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鼎談<すべての道はアートに通ず>
―政治ももはやアートである―
話し手・嶋咲桃孫
聞き手・巴御膳
「嶋咲さん、ずばりお聞きいたします。どうでしょう、民主は60いきますか」
「いくと見ています」
「でも大方の予想は、よくて54とか、50割れもありえるとかのようですが」
「それがいいのです。危機感がある方が、では応援しようかってなるでしょう」
「でも支持者も今回は迷うではないですか。そこまで勝ってしまうと、消費税増税をみとめたことになってしまう」
「そうでしょうか。時間をかけて議論するのではないですか」
「たしかに支持率低下に驚いて言ってはいますけれど、そのぶれ加減がまた、逃げカン、だめカン、イラカンとか、小沢も鳩山も菅首相を批判していますね」
「でも消費税のことだけでしょう」
「しかし消費税増税は大きな問題です。もちろんそれが本来の争点ではないわけですが」
「でしょ」
「ですが、せっかく首相と幹事長のダブル辞任で支持率がはねあがったのに、消費税を、それも野党の10%をそのまま持ってきて、勝手に決めてしまう」
「そうなんですね、辞めただけではねあがった。変でしょう」
「まあそうなんですが、しかしそこで消費税増税を言うとはなんというか」
「そう、夢がない。政治の先端にいるのですから、どうせだめもと言うなら、平和憲法は遵守するが、核搭載潜水艦を保有するとかの方が、元気は出る」
「アッときましたね」
「アート、ですから」
「やっぱり消費税は、そっち側に擦り寄りたかったからではないですか」
「そこなんですね」
「というと」
「そう見てはいないんです」
「しかし、それは」
「おかしいですか」
「だって、菅首相を見れば」
「見れば、でしょ」
「その、言ってること、してることですが」
「でもわからないでしょう、ほんとうのところは。鳩山首相の普天間腹案もそうでした。あれだけ延々と引き伸ばしたのに、だれにも悟られなかった。まるでプリズナーbU。で、そのお陰で、いろんなことが出てきた。いろんな人が、いろいろ言うことによって、いろんなことが見えてきた。まさにIT革命です」
「しかし結局もとにもどっただけでした」
「もどるってことはないですね。もどったように見えても、もとにもどるってことはない。これだけ情報が流れたわけですから。あとはどうするかです」
「じゃあ嶋咲さんは、今回も菅首相の消費税で、いろいろなものが出てきたと」
「出てきたでしょ。何でも出てくるときなのです、いまは。状況が情況だから」
「まあそう言われると、ギリシャとは違うとか、デフレで増税はおかしいとか、日本は債権国だとか、確かにいろいろ。首相自身も、官僚はダメだと言ってたのが、優秀だから一緒にやろうと、なってしまった」
「なぜいけないのですか」
「えっ。だって取り込まれてしまったわけでしょう」
「まだわからないでしょ。選挙が終ってみなければ」
「しかし...」
「一口に官僚と言っても、一枚岩ではない。与党も野党も、マスコミも検察も」
「優秀もいれば、ダメもいると。じゃ、アートにも」
「今回の党首選から選挙突入への流れは、曲に譬えるとモーツアルトのアイネ・クライネ・ナハト・ムジークです」
「...」
「シュトラウスのツァラトストラはかく語りきの方がいいかな」
「今回の流れというと、菅さんがすばやく手をあげて、即組閣し、そして野党の、消費税10%を言ってしまって、」
「そのあとは成り行きにまかせてるでしょ」
「成り行きというか、非難囂囂に驚いて、徐々に修正をはじめて、」
「いまや鳩山さんや小沢さんと同じ」
「まあそうですが」
「寄ったのは、小沢、鳩山の方へです」
「そうかなあ」
「組閣に側近を入れてないそうですね」
「それは田中良紹さんが書いています。とりわけ大事な国対委員長を対抗馬だった樽床さんにしたのには驚いたと」
「おかしいでしょ」
「別に深い考えはないんじゃないでしょうか。単に知らなかったとか」
「そうでしょうか。こういうのはなんなのですが、どうでもよかったのかもしれない。自分が首相になることを、とりあえず最優先にした」
「でも獲得予想が54というのは、党首として、いただけないですよ」
「でも、それでまたいろいろ出てきたものがあるでしょう」
「まあ、連立とか、再編とか、いわゆる七奉行の思惑、発言」
「ひとり、沈黙しちゃってる人がいますね」
「あ、ダブル辞任したときこれでパーフェクトだって言った人。自分で黄門とか言ってはしゃいでいる、結構知ってらっしゃるじゃないですか」
