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カンヌ最高賞に驚きとブーイング…コーエン兄弟が批判一蹴「批評家のためでない」
産経新聞 5月31日(日)19時4分配信
南仏カンヌで開催されていた第68回カンヌ国際映画祭は最終日の24日夜、コンペティション部門の最高賞パルムドールに、フランスのジャック・オディアール監督(63)がパリ郊外で暮らすタミル人難民たちを描いた作品「ディーパン」を選び、閉幕した。だが、この判断をめぐり、批評家やメディアが続々と批判の声をあげ、授賞式は荒れ模様に。審査員長を務めた米ハリウッドの奇才コーエン兄弟は「批評家ではなく作り手のために審査した結果だ」と真っ向から反論し、芸術性や話題性など映画の評価基準をめぐる論議を沸騰させている。
■メディア評価は「キャロル」
「ディーパン」は、内戦下のスリランカで難民申請が通りやすいように疑似家族を作り、新天地のパリ郊外で新たな生活を築こうと奮闘するディーパンら3人のタミル人をドライな語り口で描いた力作。数々の受賞歴を持つオディアール監督だが、授賞式では「コーエン兄弟から賞をもらうのは特別な栄誉だ」と手放しで喜んだ。
だが、21日に現地で初公開された時から「ディーパン」は「砂のような描写」(米紙USATODAY)や「説得力のない結末」(米ハリウッド業界紙デーリー・バラエティー)と指摘され、批評家やメディアの評価は低かった。その作品が24日に最高賞に選ばれると、欧米の主要メディアは一様に「予想外」と報じ、デーリー・バラエティーは会場の反応を「世界中から集まった記者団から、驚きとともにブーイングと不快感と拍手が送られた」と冷ややかに伝えた。
逆に批評家やメディアが高く評価していたのは1950年代のニューヨークを舞台にした女性の同性愛を描く「キャロル」(トッド・ヘインズ監督)だった。豪女優、ケイト・ブランシェットさん(46)と米女優、ルーニー・マーラーさん(30)による実力派著名女優のダブル主演で、同性愛という時代を象徴するテーマを描き、話題性は十分だった。
しかし、9人の審査員を束ねる審査員長のジョエル監督(60)とイーサン監督(57)のコーエン兄弟は、授賞式後、審査員を務めたメキシコのギジェルモ・デル・トーロ監督(50)や米俳優、ジェイク・ギレンホールさん(34)らとともに記者会見し、「審査員全員、これが素晴らしい作品だと思った」と述べ、全員一致で「ディーパン」を選んだと明言。審査員たちは口々に、難民という時事問題に絡んだメッセージよりも、作品全体が持つ力強さで選んだと説明した。
■話題性重視への反乱
さらにコーエン兄弟は「(カンヌ国際映画祭の)審査は批評家のためではない。作り手であるアーティストのために行っているものだ」と言い切り、批評家やメディアの批判を真正面から退けた。
最年少の審査員を務めたカナダ人俳優兼監督、グザヴィエ・ドランさん(26)も「これほど知的な仲間たちと、深く寛大に感情を込めて映画を議論したことはなかった」と述べ、今回の審査結果が映画祭のあり方や映画の意義、価値を再考するきっかけとなるとの見方を示した。
コーエン兄弟といえば、代表作「ノーカントリー」など悲劇と喜劇が交差する知的で洗練されたブラックユーモア的作風で知られ、米アカデミー賞とカンヌ映画祭の双方で最高賞を獲得してきたハリウッドの奇才。今回の審査結果は、話題性を重視しがちな批評家やメディアに対する彼ら流の知的な“反乱”だったのかもしれない。
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