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アメリカの身勝手な侵略主義による膨張政策は、世界各地で排斥されて追い払われているが、それが最後の楽園といわれる東南アジアでも始まっているのに、対米追従の日本政府はその悲劇的な結果に気づこうとしていない。無能無策な野田内閣のアメリカ従属路線は、日本を孤立させアジア諸国から相手にされなくなる。
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株式日記と経済展望株式をはじめ政治経済外交文化歴史などの論評です。
米国は、伝統的な信仰や愛の精神を失い、地上を弱肉強食の思想で侵略し、収奪に明け暮れている
2012年05月01日 | 歴史米国は、伝統的な信仰や愛の精神を失い、権力と自由だけを信奉する国になって、地上を弱肉強食の思想で侵略し、収奪に明け暮れている。
2012年5月1日 火曜日
◆生命体の共生を考える(上) 藤原 肇・スチュアート・アラン・ベッカー
藤原 まず米国の帝国主義からお話しましょう。アメリカ人のあなたは子供の頃から、「リメンバー・アラモ」という言葉に慣れ親しんで、愛国心を掻き立ててきたと思います。だが、その背後に侵略主義を正当化する思想があることに、気づいていましたか。
ベッカー 私の父親は陸軍のパイロットだったし、ベトナム戟争の時はヘリコブターを操縦して、第一線の戦場を飛び回る兵士だった。だから、若かった頃の私は典型的な愛国青年として、米軍の勝利に対し熱狂したものだし、アラモで玉砕したアメリカ人に対しては、強い同情と敬愛の気持ちを持っていた。
しかし、東南アジアでジャーナリストとして仕事をしてから、米国がベトナムに枯れ葉剤を撒き、カンボジアには爆弾の雨を降らせ、住民に対して無差別爆撃したことを知り、考えを改めました。
藤原 カンボジア内戦における米国の責任に対し、あなたはアメリカ人としてどう考えているのですか。
ベッカー 北爆を停止したという欺瞞の宣伝の陰で、カンボジアをB52で絨毯爆撃して、第二次大戦で使った以上の爆弾を投下し、一〇〇万人近くもの農民を殺戮した事実がある。だから、ナチスと同じ悪質な殺戮犯罪を推進したニクソンやキッシンジャーの犯罪については、裁判で明らかにして責任を追及すべきです。チョムスキー教授が強く訴えたように、カンボジア内戦の悲劇の原因を米国が作った以上は、すべての補償責任を取る義務があります。だから今では、アラモの神話はテキサスを奪っために、必要以上に美化したものだと考えます。
藤原 その通りです。メキシコ領のテキサスに入植したアメリカ人が、独立を叫んだことで戦争が始まり、メキシコはテキサスを失った。カリフォルニアやニューメキシコも同じように、アメリカが隣国から奪った領土です。これが「マニフェスト・デステニィ」の正体です。領土を資源という言葉で置き換えれば、イラク戦争もアフガン戦争もその延長で、海外権益の拡張のための侵略です。
ベッカー 確かに「リメンバー・アラモ」で使った発想は、「リメンバー・ケイン」や「リメンバー・パールハーバー」になった。そして、「リメンバー・9・11」で再び敵愾心を煽って、米国はイラクやアフガン戦争を始めた。
藤原 「リメンバー・ケイン」を大宣伝した時には、ハースト系の新聞である『ジャーナル』紙が、金儲けのために戦争を煽ったので、アメリカの世論は好戦一色になりましたね。だが、ベトナム戦争の時は報道の威力で、反戦機運が高まったために侵略が挫折している。現在のメディアに同じ勇気があるだろうか。
ベッカー 今は、米国の新聞業界は不況で倒産が続き、テレビはルパート・マードックのフォックスTVのように、反動化が著しくなっているし、政府や財界は情報操作を好んでいる。でも、MITのチョムスキー教授をはじめとして、米国には幅広い民主主義の草の根運動があり、権力の横暴に抵抗する伝統があります。
