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監督の個性が抉り出す現代社会―ドキュメンタリーに触れる初夏
『三姉妹』『いのちを楽しむ』『ロマン・ポランスキー 初めての告白』など
http://www.labornetjp.org/news/2013/0610eiga
ドキュメンタリーが花盛りである。テーマも表現もさまざまだが、現代という時代の一面を切り取つていて見応えのある作品ばかりだ。
公開中の『ビル・カニンガム&ニューヨーク』は、80歳の老写真家が、カーネギーホールの屋上に間借りし、ごった返すニューヨークの街を自転車ですいすい。奇抜なファッションを見かけると、すかさずシャッターを切るといったさわやかな作品。こういう映画も大好きだ。これとは裏腹の世界を描いたのが、王兵(ワン・ピン)監督の『三姉妹―雲南の子』(写真上)。王は前作『無言歌』で中国・ゴビ砂漠での収容所生活を描いたが、今度は雲南の山岳地、なんと標高3200メートルでの生活を撮っている。親が出稼ぎ中で3人の姉妹だけで暮らす。妹たちや羊の世話をやき、黙々と一人じゃがいもを食べる10歳の姉が印象的だ。
モーニングショーで公開中の佐々木有美・松原明の『いのちを楽しむ―容子とがんの2年間』(写真上)は、がん治療で『患者よ、がんと闘うな』と異論を唱えた近藤誠医師に共鳴した末期がんの女性が、主体的に自然に生きた記録。“医療とは何か”“死とはどういうことか”。観客はわが身を重ねて見ることができよう。
公開中の『ロマン・ポランスキー 初めての告白』はポランスキーが、友人に語った波乱にとんだ人生。かれはユダヤ人だったなんて知らなかった。幼いころ、ナチスのゲットー(ユダヤ人居住区)に入れられ、母を強制収容所に送られ、戦後は女優の妻の惨殺事件、未成年とのセックススキャンダル等々。彼が自らの体験をいかに映画―とくに『戦場のピアニスト』でのゲットーの印象深いシーンなど、みなかれが目撃したものだという―に生かしているのも見どころとなつている―以上の3本は渋谷のシアター・イメージフォーラムで。
6月8日公開の仏映画『世界が食べられなくなる日』はGM作物(遺伝子組み換え食品)をラットに与え続け、ほとんどががん死に至る研究成果を明らかにしている。TPP問題を考える上で欠かせない。これに撮影時に起きた福島第1原発事故の取材を重ね、二つの問題の共通点を追究し、「テクノロジー=技術信仰」が世界を破滅に追いやっている危険を訴えている。(『サンデー毎日』 2013年6月16日号)
*『世界が食べられなくなる日』は、東京・渋谷アップリンクほか、全国順次公開。
〔付 記〕ビデオプレスの『いのちを楽しむ〜容子とがんの2年間』は、これまでの“がん”に対する見方を変える作品―アンジュリーナ・ジョリーとは対極にある。必見!
映画『いのちを楽しむ』公式サイト
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