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NHK ETV特集 この世の名残 夜も名残〜杉本博司が挑む“曽根崎心中”
http://www.veoh.com/watch/v23167532p84NCYqz
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http://www.nhk.or.jp/etv21c/file/2011/1016.html
2011年夏、日本演劇界で,ある事件が起きた。「文楽」の古典「曾根崎心中」に,連日1000人を超す観客がつめかけたのだ。「この世の名残 夜も名残」の名文句で知られる文楽「曾根崎心中」。300年前、実話を元に近松門左衛門によって書かれた名作である。その近松の一言一句そのままのオリジナル版「曾根崎心中・付(つけた)り観音廻り」がこの夏上演されて話題を集めた。オープン間もない神奈川芸術劇場は新しい芸術誕生に沸いた。
現在上演されている「曾根崎心中」は演出の都合上、原文の一部が割愛されている。そこで今回は、従来の文楽の舞台を越えて新しい演出で、原文に忠実な「曾根崎心中」オリジナルの上演を試みたのだ。
全く新しい「曾根崎心中」を演出したのは、ニューヨークに住む現代美術作家,杉本博司。空と海=地平線だけを撮り続ける「海景」シリーズなど不思議な光に包まれたモノクローム写真で知られる世界的なアーティストだ。モダンアートの世界に住む杉本は文楽「曾根崎心中」の何に惹かれたのだろうか――。ニューヨークでの杉本の制作風景や代表作を紹介しながら、彼のなかにある芸術観や日本人の自然観、宗教観などを浮き彫りにしていく。
さらに、この杉本文楽を支えたのは、伝統芸能「文楽」の至宝たちだった。人間国宝の吉田簑助、鶴澤清治をはじめ豊竹嶋大夫や桐竹勘十郎ら錚々(そうそう)たるメンバーが参加した。現行曲とは違う演出に、当初は戸惑いを見せたメンバーたちだが、本番が近づくにつれプロフェッショナルの力量を次々に発揮し始める。
舞台の作りも従来の文楽の舞台とはまったく違うユニークなものとなった。舞台両側には2つの大スクリーンが配置される。書割はなく人工照明もほとんどない。闇が主役だ。さらに間口8間の舞台に対して直角に6間の長い花道が出現した。横の動きが中心の文楽にとってまったく馴染みのない縦の動きが要請された。人形遣いは全員顔を隠すことになった。
当初、新しい演出にメンバーたちは戸惑い、共感・恐れなど複雑な感情を抱いたものの、やがて舞台のもつ魔力に乗せられたか、未知の領域へ悠々と挑んで行く。こうして、遊女・お初と,醤油屋手代・徳兵衛の悲恋の物語はアーティスト杉本博司によって近松が300余年前書いた言葉のまま、新しい命を宿した。真実の物語となる。
1月の人形の振りうつしから始まって、8月の公演までの半年間密着し、新しい芸術が誕生する姿を見つめる。
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