藤原 しかし、アメリカが好む弱肉強食の帝国主義路線は、資源が豊かな発展途上国において、相変わらず猛威をふるっている。最近の米軍のイラク撤退の決定も、民主化の名で傀儡政権を作った失敗の後始末だ。一〇〇万人以上のイラク人を殺戮したが、カンボジアでも米国の手口は同じだった。これは中南米で親米軍事政権を支持し、最後に破綻して追い出された米国の侵略史と共通で、同じパターンを繰り返しています。
ベッカー だから、アメリカは莫大な戦費で財政破綻に陥り、もはやボロボロの帝国主義国家として、悪あがきする状態になってしまった。
藤原 ソ連が崩壊して米国の一極支配になり、ネオコン政治がワシントンを牛耳ってから、米国は犯罪国家と見なされています。九五lのアメリカ人は友好的で善良なのに、残りの五lがワシントン政府を操り、アメリカの富のほとんどを独占しているくせに、もっとほしいと強欲になっている。だから、世界の平和に米国の君臨はマイナスです。だが、多くのアメリカ人はそれに気づいていません。
ベッカー その結果、中南米のほとんどが反米国家になって、アフリカや中東も親米国家が次々と姿を消しており、友好国は東南アジアにしか残っていない。
藤原 米国は常に仮想敵国を必要としており、正義を振りかざして敵に立ち向かうことで、国論を統一し膨張する歴史があった。また、金融と軍事産業に依存する米国は、伝統的な信仰や愛の精神を失い、権力と自由だけを信奉する国になって、地上を弱肉強食の思想で侵略し、収奪に明け暮れている。
しかも、大地へ働きかける農業をビジネス化し、米国は農業を殺虫剤、肥料、ホルモン漬けにして、自然を金儲けの道具にしてしまった。
(中略)
藤原 特に酷いのは科学技術の濫用であり、農民の手間が省け収穫が多いと宣伝し、遺伝子組み換えの種(GM=genetically modified)が売り込まれている。しかし、自然界に存在しない異常な種は、生態系を狂わせ、ことによると生命が絶滅する原因になる。この悪魔の発明はモンサント社の仕事です。
ベッカー モンサント社の遺伝子組み換え種(GM)のシェアーは世界で九割に達し、病虫害や除草などの耐性効果をうたっていますが、それを食べる生命体への影響に関しては、何世代にもわたる十分な追跡と実証がない。ところが、米国産の家畜用飼料の一〇〇lがこの遺伝子組み換えの穀物であり、それを飼料にして生産した肉や食物が、世界中に商品として輸出されている。 ベトナムやカンボジアに大量に散布した枯れ葉剤の爆弾による土地汚染で、奇形児や奇病が大量発生しましたが、その犯罪行為も放置されたままのことを想起しますね。
藤原 だから、国としての反省をしていない米国は、農業生産の問題に関連した分野において、東南アジアに関与すべきではない。また、化学肥料やホルモン剤を生産し続けている国連の常任理事国や日独伊などは、最後に残った生命の楽園の東南アジアに、市場原理を持ち込まないことです。そして、三八億年の生命の歴史に対する責任から、食糧生産は住民の選択に任せるべきです。
ベッカー それがあなたの生命観と土壌観なのですね。あなたが米国の東南アジア進出を拒む理由が、政治的な反米ではなく共生観で、自然学の立場なのだと納得できましたよ。
(私のコメント)
ソ連崩壊以降のアメリカは、一極支配で世界を支配するようになりましたが、アメリカは常に仮想敵国を必要としている。ソ連崩壊以降のアメリカは、一時期日本を仮想敵国とみなした。しかし同盟国を仮想敵国とするとは日本人はなかなか気が付かなかったようだ。米英の戦略としてはバランスオブパワー戦略がありますが、日本を押さえ込み中国を支援することで日中の均衡を図ろうとしている。
歴史的に見ても、ロシアの膨張政策は英国にとっては脅威でしたが、シベリアから東は対抗できる国が無く自由に西太平洋に進出する脅威が生まれた。清国もロシアに対抗できる国ではなく日本しかロシアに対抗できる国は無かった。明治維新以降や大戦後に日本が高度成長したのは米英などからの技術援助が有ったからだろう。
しかし日本が日清戦争や日露戦争で勝利すると、日本は自信過剰になり米英の意図を理解しない軍人たちが中国進出を図った。当時においても欧米列強は帝国主義の時代であり日本はその真似をしただけなんでしょうが、バランスが崩れれば日本を押さえ込む行動に出るのは当然のことだ。特に中国の市場において欧米と対立することは日本にとってはプラスではない。
