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次の漢字語が中国でも広く使われ、ほとんどの人はこの漢字語が日本製であることを知らないで使っている。みなさんはどれくらいご存じだろうか?
電話、倶楽部、銀行、果実、食物、理論、問題、活動、健康、申請、手続、方式、服務、商業、歴史、生産、階級、演説、知識、物質、関係、現象、闘争、解決、国家、政府、個人、民族、宗教、私人、共産党、社会、主義、自然、道コ、風流、原則、概念,文学、哲学、物理、自然、意外、万一、場合、癌、
日本は明治維新をいち早く達成し、近代化を押し進めるため西洋文明の学問と技術を大急ぎで吸収した。その過程で、西洋の語彙をそのまま使わず、多くの日本人を教育するため、西洋の概念を日本語に移し変えていった。当然その概念は日本語にはないものが多かったので、日本政府は漢字を利用し新しい語彙を作りその概念を表そうとした。
中国本土でも西洋文明の語彙を独自に中国語に移し変える試みも行われた。日本語訳と中国語訳が共存していた時代もあるが、「経済学、哲学、社会学」を使う人の数が多く、中国語訳は淘汰され、日本製が使われている。
「Economics」日本語訳「経済学」、中国語訳「計学、資生学、富国学、平準学など」
「Philosophy」日本語訳「哲学」中国語訳「理学、智学」
「Sociology」日本語訳「社会学」中国語訳「群学」
生活用語はあまりないが、自然科学と社会(科)学の分野では、日本製の漢字語がそのまま中国語になったものが多い。清末の中国では明治維新を果たした日本に多く知識人や若者を派遣した。旅費や生活習慣を考えると直接欧米に派遣するよりはるかにハードルは低かった。1896年最初の留学生が来日、盧溝橋事件勃発の1937年までの42年間に中国人の留学生の数は6万人を超すと言われる。この知識人や留学生は、日本で学んだ西洋文明を日本語の語彙と一緒に中国に持ち帰った。
近代になってから、中国語新語の多くは日本製と言われる。その数は学者により異なるが、600〜1,000語であるそうだ。当然、現代中国語における新語の使用頻度は高い。中国の文章語は、一つの文字で一つの語彙が原則であるが、複音化で語彙の数を増やし、語義を限定しやすくした。動詞以外の現代中国語は二音節の語彙が圧倒的に多い。
現代中国語では二音節で使用頻度の高い基本語の約三分の一が日本製であるとも言われる。また、今日使用される自然科学、人文科学、社会科学で使われる名詞の7割は日本製と言われている。
日本製の漢語の大半は、漢字の新しい組み合わせと古い漢籍の漢語に西洋文明の概念を付加したものもある。後者の例として、組織(元は紡績)、雑誌(元は様々書きしるす)、労働(元は運動)、社会(元は集会)、経済(元は経世済民または経世済俗)などがある。
(1) 漢字の新しい組み合わせ
直接、間接、広義、狭義、主体、客体、主観、客観、肯定、否定、時間、空間、理性、感性、右翼、左翼、直流、交流、暖流、寒流、動脈、静脈、優勢、劣勢、長波、短波、内在、外在、予算、決算、決議、否決、動態、静態、質量、数量、熱帯、寒帯、温帯、動産、不動産、上水道、下水道、地下水、内分泌、重工業、軽工業、陽極、陰極、債権、債務、抽象、具体、流通資本、固定資本など
(2) 新しく入ってきた自然科学や社会科学の概念
細胞、電流、電池、電波、結核、石油、出版、法案、方針、正当、政策、保健、保証、理事、幹事、系統、伝統、闘争、協定、協会、協議、社交、社団、批判、企業、投資、広告、景気、法則、範疇、道具、劇場、象徴、前提、揚棄、活動、運動、講座、典型、計画、派遣、科学、哲学、工学、簿記、冶金、園芸、工芸、美術、心理(学)、論理(学)、民俗(学)、経済(学)、社会(学)、財政(学)、物理(学)、衛生(学)、解剖(学)、病理(学)、電気通信(学)、建築(学)、機械(学)など
(3) 古い漢籍の漢語に西洋文明の概念を付加
人道、革命、索引、意味、共和、形而上、形而下、憲法、唯心、唯物、地主、知識、保険、生産、権利、歴史、民主、作用、積極、絶対など。
3.日本から次のような漢字の用法も取り入れられた
(1)化―― 一元化、多元化、大衆化、自動化、現代化、機械化、長期化など
(2)式―――方程式、恒等式、西洋式、日本式、旧式、新式など
(3)炎―――肺炎、胃炎、腸炎、関節炎、脳炎、気管支炎、肋膜炎など
(4)力―――生産力、消費力、原動力、労働力、記憶力、表現力、支配力など
(5)性―――可能性、現実性、必然性、偶然性、周期性、放射性、必要性など
(6)的―――歴史的、科学的、必然的、相対的、絶対的など
(7)界―――文学界、思想界、学術界、金融界、新聞界、出版会、宗教界など
(8)型―――新型、大型、中型、小型、標準型、血型(血液型)など
(9)感―――美感、好感、情感、敏感、直感、優越感、読後感、危機感など
(10)点―――重点、要点、焦点、注意点、観点、出発点、終点、着眼点、盲点など
(11)観―――主観、客観、悲観、樂観、人生観、世界観、概観、直観(哲学)など
(12)線―――直線、曲線、抛物線、生命線、戦線、警戒線など
(13)率―――効率、使用率、利率など
(14)法―――弁証法、帰納法、演繹法、表現法、選挙法、方法、憲法、民法、刑法など
(15)度―――深度、強度など
(16)品―――作品、食品、芸術品、記念品など
(17)者―――作者、読者、訳者、労働者、著者など
この語彙群は、百数十年前に造られたものであり、中国でも広く常用語として利用されている。しかし、そのことを知る日本人も中国人もあまりにも少ない。中国に入ってから日本製漢字語の意味が変わったものも多く、注意が必要なこともある。
矢津陌生ブログ http://yazumichio.blog.fc2.com/blog-entry-191.html より転載
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