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【厚労省の無能を告発した木村盛世技官が正しい理由】インフルエンザと専門職、そしてNHK (武田邦彦教授)
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武田邦彦(中部大学・総合工学研究所)教授のウェブサイト
http://takedanet.com/2009/05/post_25f3.html
インフルエンザとは何か? (7) 専門職
お金中心の時代になり,「お金を払ってくれる人の言うとおりに」という風潮になってきた.
それなら,大学の教授は学生から授業料を貰っているのに,なぜ,学生が「優をくれ」と行っても「不可」にするのだろうか?
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社会の職業には二つある.一つは「専門職」で相手の希望を聞くけれど,行動は自分の判断で行うという職,もうひとつは「一般職」でお金を払う人の言うとおりにするという「お客様は神様」の職である.
さらに,さげすまれる職もある.それは「お金で魂を売る」とか「お金で体を売る」というもので,これも「お客様は神様」という分類ではあるが,「お金を貰う」という前に「人間は魂をもつ存在だ」というのがあるから,さげすまれる。
昔は「魂を売る」のが商売人で,「体を売る」のは吉原だった.でも最近は商売人でもシッカリした哲学を持って魂を売らない人もいるが,売る人もいる.大学教授でもお金で魂を売る人がいるぐらいだ.
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ところで,昨日,新型インフルエンザの防疫を担当した医師が「今回の防疫体勢はナンセンスだった」と発言した.
それを取り上げた2009年5月29日の朝のテレビでは「組織の中でずいぶん,思い切った発言をされましたね」とコメントしていた.
全く違う.なにがまったく違うのだろうか
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医師はどこかに所属していても決して,その組織の言うとおりにしてはいけない.ある医療法人で理事長が「高い薬を使ってくれ」とか「あまり早く直すと治療費が入らないから,グズグズしてくれ」といっても命令を聞かない.
お金をはらう患者さんから「注射してくれ」と言われても聞かない.医師は医師の専門性に基づいて治療する。患者の希望は聞くが,その通りにはしない.
その意味で,最近の病院で「患者様」と呼ぶのはいただけない.
大学でもそうだ.学生の希望は十分に聞くが,教授のやることは学生の希望通りではない.私立大学でも理事長が「俺の親戚だから合格させろ」と命令されても,聞かない。それが「専門職」である.
それなのに,テレビでは「組織の中なのによく勇気のある」というコメントをしていた.全くの間違いである。もしその防疫の医師が組織に従ったら,医師の免許は取り消される.
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実は現在の報道の乱れ,NHKのウソ報道の基本はここにある.
マスメディアの記者は専門職だから,国民から取材の自由,表現の自由が許されている。だから,記者は独立していなければならない.記者は社会から自由を与えら得れている「恩」を社会に返さなければならない.それは「事実をそのまま書く」という誠実さだ.
記者の書いた記事を掲載するかどうかはその記者が所属するマスメディアの会社の判断だが,記事の内容に手をつけてはいけない.記者は独立しているからだ.
NHKがウソを続けるのは,NHKが方針を持っているからで,それを記者に強制するからだ.それならNHKは普通の商売人だから,表現の自由はない。
大学が教授の集合体のように,NHKは記者の集合体であり,管理者はたんなる学級委員に過ぎないからである。
専門職がなぜ,「組織に配慮」してはいけないかというと,「専門職に特定の自由を与えているのは国民」だからである.だから専門職は国民に責任を持つのであって,上司は無関係である。医師も教授も記者も国民に所属し,国民が上司である。
そのことがハッキリ意識されているのか,それはあの「勇気ある(当然の)」医師が今後,どのようになるのか日本の将来にとってとても大切なことだ.
(平成21年5月29日 執筆)
武田邦彦
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(C) 2007 武田邦彦 (中部大学)
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