だから冷戦崩壊以降において日本が経済大国として勢力を拡大すれば、アメリカは日本を押さえにかかるのはバランスオブパワー戦略から当然なのだろう。いわゆる「日本叩き」が始まったのは80年代半ばからだった。戦前も戦後も日本人は米英の戦略であるバランスオブパワーを理解せず、調子に乗る日本人が後を絶たない。
90年代から現在まで「失われた○○」と言うようになって、「株式日記」では米中による日本封じ込めであると書いてきました。GDPでも日本は中国に抜かれて経済大国から転落してしまった。米中は定期的に会談を開いて米中は「戦略的パートナー」と呼び合うようになった。日本もこれに対抗する戦略を打ち出すべきと思いますが、日本には外交戦略家がいない。
いたとしても「吉田ドクトリン」を墨守するのみであり、対米従属外交を変えなかった。アメリカが一極覇権国家であるうちはそうせざるを得ないと言うのが日本の外交なのだろうか? 参考になるのはベッカー氏が言うように中南米国家であり、中南米はアメリカにやりたい放題の事をされて来た。その結果中南米は反米国家だらけになってしまった。
ベネズエラのチャベス大統領は反米の旗頭となり、CIAも手が付けられないほどになってしまった。民主党の鳩山政権もアメリカからチャベス呼ばわりされましたが、やりすぎれば反米政権が出来るのは当然であり、米中の日本封じ込め戦略は明らかにやりすぎだろう。ベッカー氏はアメリカの友好国は東南アジアしか残っていないと語っていますが、東アジアには未だに冷戦構造が残っている為だろう。
しかし、1997年のアジア金融危機によってアジアの多くの国がIMFの管理下に置かれて、多くの企業が米国資本に乗っ取られてしまった。その結果韓国ではノムヒョン政権が出来て反米国家となりましたが、残る親米国家は日本ぐらいしかない。フィリピンですら米軍基地は撤退させられた。その日本が鳩山政権が出来て沖縄の海兵隊基地の海外移転を求めましたが、鳩山政権はすぐさま失脚させられた。
アメリカは9,11以降、一極覇権主義を露わにしてブッシュ大統領は世界に向かって「敵か味方か二つに一つ」と脅しましたが、今やアメリカは世界を敵に回して友好国と言えるのは韓国とイスラエルくらいになってしまった。中国の脅威に晒されている台湾にすらF16の売却をしないのだから、アメリカは台湾を切り捨てて中国を取ったのだろう。
ベッカー氏は米国資本について、「確かに中南米ではバナナの農園を経営し、キューバでは砂糖の生産基地を作って、ハワイではパイナップル栽培のために、米国資本は独占的な経営を過去に行ってきた。」と述べていますが、フィリピンも主食である米を輸入しなければならないのは、米国資本によってプランテーション化されて、パイナップルやバナナばかり作って米を作れなかった為だ。
アメリカ帝国にとっては農業ですら略奪の対象であり、アメリカの農地はやせ細って砂漠化が進んでいる。藤原氏はアメリカの農業を、「特に酷いのは科学技術の濫用であり、農民の手間が省け収穫が多いと宣伝し、遺伝子組み換えの種(GM=genetically modified)が売り込まれている。しかし、自然界に存在しない異常な種は、生態系を狂わせ、ことによると生命が絶滅する原因になる。この悪魔の発明はモンサント社の仕事です。」と警告していますが、アメリカは自然すら科学力で支配できると思い込んでいるようだ。
日本では民主党政権が出来て、アメリカとは2年半も公式訪問が出来ない状況になっていましたが、野田総理との会談でTPPなどが押し付けられるのだろう。そしてモンサント社の遺伝子組み換え種子を買わされるようになる。まさに遺伝子組み換えは科学技術の暴走ですが、日本に軽水炉型原発を押し付けたのもGEと言うアメリカの会社だ。その結果原発事故が起きて人が住めない国になりつつある。
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