「アート、ですから」
「情報源でもあるんですか」
「風。よくささやきます。とくに、そよ風。緑の。あと、木とか、鳥とか。天道虫もよく呟いてくれます」
「って、それ、なんと申し上げたらよろしいのやら。聞耳頭巾の世界ですね」
「やられたと思ったとか。やったと思っていたのに」
「菅首相にですか。う〜ん。しかしもし60いっちゃってもいいんでしょ、彼らにとっても。大勝利ですから。そのまま代表戦をスルーして長期政権になって」
「でも誰も言ってませんね。小沢以外は。ですからもしいったとしたら」
「小沢のおかげ。しかし」
「みんな見ているわけです。とくに今回は。迷っているのでしょ、誰にするか考えているわけです。変なことはできない」
「すると、執行部は、みんな消えてしまう。菅さんは」
「首相は残るでしょ。で、側近と」
「小沢系でしょうか。小沢さんは」
「組閣によるでしょうね」
「もしですね、消費税で大敗して、40とかだったらどうでしょう」
「アッときましたね」
「アート、ですから」
「みんな消えるでしょう」
「で、やっぱり、小沢さんですか。どっちにころんでも、そうなら、まさにマジックですね」
「流れは、大きな器に向っていかざるを得ない。宇宙もです。重力に沿って進む。他に誰かいますか。新しい時代にふさわしい法を、実際に持っている人。もどることはないような気がするのですね。消費税の件がなければ、当然いくと思われていた」
「政治とカネ、もですね」
「ですからそこを、なんというか、( )に入れてしまえば、当然いくわけです。印象派、知ってるでしょう」
「マネ、モネ、スーラ。ゴッホ、ゴーギャンもそうでしたっけ」
「マネの草上の食事、この絵は官展に落選して、落選作展に出品するのですが、そこでも大スキャンダルになる。それ以後写真の影響などもあり、絵画の主流が写実的アカデミズムに戻ることは二度となかった。スーパー・リアリズムとか、様式として形を変えてでてきたりはするのですが、感性として戻ってくることはなかった。時代も暮しも、見方も考え方も、決定的に違ってしまったのですから。流れというのは大きいです。とくに感性は」
「流れといえば、先ほど話にでた曲との関係が、よくわからないんですが」
「モーツアルトのあのセレナーデは知っているでしょ」
「ドッ、ソ、ドッ、ソ、ドソドミソ、...」
「そう、それ、とても覚えやすい、いきなり曲の始めにでてきて、記憶を手繰るとき、そのメロディで検索できる。消費税も、いまでは子供でも知っていて、冗句にして遊んでいます」
「あッそうか、最初に一発かまして、引き付けて、その調子でそのままお仕舞いまで引っ張っていく」
「曲想の一回限りの成り行きで。奇跡的に。この場合、軌道の軌の、軌跡的もいいかもしれない」
「アマデウスの映画にもでてきますね。最初の方、自殺しそこなったサリエリを神父さんが病院に訪ね、サリエリがピアノでこのメロディを弾くと、あッそれならよく知ってますって、さっきわたしがしたように口ずさんで、感激して、サリエリさんあなたが作ったんですかって言う。そうか、シュトラウスのもそうですね。キューブリックの2001年で遣われて有名になった。たしか映画の冒頭でいきなり鳴り響きます」
「今回は、いままでと明らかに違うものがあるのですね。それは、党による政策が政争の具になっていない。与党も野党も10%な訳ですから。またそれに一部野党も与党のほとんども反対してる訳です。ですから一人一人が、迷い、考え、違う視点から見なければならなくなってくる」
「どんな視点でしょう。基地とか、教育とか、地方とか」
「そういう政策のこまかいことではなく。その、人間というか、素性というか」「カネのある人、カネのない人、ですか」
「ここはやはり、心有る人、心無い人かな」
「倫理、ですか」
「即感というか」
「そっかん。なんか、あっ、そっ、かぁん、みたいですが」
「武蔵の書に、直指人心、つまり目を、こう、人差し指のようにして、目を見つめ、心から心へ、こう、ね」
「参議院というのは、もともとそういうものではなかったですか。他の国ではいまでも貴族院とか元老院とか言ってますね。上院、下院もそれに似てます。でも、心の、ある、ない、って、かえってむずかしくないですか。ないといっても、ロボットではないので、あるわけだから。要は心のありかた、もちよう、つかいようなんでしょうか。脳科学でも、いま一番問題となってるところです」
「...」
「どうされました。ねむそうですね」
「正直、ちょっと疲れました」
