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産経新聞 1月9日(日)16時16分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110109-00000523-san-bus_all
【アジア電力事情】(2)
「海外事業は、収益性の面でも期待できる」(真部利応社長)と、九州電力は東南アジアを中心に、現在300億円の海外投資を2020年までに1千億円に引き上げる計画を立てた。その計画達成の中核部隊として事務所を設立したシンガポール。東京都ほどの面積しかない小国ながらも、ヒト・モノ・カネの強い吸引力で、東南アジアにおける独特の地位を保っている。
リーマンショックから、いち早く立ち直ったシンガポールは2010年の実質国内総生産(GDP)成長率13%を確保する見通し。日本貿易振興機構(ジェトロ)シンガポール・センターの前田茂樹所長は「わが世の春を謳歌(おうか)している国」と評する。
1965年にマレーシアから分離独立したシンガポールは人口約500万人。このうち、永住権をもつ外国人は54万人、長期滞在外国人は131万人を占める。民族では中華系76%、マレー系15%、インド系7%と、まさに多民族国家だ。
日本よりも小さく、資源もない国が、なぜわが世の春を謳歌できるのか。前田所長らが第1に挙げるのは「政治の安定」だ。
与党にきわめて有利な選挙制度もあって、国会議員84人のうち、野党はわずか2人。この状況が独立以来続いている。さらに長年にわたってリー・クワン・ユー元首相(現内閣顧問)がトップに君臨。すべてを取り仕切ってきた。
長年、シンガポールに駐在してきたジェトロシンガポール・センターの山口正路氏は「この国を『豊かな北朝鮮』と揶揄(やゆ)する人もいる。しかし、強力なリーダーシップの下、アジアにありがちな『人治主義』に陥ることもなく、政策を決めて実現してきた」と語る。
有無を言わせず国策として、インフラ整備と労働生産性向上に努めた。民族・宗教間の争いも目立ってないことから、欧米や日本から多くのエレクトロニクス企業が同国に立地した。マレーシアなどアセアン各国から安い部品を調達し、シンガポールで組み立て、再輸出している。最近では製薬・医療機器メーカーの進出も目立つ。
九州電力のようにアセアン全体の中核として進出した企業のほか、シンガポールを市場と見込む企業も多い。味千ラーメンを展開する重光産業(熊本市)は1997年に進出。ラーメン「一風堂」の力の源カンパニー(福岡市)も2009年に1号店を出した。
豊かな国に集まるのは企業だけではない。いま、シンガポールでは中国や韓国の富裕層が、子供連れで長期滞在しているという。
シンガポールの旅行会社で働く女性は「治安が良く英語圏であることから、子供の留学先として人気が高まっているようです。ここで英語と専門分野の知識を身につけ、将来は欧米の大学を目指す家庭が多い」と語る。オーストラリアと同じように英語教育を国の産業として振興している。シンガポールの吸引力は、しばらく強まりそうだ。
(小路克明)
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