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2012-01-29
石原慎太郎は、何故、芥川賞選考委員を降りたのか? 石原慎太郎は、何故、芥川賞選考委員を降りたのか?最近の新人作家の作品は、刺激するものがなくなった?冗談だろう。石原慎太郎という老人が、いつまでも「芥川賞選考委員」に居座っていることが「文壇悲劇」ならぬ「文壇喜劇」だったのだ。では、石原慎太郎は、何故、芥川賞選考委員に居座っていたのか?政治家人生で挫折した後、行くところがなかったからだろう。「これからは文学より政治だ・・・」と大見得を切って政界へ転向した手前、今更、おめおめと文学の世界へ・・・。それを恥も外聞もなく舞い戻ったのが石原慎太郎である。「芥川賞選考委員」にしがみ付かざるをえなかったのである。「芥川賞選考委員」という肩書きが必要だったのだ。それがなければ、誰も石原慎太郎を作家だとは思わなかったからだ。哀しいことに、それを一番よく知っていたのが石原慎太郎自身だったということだ。石原と同世代か、それ以後のまともな作家たち、たとえば大江健三郎も古井由吉、黒井千次も、とっくの昔に、後進に道を譲るために、あるいは自分の文学活動に専念するために芥川賞選考委員を辞退している。老醜を晒し続けていたのが石原慎太郎一人だったというわけだ。
「石原新党」の可能性が現実のモノになり、中央政界復帰、そして総理大臣も夢ではなくなったという妄想が、眼中にチラつき始めたのと「芥川賞選考委員辞退」が同時というのが笑わせる。いかにも俗物・石原慎太郎らしい人間喜劇である。石原新党の話が瓦解したら、また芥川賞選考委員に復帰したりして・・・(笑)。そこまで厚顔無恥な俗物だとは思わないが、しかしそこまで行ったら別の意味で僕は尊敬・脱帽するのだが、ところで、田中慎弥と石原慎太郎の遣り取りを、見たくもないのに見せられて、うんざりしていたのは僕だけではあるまいと思うが、いずれにしろ石原慎太郎もダメだが、田中慎弥の言動もくだらないと思った。僕は、高校卒業後、進学も就職もせず、引きこもりを続け、ひたすら小説を書き続け、やっと新人賞を受賞し、作家デビューを果たしたという、「マイナーな作家」としての田中慎弥を、僕なりに高く評価してきたが、今回の、卑小な俗物が奇を衒ったとしか見えない「受賞記者会見」なるものを見て、かなり失望した。田中慎弥という作家も、蓋を開けてみれば、「テレビ出演」を密かに憧れる、ただの俗物だったというわけだ。「元祖引篭り」で、「引篭り」を売り物にする作家だったら、記者会見もテレビインタビューも断り、さらに芥川賞授賞式なども欠席し、母親を代理出席させるなどして、「元祖引篭り」らしい根性を見せろよと言いたいが、こいう卑小な俗物には、皮肉もイロニーわからないだろうかやめとこう。
文藝評論家・山崎行太郎の『毒蛇山荘日記』 Blog
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