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注目されるスウエーデンのマイナス金利 JBpress
http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/1659
注目されるスウエーデンのマイナス金利各國中央銀行が行方を注視
2009年08月31日(Mon) Financial Times
(2009年8月28日附 英フイナンシヤル・タイムズ紙)
世界初の出來事にしては、驚くほどそつけない發表だつた。然し、スウエーデン中央銀行(リクスバンク)は去る7月、銀行の準備預金にマイナス金利を導入した世界初の中央銀行と成り、未知の領域に足を踏み入れた。
日本の金融危機が最惡期を迎へた時ですら、日本の中央銀行は、市中銀行に貸し出しの増加を促すことを狙ひとするかうした對策には手をつけなかつた。
だが各國中央銀行は、過去2年間の異例の對策からの出口戰略を熟考する一方で、スウエーデンの實驗を注意深く監視していくことに成るだらう。
キング總裁が懸念する流動性の罠
イングランド銀行のマーヴイン・キング總裁は、英國で流動性の罠――現金が銀行システムの中に滯留した儘、裾野の廣い經濟の中に染み出ていかない状態――が大きな懸念に成りつつある事から、スウエーデンを手本にする可能性があると仄めかしてゐる。
日銀が2001年から2006年にかけて量的緩和を實施した時に日本で起きたのが、まさに此のやうな資金の滯留だつた。日本の市中銀行は、中央銀行の刺戟策にもかかはらず、悲慘な經濟状態を恐れて貸し出しを拒んだ。
ほかの國でも此のやうな事態が續けば、各國中央銀行はスウエーデンの例に倣ふ以外殆ど選擇肢が殘されてゐないかもしれない。
RBCキヤピタル・マーケツツのポンド金利商品開發責任者のジヨン・ライス氏は、「英國の量的緩和實驗が成功するかどうかは、銀行が手に入れた餘分なカネを個人や企業嚮けの貸し出しに囘すかどうかに大きくかかつてゐる」と話す。
「今後2〜3カ月で其の兆候が表れなければ、イングランド銀行はマイナス金利を檢討するかもしれない。此れは要するに、貸し出しを拒む銀行に對する罰金だ」(同氏)
貸し出しを拒む銀行に「罰金」
例へば英國では、中央銀行が主に市中銀行から國債や企業資産を買ひ取る事によつて、1400億ポンド近い資金が經濟に注入されてきた。
然し、量的緩和政策が3月5日に實施されて以來、理論的には市中銀行によつて企業や個人への貸し出しに使はれるはずのかうした資金の多くが、結局は準備預金としてイングランド銀行に預けられてゐる。
市中銀行の預金は、3月初めの310億ポンドから、7月末には1520億ポンドに増加した。
銀行は此のやうな準備金の大幅増加を民間部門嚮けの貸し出しを増やすことに使へるため、此のこと自體は問題ではない。銀行の準備金が増えれば増えるほど、貸し出しの餘力は其れだけ増える。
然し、銀行が大きく増えた準備金を貸し出しに囘した兆候はまだ見られない。貸し出しを示す直近のマネーサプライの數字は依然可也低迷してゐる。
其のため、キング總裁は先日、四半期インフレ報告書を公表した後にリクスバンクのモデルに就いて聞かれた時、マイナス金利の可能性を排除しなかつた。「其れは、準備金に附與した金利を引き下げる事で我々の資産贖入の效果が高まるかどうかを見極めるために、我々が間違ひなく考慮していく考へ方だ」とキング總裁は述べた。
總裁の發言は、英國の短期國債の利囘りが過去最低水準まで低下し、英ポンドが爲替市場で壓力を受けてきた理由の1つだ。
量的緩和開始から半年の節目
キング總裁は當初、量的緩和に效果が出始めるまで6カ月間の猶豫を與へた。9月第1週に其の期限が切れる。マネーサプライの數字、とりわけ金融機關を除く重要なM4に效果の兆候が表れなければ、マイナス金利と云ふ政策が慥かな可能性に見え始めるかもしれない。
歐洲では、歐洲中央銀行(ECB)がマイナス金利を導入する可能性は比較的低いと考へられてゐる。
此れは、他の中央銀行に比べてECBが高い政策金利を維持してをり、代はりにマネーマーケツト(短期金融市場)のオペを刺戟劑として利用してきたためだ。例へばECBは6月末に、期間1年の無制限の資金を市中銀行に供與した。
だがECBも、自らの政策の成否を評價すると云ふ點では、イングランド銀行と同じ問題を抱へてゐる。英國と同樣、ECBでも市中銀行の準備預金が過去數カ月間で急増してゐる。
現段階では、米國がマイナス金利政策を導入する可能性も小さいやうに見える。此の件に關して殆ど議論が行はれてをらず、此の政策が選擇肢である事を政策立案者が仄めかすやうな動きもないからだ。
預金金利を現在マイナス0.25%としてゐるリクスバンクでマイナス金利を尤も熱心に提唱してゐるのは、世界的に著名な金融政策理論の專門家で、プリンストン大學でともに教鞭を執つて以來、米聯邦準備理事會(FRB)のベン・バーナンキ議長と親交のあるラルス・スベンソン副總裁である。
リクスバンクの7月の政策會合の議事録によると、スベンソン氏は、ゼロ金利或はマイナス金利に關する「問題を誇張」してきた「ゼロ金利b話」を一蹴した。「マイナス金利にをかしなところは何もない」と同氏は述べてゐる。
ゼロ金利b話を一蹴するスウエーデン中銀
スウエーデンの銀行スカンジナビスカ・エンスキルダバンケン(SEB)のチーフ債劵ストラテジスト、ヘンリツク・ミテルマン氏は、過去最低水準と成る0.25%へのレポ金利引き下げとマイナスの預金金利の組み合はせは、景氣恢復が軌道に乘るまで中央銀行が金利をゼロ近邊にとどめておく意嚮である事を示す、強力なシグナルを市場に送つてゐると言ふ。
「リクスバンクがやつた事は非常に勇敢だつた。彼らは市場が此の政策に對應出來るかどうか見る事を決めたが、市場はきちんと對應してきた」(同氏)
ストツクホルムのダンスケバンクの債劵アナリスト、カール・ミルトン氏は、リクスバンクの決定は、一部の人が言ふほど先驅的ではなかつたと釘を刺す。リクスバンクは、市場の流動性を調整するために日常的に預金金利をレポ金利より50ベーシスポイント低く抑へてゐる、とミルトン氏は言ふ。
レポ金利が0.25%に引き下げられた時、預金金利は自動的にマイナス領域に入らざるを得なかつた。「其れは銀行に懲罰を與へたり、銀行に貸し出しを無理強いしたりするために行はれたものではなかつた」とミルトン氏は言ふ。
更に、スウエーデンの銀行は、他國に比べると中央銀行の預金フアシリテイをあまり利用してをらず、マイナス金利の影響は限られる。
然し、リクスバンクは、マイナス金利に纏はるタブーを破る事で、ほかの中央銀行がもつと效果的に利用し得る重要な前例を作つたのかもしれない。ICAPのエコノミスト、ドン・スミス氏は次のやうに話す。
「スウエーデンの政策は慥かに非常に興味深い。我々は何か起きるか樣子を見る必要がある。此れは慥かに極めて異例の政策だが、今は極めて異例の時でもある」
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