しています。契約までの手続きもまた契約の有効性に大きな影響を与えるものであったはずです。
新型ワクチン接種の受託契約に関しては、
1. そもそも契約時に契約書なるものが存在しない
2. 契約内容についての丁寧かつ納得できる説明はほぼ皆無
3. 考慮時間はうちで1日、ひどいところでは2時間と言うところもある(10/6に指示が出て、10/9に契約完了のスケジュールであった)
こういう素晴らしい契約を医療機関は国と結んでいるわけです。こんな契約にどんな有効性があるか非常な疑問を抱いています。つうか、国と結ぶ契約とは新型ワクチン接種に限らず、いつもこんなものなのでしょうか。医師のインフォームド・コンセントを巡る医療訴訟を幾つも読んだ者としては、甚だ趣が深いとしか言い様がありません。
10/20付ロハス・メディカル「新型インフル 議論そのものを公開 足立政務官ヒヤリング」におもしろい厚労省発言があります。
----------------------------------------------------------------------------
http://lohasmedical.jp/news/2009/10/20010545.php?page=12
亀井(血液対策課長)
「ワクチンの流通を担当している立場からお尋ねしたい。パイロットスタディをやるというお話だが、どれ位の規模でやるつもりなのか。現在のワクチンは普通の医薬品の流通とは全く異なり、予約制で積み上げで割り当てしており、そこに卸が入っている特殊な形。違う形での何らかの試みが入ってくると現場が大変だ。ご示唆をいただきたい。パイロットスタディできる仕組みをご示唆いただきたい」
-----------------------------------------------------------------------
この発言の背景は、接種回数を巡る論議の結論として、小規模治験を行なうが出たことに対する発言です。注目したいのは
予約制で積み上げで割り当て
亀井血液対策課長は「予約」なる言葉を明言しております。私は新型ワクチンに関して「予約」も「発注」も一度も行ったことがありません。私だけでなく日本中の医療機関のうちで、「予約」とか「発注」を行なった事がある医療機関があるかどうかも疑問です。たぶん1ヵ所たりともないと思われます。ところが亀井血液対策課長は予約があるとしています。
あえて予約に類似したものを考えると、接種想定者の「調査」はありました。「お宅の医療機関は何人ぐらい接種する見込みか」みたいな調査です。この調査が契約では「予約」にあたるのでしょうか。百歩譲って医療従事者の数は予約に近いとは考えられます。とくに零細診療所では職員数の把握も意思確認も短時間で出来るので「調査人数 ≒ 予約」と見なすのは不可能ではないとは言えます。
しかし大規模医療機関になると職員とは言え、その接種意向を確認するには少なくとも数日は必要です。しかし調査は多くのところで即日ないし2日程度の期間しか与えられていません。調査としては「たぶん接種を希望するだろう」の概算に留まらざるを得なくなります。
それでも医療機関はまだしもです。続いて行なわれた妊婦、基礎疾患を有する者、幼児、小学校低学年とかになると、どれだけの人数が希望するかなんて極めて大雑把な数しか報告できません。あくもでも予想であって、予想以上に希望者が多いかもしれませんし、逆に少ないかもしれません。小児科では、幼児や小学校低学年はしばしば複数の医療機関に受診している事が珍しくもありません。
またある程度かかりつけであっても、接種までの日数が必要となれば、より早く接種できる医療機関にアッサリ流れていきます。そんな状況の中でこれも数日のうちに調査の報告を求められています。
なんと言っても契約書も無い状況下での調査ですから、報告した人数がどう扱われるかの情報も皆無です。様々な解釈がありましたが、個人的には都道府県の割り当て、さらには都道府県から市町村への割り当ての参考資料にするんじゃないかと思っていました。
ところが亀井血液対策課長のお言葉ではどうやら参考資料ではなく、医療機関からのワクチンの予約と位置付けているようです。なるほどあの調査が予約であれば、予約に基づいた押し売りは理屈として成立しそうな気がしないでもありません。契約書にはさらに、ワクチンメーカーの指定はもとより、ワクチンの規格についても一切の指定を許さず、さらに返品不可となっています。