「そうですか、じゃこの辺で終りにしましょう。もう真夜中もとっくにすぎてます。でもやはり最後にもう一度、ずばり聞きましょう。60いくと思いますか」
「そう見ています」
「はずれたら、どうします」
「べつに。専門家ではないし。アート、だから」
「ははははは」
「感性にてらすと。60なのだから仕方がない。それにこんなにゴタゴタしていてよいのでしょうか。まわりから、いろいろ狙われているときに」
「というか、なって欲しいからでしょう。希望的観測」
「というか、ならなかったとしても、あたかも60になったかのようにいくというか。前首相も、現首相も、従来の政治家とは違う気質を持っているところが味噌です。まだ噛合っていないところも、また味噌ですが」
「小沢さんはどうですか」
「...」
「前首相はたしかに宇宙人って呼ばれてました。現首相はどうでしょう、お遍路。小沢さんなんて熊野詣ですよ」
「遊説は、ビール箱に立って」
「山奥の、川上から、川下へ」
「それに、熊野古道、碁、釣り、縄文」
「発想がとんでますよね」
「ここからイスタンブールくらい。次世代を越えて孫の代へ」
「だからってかたちじゃない。地道というか。気持が入っている。当り前ですが」
「アート、でしょ」
「そう言われちゃうと。なんか、なんでも言えちゃいませんか」
「オバマが、真似するかもしれない」
「ええっ、オバマがですかあ」
「モナリザ、見たことあるでしょう」
「もちろんですよ。ルーブルにも行って。一番有名な絵ではないですか」
「なぜ見るのですか」
「なぜと言われても、美しいからじゃないですか」
「貴方はどうですか。美しいと感じるのですか。女性として見てどうですか」
「あらためてそう言われても。パリではガイドさんがいて、由来の説明を聞きながら見たんですが、意外と小さいんです、絵そのものは。で、深いんですね、暗い洞窟を覗きこむような、画集や絵葉書で見たりする方が見えるというか、本物の前にいるんだって、実感はすごいですが、そうですね、美しいというか、よくできている、不思議というか、もっと言ってしまえば不気味でもあります、背景がまた凄い、だって人跡未踏の風景ですよ、そこにほほえみ、永遠の微笑、やめないわけでしょう、ま、絵なんだから当然といえば当然なんですけれど、でも描くとしたら微笑ですよね、嘲笑いやほくそ笑みでは、永遠には、あわないように思うし」
「そう思いながら見ていた」
「ええ、まあ、眺めて」
「ね、見てしまうのですよ、みなさん」
「はあ」
「モナリザは、時間なのです」
「...」
「とにかく見てしまう。永遠に、とはいかないけれど。そう、似てませんか、羽生マジック」
「あの有名な将棋の。後から見ると普通の手なのに、その流れのなかでは、あれって感じなので、解説棋士も観戦記者も読み切れない。よく銀ででるって言われてます」
「相手は」
「読み解こうとして盤面にはりつく。なるほど。見る人がモナリザに惹かれるように、ですね」
「そうして生まれたかもしれないのですね、なにやかや、生き物も、言葉も」
「そういえば、モデルのジョコンダ婦人は、お子さんを二人産まれたそうです。そしてご主人がそのお祝いに絵をとダビンチに頼んだ。奥さんはまだ二十二、三だったそうですが、それにしては、着ている服が黒く、地味、喪服のようで」
「ルネサンスという一つの時代の終演に、ほほえんでいる」
「やがてマニエリスムが始ります、ローマが略奪され、宗教改革も吹き荒れ」
「二十そこそこにしては、老けて見えるでしょう」
「旦那さんも驚いたでしょうね。お祝いの絵なのに」
「六十くらいに見える」
「まあ、たしかに...、旦那さんも結局受け取らなかった」
「ね、で、60いくんですよ」
「おっと、ダビンチ・コードみたいになってきました、選挙結果がモナリザに隠されていた、しかしこれは少しいい加減すぎませんか」
「アート、だから」
「またアートですか。これじゃあ失礼ですよ、アートやってる人に」
「...」
「あれ、嶋咲さん、どうされたんですか。おや、ほんとうにねむってしまった。どうしよう、これ投稿してはずれたら。ま、いいか。どうせこっちの予想じゃないんだから」
(参照URL:
http://diamond.jp/articles/-/8745
http://sumichi7878.cocolog-nifty.com/blog/2010/07/post-ee1a.html)
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