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ASCII.jp:都小P 新谷珠恵会長に聞く、都条例改正を推進する理由|ゼロから分かる東京都青少年健全育成条例改正問題
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ゼロから分かる東京都青少年健全育成条例改正問題 ― 第4回社団法人東京都小学校PTA協議会会長インタビュー<前編>
都小P 新谷珠恵会長に聞く、都条例改正を推進する理由2010年11月12日 09時00分更新
文● 高橋暁子現実には存在しない“キャラクター”を規制する。
このいわゆる非実在青少年をめぐる騒ぎは、皆さんも記憶に新しいでしょう。ネット界隈を中心に反対意見が巻き起こった東京都青少年健全育成条例の改正は、6月の議会で民主党など都政野党の反対で否決されました。
これを受けて石原都知事は、「子供たちは、インターネット上に氾濫する有害な情報や悪質な性行為を描いた漫画等を容易に手にすることができる現況にあり、これを放置すべきでないことは誰の目にも明らか」と述べ、9月の再提出は見送られたものの、早期に改正案を議会に提案したいとしています。
その再提出の時期は、今年12月と目されています。
そこで再提出のタイミングに合わせて、今回から数回にわたって再び規制の是非を問いたいと思います。
まず最初は、改正問題を審議した第28期東京都青少年問題協議会のメンバーである、社団法人東京都小学校PTA協議会会長の新谷珠恵氏に、非実在青少年が規制の対象となった理由、否決になった訳、改正に向けた今後の動きまでを語っていただきます。
取材当日、東京都小学校PTA協議会(都小P)の事務所に通されると、付箋がたくさん貼られた漫画が並べられました。子どもを対象とした過激な性的シーンは、「教室」「体育館」「制服」などと書かれた付箋がびっしりと付けられていました。
インタビューの最中には、新谷氏が「これを子どもに見せたいですか、見せられますか!」と激昂しながら本を叩くシーンが見られました。
子どもを対象としたエロ漫画が規制なしで読まれている現状
都小P 新谷会長「お見せしたのは子どもを対象としたひどいエロ漫画ばかりで、近親相姦、レイプ、陵辱が“愛”とされ、子どもがそういうものを喜んで受け入れる様が描かれています。
乱交、輪姦、生徒会室でパパやお兄さんお姉さんと性交するとか、おかしい漫画ばかりです。
今は、子どもを性の対象としたそのような漫画を、子ども自身が規制なしで読める状態となっています。小学生でも手に取れる状態であり、実際に家にあった例もあります。
こんな悪書が、普通の書店やコンビニでも売られているのです。不健全図書の委員に聞くと、近所で売られているのを見つけたと言いますし、それを子どもが手にとって見ていたそうです。コンビニは中身を見ずに外側だけで判断するので、表紙がきちんとしていたら売られてしまうのです。
書店では、児童ポルノ的な内容の同人誌が売られています。本屋でバイトしている学生に聞いたのですが、夏休みにマスクしてサングラスをかけた小学生が来たので、『これはエロ本を買いに来たな』と思ったのだそうです。
成人指定のものを持ってきたら年齢を聞こうと思っていたところ、持ってきたのは子どもを対象としたエロ漫画でした。注意しようと思ってその本を確認したところ、成人指定になっていなかったので売ったけれど、内容はとても過激で、正直複雑だったと言います」
親は二次元児童ポルノ漫画に存在してほしくない
都小P 新谷会長「こうした漫画では、レイプや陵辱された小中学生が涙を流して喜んでいます。けれど実際にそういうことがあったら、心と体の傷でその子は立ち直れなくなります。そんな現状を見ている私たちにとって、このように描かれることは理解できません。
いたずらや声かけ事例は毎日たくさん起きており、そのうち警察に届けるのはかなりひどい被害だけで、届け出られない盗撮や声かけ、SNSやデコメサイトで呼び出される話は後を絶ちません。
親は子どもに健全に育ってほしいと願っているし、そのためには子どもを対象としたエロ漫画はあってほしくありません。その上、今回の例は商品です。子どもを食い物にするな、商売にするなと言いたいのです。私が望んでいるのは、そういうものが子どもにも売れる現状を何とかしたいというだけなんです」
「非実在青少年」が問題である理由
都小P 新谷会長「『児童ポルノは被害者がいるから問題だけれど、非実在青少年は被害者がいないので問題ではない』という論調があります。
しかし、『二次元だから性的に貶めてもいい』というのは、子どもの尊厳と権利が侵害されていることになると思うのです。
漫画自体を否定する気持ちはまったくなくて、うちの子どもも漫画をたくさん読んでいます。漫画から愛や勇気や友情を培うこともあるし、そういう漫画は人間性を豊かにします。写真よりも漫画のほうが子どもの心をとらえるし、そんな漫画の力を評価しています。
だからこそ反面、悪い価値観も同様に漫画によって子どもの心に入り、傷や障害になると思うのです。
幼い頃には、純粋な親子愛、友達関係、信頼、善悪など、モラルの基礎を経験して、人格を育てていくものです。小学生や中学生には、まず良い価値観や愛の本質を教えてあげたいと思います。そして、その後に色々なものを見て広げていってほしいと思うのです。
そのために、二次元児童ポルノ漫画は成人指定にして棚を移すことを望んでいます。
大人同士のエロマンガは既に規制されて棚を移されています。大人同士は対象なのに、子ども同士は対象にならないのはおかしいのではないでしょうか。そういう本を子どもが買えないようにしてほしいと願うのは、親にとっては当たり前のことだと思うのです。そちらのほうが影響が大きいし、モラル的にも許されないのではないでしょうか」
