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園芸植物ばらと超古代文明 4  クレタ島の野山に自生する花々
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投稿者 あのに 日時 2010 年 3 月 21 日 08:04:19: xZaQXyDl16EGo
 

園芸植物ばらと超古代文明 4

1、花と女神と自然が融合するクレタ文明の世界

クレタの野山に自生すると思われる原種系チューリップは、とても美しい。本当にこれも野生種?と思ってしまう。園芸種が野生化したのでは?と思うほどだ。ばらの場合と同じだ。クレタ自生であろうと思われる、つぎの3種、ツリパ・サクサティリス、ツリパ・クレティカ、ツリパ・バケリ・ライラックワンダーは、聖なるばらローザ・リカルディと似ていて、コンパクトな美しさがある。またガリカ系ローズとも似ていて大変コンパクトなのだ。いかにもクレタ人が好みそうなミニ庭園、アドニスの園を作るのによい。アドニスの死と復活の祝祭に使われたアドニスの園には、クロッカスやこの原種系チューリップも添えられたのかもしれない。春分点をすぎたころ行われた古代異教の復活祭は、日本の彼岸桜の咲く頃から始まる国民的な花見にも似た祝祭の雰囲気だったであろう。クレタ文明の壁画で有名なサフラン・ギャザリングとして知られる、サフランを摘む猿や婦人の壁画は、私はアドニスの園を準備する女性神官たちを描いたのだろうと思いながら展示を見ていた。
原種系チューリップには、ほかに有名なツリパ・クルシアナがあり、これは少し違う雰囲気だがこれもコンパクトでいい。そのほか野生種のシクラメン・クレティクムやアンチューサ・ケスピトサ、アネモネ・コロナリア、ビオラ・スコルピウロイデス、などクレタ産の花々も、このアドニスの園にそえられたかもしれない。アドニスの園につかわれた容器は特定されていないようだ。底に排水口の穴があるはずなので特定できそうだが、研究者は園芸に関心がないようだ。園芸という視点からクレタ文明(ミノア文明)をとらえた本をみたことがないが、花と女神と自然が融合するクレタの世界は、園芸という視点から古代文明をみる時、とても興味深い。そしてこれもとても古い、おそらく超古代のにおいがする。現代文明の本質が悪魔文明なので私は、しばしここへ緊急避難するときがある。それがこのシリーズを続ける理由のひとつだ。

2、聖なるばらローザ・リカルディと聖なるハーブ、クレタン・ディタニイをさがしにイダ山へ

私はかって、クレタへ行き、リカルディを探すためレンタカーを駆って、イダ山へ行ったことがあった。夏でも白い峰を持つ山々は中国の山水画にも似て、雄大で、オリーブやぶどう畑の上に霞んでいた。3000mに近い急峻な山々は雪でなく、石灰岩のため白いらしい。千年を経たと思われる古木の銀緑色の葉を持つオリーブの樹海の小道を縫うように走り抜けていくレンタカーの前には、赤紫の花やけしの花が咲いていた。とても山頂まで行けるはずもなく、後に 真保裕一 著 「クレタ、神々の山へ」を読んで、とても素人が登れるような山ではないことを知った。イダ山は、古代から伝説に彩られたハーブ、持っていると自慢になるクレタン・ディタニイの自生地といわれていたが、とてもそんなものは探せるはずもなく、バザールでクレタン・タイムのはちみつと一緒に乾燥ハーブとして購入し、種がないかと探した。あとで実生では増えないと知ってがっかりした。いまではオリガヌム・ディクタムノスは、インターネット通販で買える。ディタニイについては、いま本に埋もれて発掘できないがプリニウスに詳述されている。「麻薬の文化史」のなかにもドラッグの起源植物として紹介されていたと記憶している。この植物も不思議なことに湿地性である。おそらく山の雪解け水のたまり池のまわりにでも自生するのだろう。かなり寒い場所に生えるのか、全草細かい毛が覆っている。といって外には出せない。日本では冬の寒さで枯れるのだ。クレタ以外には自生しないといわれる。野生で自生している場所を見たかったが、とてもそんなことはできなかった。地中海地域にはまったく似つかわしくない植物だ。
 

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