★阿修羅♪ > 文化2 > 130.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
ホームレス、失業…悲惨な現実見つめる 映画「ベルサイユの子」ピエール・ショレール監督インタビュー(産経新聞)
2009.5.3 09:12
(1) http://sankei.jp.msn.com/entertainments/entertainers/090503/tnr0905030914006-n1.htm
【シネクラブ】遺作となった「ベルサイユの子」(ピエール・ショレール監督)で孤高の男を演じるギョーム・ドパルデューさん(右、提供写真)
フランスの名優ジェラール・ドパルデュー(60)の息子で俳優のギョーム。彼が急性肺炎のため37歳で亡くなったのが2008年10月。遺作となった「ベルサイユの子」で孤高の男を演じ、母親を見失った男の子との深い絆(きずな)を見せつけた。本作が長編デビューとなったピエール・ショレール監督(47)は、そんなギョームを「やけどのような人間だった」と表現した。
■孤高のと男児の絆
ベルサイユの森のはずれで、社会からはみ出てひっそり暮らす男ダミアン(ギョーム・ドパルデュー)は、休職中の母親から森に置き去りにされた5歳のエンゾ(マックス・ベセット・マルグレーブ)を世話するはめになる。寒さと飢えをしのぎながら生活を共にするうちに、2人の間には親子以上の感情が芽生えるが…。
長編第1作でホームレスや失業問題を題材にしたのは「現実に変化を与えたかったから」。ショレール監督によると、フランスでは約90万人が仮小屋やテントなどで暮らし、ベルサイユ宮殿を囲む森の中に住む人々と会ったこともあるという。
(2) http://sankei.jp.msn.com/entertainments/entertainers/090503/tnr0905030914006-n2.htm
《北を目指して南へ行った。海を空だと思った。彼は間違えた…》。森の住人が亡くなったとき、仲間が詩の一節を詠んで弔う場面だ。どんな地位であっても個人の誇り高さを感じさせる。フランスの文化だろうか? ショレール監督は笑いながら否定した。「まったく関係ないよ。詩を朗読した女性は撮影時、車を住みかにしていました。俳優ではないのに悲劇的な要素を十分含んでいましたね。フランスではああいう生活をしている人の平均寿命が45〜46歳。彼らは日々死と背中合わせで生きているのです」
■実生活とだぶる役柄
エンゾの母ニーナ(ジュディット・シュムラ)は、見知らぬ男(ギョーム)にわが子を託し、介護施設に働きに出る。2人とはそれっきりだ。脚本も手がけたショレール監督は「この場面を書きながら切なくてね。母親の行動を通して、見る人に悲惨さに対して敏感になってもらいたかった」。
狙いは十分当たっている。「子供を捨てた」「やむを得ない」など賛否が分かれそうだ。ただ、エンゾのつぶらな瞳やきょとんとした表情に癒やされる観客は多いだろう。
(3) http://sankei.jp.msn.com/entertainments/entertainers/090503/tnr0905030914006-n3.htm
ぶっきらぼうなダミアンがエンゾを育てるうち、「家族愛」に目覚めていく。ダミアンを演じたギョームは、国民的俳優の父ジェラールと長年確執があったといわれる。波瀾(はらん)万丈な実人生とこの役が「だぶってみえる」と仏映画の関係者らは口々にいう。
「ギョームと一緒に仕事をして得た気持ちは、今後長期にわたって私の仕事に影響を与えるだろうね」。どんな気持ちだったのかは明かさないが、「俳優としても驚かされたけど、人間としても映像同様にダイナミックで壮大な男でした」。
東京・シネスイッチ銀座で5月2日、大阪・テアトル梅田で5月23日公開。(文・写真:市川雄二/SANKEI EXPRESS)
◇
■Pierre Schoeller 1961年5月8日、パリ生まれ。映画や写真の専門学校「エコール・ルイ・リュミエール」で学び、脚本家として始動。主な脚本作に「カルメン」(2005年)など。監督としては03年に演出したテレビ映画を経て、「ベルサイユの子」で長編映画デビュー。08年のカンヌ国際映画祭「ある視点」部門に出品され、高い評価を得る。
------------------------------
公式サイト ⇒ ベルサイユの子:Versailles