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新型インフルの感染源、メキシコ東部か
村に養豚場5歳児、3月下旬に発症
メキシコ発の新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)の感染が世界的に拡大する中、同国東部のベラクルス州が、今回の感染源ではないかという見方が出ている。養豚場がある小さな村に住む男児の症状が「感染確認第1号」だった可能性があるためだ。(リオデジャネイロ 小寺以作)
「頭がとても痛かった。息ができないかと思ったよ」――。29日付の英紙ガーディアン(電子版)は、男児にインタビューした際の模様をこう伝えた。同紙によると、男児はメキシコ市から東に約200キロ・メートルのラグロリアに住むエドガー・エルナンデス君(5)。3月下旬に高熱などの症状が出たものの奇跡的に回復し、地元メディアは感染源解明につながる貴重な「生き証人」とみている。
エルナンデス君の場合、4月3日に病院がノドの粘膜のサンプルを採取して検査した後、念のため2週間後に米国の研究機関に送って再検査をしたところ、陽性反応が出たという。
村には米国資本の豚肉会社が経営する大規模な養豚場があり、フンの処理などを巡って以前から住民とトラブルになっていた。
村人の間では2月以降、エルナンデス君と同様の呼吸器障害や高熱の症状が相次ぎ、死者も出た。3月には人口の6割にあたる約1800人に症状が広がり、「異常な風邪が流行している」との不安が一気に高まった。村の男性(34)は今回、新型インフルエンザの症例などを報じたテレビを見て、「我々と同じ病気だ」と叫んだという。
ただ、感染源の特定には謎も残る。コルドバ保健相によると、エルナンデス君以外の村民からは陽性反応が確認されなかったという。村の豚肉会社は「うちの豚にインフルエンザの兆候はなく、ワクチンも打っている」と病気との関連を否定し、メキシコ農業省も同社の豚からウイルスは検出されていないと指摘する。
コルドバ保健相は「感染が拡大している豚インフルエンザとは別のケースだ」として村が感染源との見方を否定し、最初に症例が確認されたのは、「あくまで4月13日に死亡した(ベラクルス州の南にある)オアハカ州の女性だ」と強調している。
その女性にしても、国勢調査員として不特定多数の人と接触があったとされるが、豚との接点は見えない。そもそも国内の養豚場からは、現時点で豚がインフルエンザにかかったという報告すらない。
だが、ラグロリア村の住民の多くは、この村が感染源だと確信している。ガーディアンの取材に対し、村の男性はこう訴えた。
「私も妻も、子どもたちも、伯母もみんな病気にかかった。豚インフルエンザと全く同じ症状だったのだ。この村の養豚場が無関係とは思えない」――。
(2009年4月30日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20090430-OYT8T00266.htm