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パンにハムをはさむニダ 第５回韓国天安号沈没事件（その２）【マガジン9条】
http://www.magazine9.jp/kim/100519/
ここにきて韓国天安号沈没事件をめぐる日韓のメディア報道が慌ただしい。
５月１５、１６日韓国慶州で日中韓の外交会談が行われた。日本からは岡田外相が参加。 翌日５月１７日の朝日新聞の朝刊一面には、こんな記事が掲載された。「『北朝鮮の魚雷と判断』韓国外相、岡田外相に」。新聞によると、岡田外相は、韓国支持をすぐに表明したそうだ。
そして５月１８日の韓国の各メディアは「（天安号の沈没は）北朝鮮の攻撃であったと発表する方針」と報道した。（KBS日本語版）http://world.kbs.co.kr/japanese/news/news_Po_detail.htm?No=36746&id=Po&page=1
同日、イ・ミョンバク大統領はオバマ米大統領と電話通話を行ったそうだ、今後鳩山総理とドモトリーロシア大統領にも協力を要請する予定がある、という発表もあった。
慶州での外交会談の際には、中国代表は「確かな証拠を持って北朝鮮説を主張してほしい」との立場を表明していた。２５日にはクリントン長官の訪韓が予定されている。おそらくアメリカは今の中国との関係を考えれば「対北攻撃は避ける」という分析が一般的である。米中が懐疑的な立場を示している中、韓国政府内の主戦論者が日本の支持を期待しているという見方もある。 http://www.mediatoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=88323
前回のコラム「もうひとつの米軍基地のはなし」で書いたように基地問題や徴兵制、米軍戦略などは全て繋がっている。例えば日本ではもうすぐ参議院選挙があるから、鳩山政権は普天間問題にどうにか変化を求めているだろうが、韓国でも６月２日に地方選挙がある。哨戒艦沈没事件にまつわる発表や動きについては、選挙をにらんで動いているだろう政治家たちの利害関係にも注意すべきかもしれない。
実際に韓国国内の雰囲気はどうなのか。以前「韓国天安号沈没事件」で話を聞かせてもらった安悪喜さんに再び尋ねることにした。「日本のメディアが引用している、韓国内の世論を伝えている韓国メディアは、右よりのメディアです。『北朝鮮ではないことを望む』という人も多くいます。韓国は徴兵制国家で軍隊がどのように働いているか多くの人々が知っています。北朝鮮の攻撃で韓国の軍艦が沈没したのであれば、深刻な安保危機であると市民はよく知っています。今の米韓防衛条約の中、北朝鮮が攻撃してくることはあり得ないと思う人も多くいます」
「事件は日々迷宮入りに近づいており、軍当局は情報を公開していません。そして保守メディアは『北の仕業』であるときめつけて『人間魚雷説』など、あらゆる憶測を広げています。私はこの事件は永久に未解決事件になる可能性も高いと思っています。問題はこのようなあいまいな憶測が、死んだ人々のに対して、何の慰労にもならず、メディアと政治家はこれをきっかけに、選挙戦における優位を固めようとするばかりであることです。彼らには東北アジアの安保や平和には関心がありません」
さらに民軍共同調査団の一部から「軍の証拠隠ぺい疑惑」についても、１８日に多くの韓国メディアに報道されている。
以上の状況をまとめると、調査結果が出る前の段階で、国連安保理で中国が支持しない限りは韓国の対北制裁に実効性があるわけでもない。問題はこの騒ぎがイ・ミョンバク政権の「選挙向けの国際世論固め」の一環であることだ。韓国ではこのような選挙戦略を「安保商売」と呼ぶ。
ところで北朝鮮当局は事件への関与を否定しているが、それらの発表は日本の在日朝鮮関係の機関紙を通して行われていた。実は、最初私は「日本の北朝鮮系の団体などにこの事件に関する見解を聞いてみよう」とも思ったが、残念ながら私たち韓国人にはそれができない。韓国には「国家保安法」という法律がある。これは戦前日本の「治安維持法」を真似たもので最近はゆるくなったとはいえ、北朝鮮に関する情報に近づくことが基本的に封鎖されている。この国家保安法はその適用範囲が異常に広く、つい最近も国会図書館で普通に貸出ができる本を「不穏思想書を売っている」と古本屋が起訴されたり「金正日の名前でクラブで客引きをやる」と捜査を受けたりするような荒唐無稽な事例もある。つまり韓国では北朝鮮に関する情報が統制されながら現体制が維持されているとも言える。だから、言論の自由がある日本のメディアが持つ役割は重要である。（韓国でもし本物の北のスパイを見つけたら「スパイ通報の１１１」に通報すれば沢山賞金がもらえる）
専門家でもない私が、「国際政治」を語りたいわけではない。本当に「この事件」でみなさんに考えてもらいたいことは、なぜ無理やり徴兵された２２歳になったばかりの青年が犠牲になり、青年の家族は警察から監視されなければいけないのか？ この現実は正に今、徴兵へのカウントダウンが始まっている私自身が直面していることでもある。せめて日本は、「韓国産徴兵奴隷」の亡命を受け入れることはできないだろうか？
【お知らせ】
雨宮処凛さん、伊藤真さんと一緒に出ます！
※マガ９学校「憲法と軍隊 日本と韓国から考える」
日時：2010年6月26日（日）15：00〜18：00
場所：カタログハウス本社地下二階セミナーホール
参加費：１０００円
詳しくはこちらをご覧ください
http://www.magazine9.jp/gakko/pre/
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「パンにハムをはさむニダ」の本文のリンクには韓国で貼られているスパイ通報ポスターの映像がみれます。
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