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(レビュー)
日本の悲劇 [DVD]
望月優子 (出演), 桂木洋子 (出演), 木下惠介 (脚本) | 形式: DVD
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5つ星のうち 5.0
昭和の日に見るべき作品−−当時の観客がこの作品を拒絶した理由は何か?, 2008/4/29
By 西岡昌紀 -(2008年4月29日)
木下恵介の最高傑作ではないだろうか。−−戦後の混乱期、子供たちを育て、子供たちに教育を受けさせる為に、温泉街でいかがわしい仕事をした母親が、成功した子供たちから嫌悪され、ついには、映画の結末に在る悲劇に至ると言ふ物語である。−−戦後の混乱が一段落し、日本が高度成長期にこれから入ろうとするこの時代に、小津安二郎の『東京物語』や黒澤明の『生きる』、『生きものの記録』と言った、苦労した親が子供からうとまれ、或いは拒絶されると言った題材の作品が生まれて居るのは偶然ではない。木下恵介のこの作品も、そうした時代状況を反映した作品の一つであったと、私は考える。映画評論家の佐藤忠男氏は、その著書『黒沢明の世界』(三一書房・1969年)の中で、黒澤明の『生きものの記録』を木下恵介のこの作品(『日本の悲劇』)と比較し、当時の日本の観客が、この二作品に抵抗を感じた理由を分析、考察して居るが、その理由は、この映画が描いた物が、当時の日本の現実その物だったからだと私は考える。(佐藤氏の考察は、非常に興味深い物である。『日本の悲劇』を観た人に、佐藤氏の『黒沢明の世界』の中の『生きものの記録』に関する箇所をお読みに成る事をお勧めする。)誰かが、昭和の日に、観るべき映画を一つ挙げろと言ったら、私は、この映画を挙げるかも知れない。
(西岡昌紀・内科医/昭和の日に)
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