あの調査が本当に予約に該当するものなのかの法的解釈は、条文を読んで検討する気力はありませんが、受領拒否の解釈で御助言頂いた時に、非常に国側の運用に大きな裁量権を認められるものとなっていました。きっと様々に解釈を積み上げれば
調査は予約であり、報告人数のワクチンを買い取る義務が医療機関に生じる
これが成立するかもしれませんし、これに反論するには最高裁まで延々と争う必要が生じても不思議とは思えません。
つくづく思うのは白紙契約は良くないという、あまりにも平凡かつ常識以前の教訓を改めて噛みしめています。本当に医師は社会常識に欠けていると言う指摘が、いかに正しいかを思い知らされたのが今回です。どんな契約であっても、さらに相手が国であっても契約内容不明の契約は、いくら契約を急がれても、契約書がキチンと提示され、契約内容の細部まで納得できるまで確認してから契約を行なわなければならないと言う事です。
たとえそれで契約を結ぶ機会を逸しようとも、社会人の常識として正体不明の契約を決して結んではならないという事です。遅まきながら手痛い教訓として骨の髄で日々味わっています。
コメント
卵の名無し 2009/11/14 09:03 公序良俗を知らないのか、それとも知ってて無視しているのか。
後者なら漢字圏で匪賊と呼ばれる輩に属します。
うらぶれ内科 2009/11/14 09:53 2チャンネルより:
776 :卵の名無しさん:2009/11/10(火) 15:56:16 ID:yOeRTD1z0
コ×××ームをグロス単位で売りつける押し売りと同じだな。
といいつつ、押し売りっているのか、今w
777 :卵の名無しさん:2009/11/10(火) 16:01:25 ID:f8FQGkvV0
>>776
昭和中期にはそんな押し売りがいたらしいな。
今後大量に余ったワクチンを引き取らされますよ。
(伏字はコメンテーターによる)
luckdragon2009 2009/11/14 10:27 まさかと思うのですが、契約行為は、「口頭」もあります。
しかし口頭契約は「後日変更が可能」です。(あとで上書き、ということ)
以上、法律行為の話でした。
元ライダー 2009/11/14 11:01 今回、多く(たぶんほとんど)の医療機関は契約を都道府県医師会に委任した形なので、筋から言えば医療機関が文句を言うべきは都道府県医師会ということになります。さらに筋から言えば都道府県医師会が「契約書ができていないのに契約できるわけないだろ、ボケ」と厚労省を突っぱねるべきでしたね。それをたぶん「一刻も早い接種が国民のため」とかパターナリズムを発揮しまくって白紙委任の契約を請け負ったのでしょう。そういうパターナリズムが長い目でみて誰のためにもなっていないことにいい加減気がつかないかなあ。今回も厚労省の専横を正すチャンスを逸しましたね。
元法学部生 2009/11/14 11:19 そういえば、なぜ医療従事者にいたるまで接種希望者から費用徴収する制度設計にしたかということを考えてみました。
国や地方自治体が直接お金を払う契約だと「政府契約の支払遅延防止等に関する法律(昭和二十四年十二月十二日法律第二百五十六号)」(cf http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S24/S24HO256.html)って法律の縛りがあるんですね。30日ルールの存在は知っていたけど、根拠条文は初めて見ました。
基本的には、政府は請求書を受け取ったら30日以内(工事は40日以内)に払わなきゃ駄目だよって法律なんですが、他にも契約を結ぶときに明らかにしなければならない事項とかが規定されていて、白紙契約なんて絶対ムリ。
あれ?そういえば実施主体が国や自治体でも、支払いはなんたら基金だのなんたら連合会だのからって制度設計はたくさんあるな。
請求書の日付は記入しないでくださいとか言われたことも…。
とおりすがる 2009/11/14 11:21 そんな白紙契約自体、そもそも民法上無効でしょう。同意の中身自体がないわけですから、民法上いくらでも争えると思います。ただ、国相手に訴訟で戦ってもなあ、ということもあるので、さっさと辞退するのが現実的な落とし所だと思います。
卵の名無し 2009/11/14 11:36 >国相手に訴訟で戦ってもなあ、
通達契約の責任者(医政局長あたりか?)個人名あてに訴訟を起こし医師会が取りまとめて集団訴訟でも食らわせてやったらどう?w
