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(レビュー)
イワン雷帝(下) [VHS]
ニコライ・チェルカーソフ (出演), セルゲイ・エイゼンシュテイン (監督) | 形式: VHS
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エイゼンシュテインは芸術家の鑑−−スターリン支配下でこの映画を作った彼の偉大さ 2006/6/6
By 西岡昌紀
エイゼンシュテインの『イワン雷帝』第二部は、タルコフスキーの『アンドレイ・ルブリョフ』と並ぶ、ロシア(ソ連)映画の最高傑作の一つである。−−そして、世界映画史上の最高傑作の一つである。
イワン雷帝が、自らの幼少時代を回想する。それは、恐ろしい、悲劇的な記憶である。そして、その回想を胸に秘めながら、今を生きる雷帝は、ためらふ事無く、政敵を葬り、権力者として生き続ける。・・・
若い頃、この映画(『イワン雷帝』)を観た私は、この第二部の内容に、衝撃を受けた。そして、同時に、スターリンの支配下で、明らかにスターリン批判の意味を込めたこの様な映画を作ったエイゼンシュテインの勇気と造形に深い尊敬の気持ちを抱かずには居られなかった。−−スターリンの支配下で、この様な勇気有る作品を、しかも最高の芸術作品を作ったエイゼンシュテインは、芸術家の鑑(かがみ)である。−−もちろん、この映画で主役を演じたニコライ・チェルカーソフも、音楽を担当したプロコフィエフも、である。スターリンの支配下に在っても、この様な芸術作品を生み出す事が出来たロシアと言ふ国の文化の深さを感じさせられる。
後半のカラー画面の色彩、構図は、悪魔的なまでに美しい。そして、そこに流れるプロコフィエフの音楽も最高である。若い人は、必ず、この映画を観て欲しい。
(西岡昌紀・内科医/スターリン批判から50年目の年に)
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