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私が二度目、いや私にとって始めてと思われる、先生に会ったのは、今から6年前である。先生はその時、既に88歳であった。友人の熱心な勧めで、単に好奇心で会いにいっただけのこと。この好奇心に、百万べんのお礼を言いたい。30年前ではなく、ただの4年間でも(先生は一昨年亡くなる)先生の薫陶を享けられたということは、何と言う仕合せであろう。天風先生の話は凡て、何事かの啓示である。
始めて先生に会った人は、先生の年齢を聞いて吃驚する。…武術で鍛えた先生の体は、しゃんと直立して微動だにしない。顔には皴がない。ぴんと張った頬は、紅を塗ったかと思うほど赤く、艶がある。大きなその眼は、炯々(けいけい)としたかと思う瞬間、一種形容し難い微笑を含んで、子供のようであった。
講話が始まると、その強烈な印象は雲散解消して、人々はただただ、その話術の囚になる。不思議な現象であった。
【出展】「天風座談」宇野千代/廣済堂文庫
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