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ネットで叩かれていることについて
都小P 新谷会長「ネットは見ているので、反対意見があることも、叩かれていることも知っています。『ネットの世界は怖いね』と言い合っています。『ネットで叩かれちゃって』とお茶の水女子大の坂元章教授に言ったら、『ネットで叩かれるということは表の世界ではヒーローだよ、表の議論が自分たちを潰しそうで怖いから叩くんだよ』と。
私たちを叩いている人たちはネットの中だけで暮らしており、発言の場がネットにしかない人と捉えています。表の世界とネットは乖離しているのを感じますね。
『自分もPTA』という人からの反論もありますが、ある程度の年齢の大人はみんな保護者なので、色々な人がいるなと思うだけです。私たちが言うPTAは、子どもの健全な成長を考えている親であり、それが私たちなのです」
守るものを守った上での自由
都小P 新谷会長「ネットの意見に対して反論もありますよ。
『規制は憲法違反』と言う人には、なぜ憲法で規制できないのかと言いたいです。社会を良くする責任や義務を果たした上での自由だと思うのです。そうでなくて、大人たちの自由だけを大切にしていたら、社会を担保できないでしょう。他人の権利や尊厳を傷つけないことが基本であり、自由は守るべきものを守った上で謳歌すべきです。
『表現の自由が侵される』という人もいますが、憲法は表現の自由だけでなく人権も尊重しています。自由がすべてなのはおかしいし、欧米でも自由が絶対ではなく、自由の裏には責任と義務があります。
私は米国に住んでいたし子どもも留学させていますが、ただ自由なのではなくきっちりルールを守った上での自由であり、ルールを守らないと権利を剥奪されてしまいます。大人の勝手を通すと、子どもの人権や尊厳を損なう危険性があります。リスクがある以上、子どもにマイナスなものは規制すべきだと思うのです」
『データはあるのか』と言われること自体ありえない
都小P 新谷会長「幼い頃から二次元児童ポルノ漫画に触れることで、子どもの発達は歪んでしまいます。
こういうことを言うと、『エロ漫画が子どもに悪影響を与えるというデータはあるのか』と言う人もいるでしょう。ですが、『エロ漫画を見たら健全な発達に(良い)影響が出た』というデータがこれまであったでしょうか。
子どもは日々色々学んで生きていくので、数式的な答えはありません。心理学者の先生に聞いたのですが、『学術的なデータは無理』と言われてしまいました。逆に、『影響しない』という論もあるくらいです。
でも、私たち親の感覚では、『データはあるのか』と言われること自体がありえないですね。素直な親の感覚として、こういうものが規制なしで存在すること自体が問題なのであり、例えデータがなくても子どもを守るために読ませたくないという気持ちです。
子どものことを考えてないから二次元児童ポルノを喜べるのだし、そういうことを言う人は子どもを守ろうという感覚がないのかなと思ってしまいます。こういうことを言うと、また大騒ぎになって炎上してしまうかなと思いますが(笑)」
児童ポルノ漫画は喜ばしくないという感覚こそが社会の代表意見になるべき
都小P 新谷会長「実際、『漫画を見たら面白そうだったからやってみた』『彼が、愛があったらこうするものだと、エッチな漫画を見せてきた』などという事例が耳に入っています。
警察の方が研修で話していたことですが、子どもに性的いたずらをする人を捕まえたら、高校生だったという例もあります。
『ただの事例だろう』と言われてしまいそうですが、1つでも2つでも事例があるならリスクマネジメントすべきではないでしょうか。
影響を受ける子が何百万人になったら規制するのでは、手遅れになってしまいます。日本全体でリスクマネジメントしませんかと提案しているのです。
私たちのように二次元児童ポルノ漫画はおかしいという感覚、子どもは守られるべきものという感覚と、そういうものがあってもいいという感覚の、どちらが社会全体の感覚なのでしょうか。
これをいいと思う大人ばかりなら仕方がないですが、一部の強い声が全体を支配し、守られるべきものが守られないなら、社会は歪んでいるとしか言えません。これは喜ばしくないという感覚こそが社会の代表意見になるべきであり、民意が生かされるべきではないでしょうか。
『親が買うなと言えばいい』『隠すような教育をすることがいけない』という意見もあります。ですが、子どもは本当にバカで未熟なのです。
特に東京では、家庭の教育だけでは無理です。家庭だけでなく学校でも教育してもらいたいし、地域の目や企業も大切です。そういうものは作らない売らない社会のシステムや、法律での規制が必要です。他の国のように、子どもは日本の将来の人材と思ってもらいたいし、本気で子どもへの影響を考えてほしいのです」
◆後編では、第28期東京都青少年問題協議会のこと、非実在青少年が規制対象となった訳、廃案になった理由、再提出で成立させるために行なっていることまでを語っていただきます。
著者紹介:高橋暁子 ITジャーナリスト。情報モラルアドバイザー。SNSやウェブサービス、子どもの携帯電話利用・情報リテラシー教育などに詳しい。元小学校教員。著書に、『電子書籍の可能性と課題がよーくわかる本―出版ビジネスは電子化でどう変わるか』『子どもにケータイもたせていいですか?』など。高橋暁子公式サイト
■関連サイト
都小P 新谷珠恵会長に聞く、都条例改正を推進する理由|高橋暁子のC教室*mixi、SNS、ケータイ、Web2.0、ネットと教育、ウェブサービス、ベンチャー、ネット規制
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Twitter / いなのめ: 坂元教授曰く、『ネットで叩かれるということは〜』とい ...
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