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今日(2月20日)は、作曲家・武満徹(たけみつとおる)氏(1930−1996)の19回目の命日です。
氏の命日に、私が愛してやまない武満氏の作品「セレモニアル」をお送り致します。
↓
https://www.youtube.com/watch?v=QyAPVXFPqGk
(クリックしてお聴きください)
笙(しょう)とオーケストラの為の10分ほどの作品です。
私は、この作品が大好きです。
2015年2月20日(金)
武満徹氏の19回目の命日に
西岡昌紀
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武満「それまでそれほど調子も悪いようには見えませんでしたし、その前々日、17日は、珍しく東京は夕方から雪が降りはじめ明日は大雪になるかもしれないという予報でした。東村山まで帰れなくなるかもしれないと私のあしを案じた徹さんが『あしたは来なくていいよ』と言うので、私も少し疲れていたので、ひさしぶりに一日休ませてもらいました。」
大原「それが18日のことでその前日17日の夜、東京にはめずらしく大雪が降ったんですね。」
武満「そうです。それで徹さんはたまたまNHKのFMで《マタイ受難曲》を全曲聴いたのです。とても不思議な気がしますね。もし私が行っていればラジオはつけなかったし、雪で私も初めて休んだ日だったし、見舞客ももうだれも面会に来ない。ラジオをつけたら、《マタイ受難曲》をやっていた。外は雪がずうっと降っていて、一人、静かになりながら、大好きな《マタイ受難曲》を聴けたんですから。」
大原「マタイの全曲のプログラムをFM放送でやることはめったにありませんし、雪が降って、自動車の音もしない。きっと静かな心境で聴けたんでしょうね。」
武満「雪の日ってなんかしーんとして静かですものね。19日に行ったとき、『昨日は《マタイ受難曲》を全部聴いたんだよ。いやぁバッハはすごいね。僕らはクリスチャンじゃないんだけどなんだろう・・・』ってそれは静かなおだやかな表情でした。今まであまり考えないようにしていても、どこかで自分の病気の深刻さはもう、そのときはわかっていたと思います。私は想像するだけですが、《マタイ受難曲》を聴くことで、もう自然のままに安らかに大いなるものに生命を委ねる心境になったのではないでしょうか。きっと静かに旅立って行くための道しるべになったような気がしてなりません。私は何か深い恩寵(おんちょう)のようなものを思わずにはおられませんでした。」
(武満浅香『作曲家・武満徹との日々を語る』(小学館・2006年)261〜262ページより)
http://www.amazon.co.jp/%E4%BD%9C%E6%9B%B2%E5%AE%B6%E3%83%BB%E6%AD%A6%E6%BA%80%E5%BE%B9%E3%81%A8%E3%81%AE%E6%97%A5%E3%80%85%E3%82%92%E8%AA%9E%E3%82%8B-%E6%AD%A6%E6%BA%80-%E6%B5%85%E9%A6%99/dp/4093876134/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1424422982&sr=8-1&keywords=%E6%AD%A6%E6%BA%80%E6%B5%85%E9%A6%99
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