役人の業務として不法な契約を強要したが、公序良俗に無知であったと証明されれば業務上過失。知っててわざと不法契約の履行を強制したのなら詐欺、てことになるのジャマイカ?w
Seisan 2009/11/14 12:31 もうひとつの問題として、国は契約時に「接種価格」は公定で定めておきながら、ワクチンがいくらで供給されるのかを一切明かしていません。
実際には、ワクチン接種によってどれくらいの利益が見込めるのか、全く分からないまま「社会的使命」を盾に契約を強要されたわけです。
で、現実には10ccバイアルで大赤字になろうと知ったこっちゃない、です。
これ、損害賠償請求訴訟をしたら相当高い確率で勝てるんじゃないですかね。
もちろん、ワクチンが必要であったかどうかの裁判ではなく、あくまで「普通に診療を行っている契約先が損をする可能性が十分に高いことに全く触れずに契約を取り交わすことを求めた」という理由でね。
10ccワクチンを無駄にしないように、時間などの配慮をせよ、と言っている以上、配慮すれば10ccバイアルでも少なくとも損をしなくて済む目算が立てられないと無理なわけで。
たとえば、夜間や日曜にした場合、人件費は膨らみます。通常の診療時間をワクチンに振り分ければ、その分の患者が診療できない損失が生じます(かなり大きいです。初診小児一人見るだけでワクチン数人分の利益に相当しますから)
そういうことが考えられた契約条件であるのか、は十分に争点になるのでは?
ホウリツニクワシイヒトヨロスク
反論としては、国家の緊急事態だから、というのが予想されますが、緊急事態だから、というのなら、すべて公費で無料接種すればいい。
結局国だけが損をしないようにして、現場に損を押し付けているだけというのが腹立たしくてたまりません。
luckdragon2009 2009/11/14 12:32 これで、リコールとか(現実にないとは言い切れない)、何か不良が出たら、どーするつもりなんだろう... > 国
Yosyan 2009/11/14 12:34 >医師会が取りまとめて集団訴訟
医師会は無理でしょう。新政権のご機嫌取りに奔走している段階ですから、わざわざ角を立てて喧嘩するメリットを感じないと思います。陰湿どころか、マスコミも巻き込んでの壮絶なバッシングの雨霰を食らうだけになると思います。大局的には予防接種を行うのが感染対策としては正義になるだろうからです。せいぜい下っ端に出来るのは「下に対策」ぐらいです。
関東より 2009/11/14 12:52 小児へのワクチン接種始まる=前倒しの大阪から−新型インフル
11月14日11時11分配信 時事通信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091114-00000058-jij-soci
>新型インフルエンザ用ワクチンをめぐり、健康な小学3年以下の子供への接種が14日、大阪府で始まった。
>同府内の一部の医療機関からも「ワクチンは8人分しか届いておらず、14日からは無理」「現状では今月末からがやっと」などという声が上がっている。
なんか、開始せよ>>>開始しました。
って既成事実をつくるだけみたいな印象です。とりあえず、うちは職員の接種が完了していないので、余ったワクチンを院内で有効利用できそうです。
卵の名無し 2009/11/14 14:32 >大局的には予防接種を行うのが感染対策としては正義
そこでコレ↓ですよw
>もう霞ヶ関の省益保身役人の「バカの壁」スクラム取っ払って、鳩山首相が緊急声明発表するべき政治段階でしょw
>
>「希望する国民に無料で接種します。全国の保健所や役所で公務員総動員して必要経費全額国持ちで緊急集団接種で行います。
>健康被害が生じた場合の責任もすべて国がとります。市町村および民間には一切負担を求めません」とねw
卵の名無し 2009/11/14 15:46 Seisan様
>たとえば、夜間や日曜にした場合、人件費は膨らみます。通常の診療時間をワクチンに振り分ければ、その分の患者が
>診療できない損失が生じます(かなり大きいです。初診小児一人見るだけでワクチン数人分の利益に相当しますから)
(括弧)内の「利益」とは、人件費薬剤費光熱費等の医療機関運営経費に充当されるべき原資となりますから「経費」と書くべきかと。「利益」と書くと幼稚な日本語しか知らないマスゴミには理解できないでしょうからねwオツムの程度がマスゴミレベルである厚労省にも理解できないだろうしw