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http://osaka.yomiuri.co.jp/university/research/20090815-OYO8T00408.htm
インフルエンザ流行期に、治療薬タミフルの成分が下水処理場から河川に放流された排水中に含まれていることを、京都大流域圏総合環境質研究センター博士課程3年ゴッシュ・ゴパールさん(30)と田中宏明教授らの研究チームが都市排水や河川水の分析結果から突き止めた。この水を飲んだ野鳥などの体内で、インフルエンザウイルスがタミフルの効かなくなる耐性になりやすくなる恐れがあるという。
ゴッシュさんらは、昨年7月と季節性インフルエンザが流行し始めた12月上旬、流行のピークにあたる今年1月下旬〜2月上旬、下火になりつつあった2月中旬〜下旬、京都府に流域が広がる桂川などに放流している三つの下水処理場について、放流水と処理場の上流、下流の河川水中のタミフルの濃度を測定した。
その結果、昨年12月以降、放流水は各期間とも水1リットルあたり数ナノ・グラム(ナノは10億分の1)以上のタミフルを検出。特にピーク時の放流水では、最大約300ナノ・グラムで、同時期の河川水中の最大量は約200ナノ・グラムだった。
沈殿処理した下水を浄化する標準的処理を行っている2処理場ではタミフルの40%以下しか除去できていなかったが、そのうえにオゾン処理をする処理場では90%以上除去できていた。
日本は世界最大のタミフル使用国で、人が服用したタミフルの約80%はそのまま体外に排出されているとされる。田中教授は「検出量は比較的高濃度だ」と分析。下水処理場から出た排水の温度は冬でも15度前後で鳥が集まりやすく、鳥インフルエンザに感染している水鳥がこの水を飲んだ場合、ウイルスがタミフル耐性になる可能性もあるという。岡部信彦・国立感染症研究所感染症情報センター長は「今後、ウイルスの働きなどにどのような影響が出るのか、注意深く見ていく必要がある」と話している。
(2009年8月15日 読売新聞)