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パンにハムをはさむニダ 第4回『もうひとつの米軍基地』のはなし【マガジン9条】 http://www.asyura2.com/09/asia13/msg/627.html
韓国からの留学生キム・ソンハの「パンにハムをはさむニダ」 (転写開始) 私は08年夏に大学のフィールドワークに加えられ沖縄に行ったことがある。那覇空港に着いてすぐに、戦時中住民が隠れていたという「ガマ」に入ってみた。また集団自決被害者の遺族に会ったり、嘉手納基地、コザ暴動の場所などにも行けたので重要な経験だったと思う。フィールドワークの内容は暗い話が多いが、個人的な沖縄の感想はそうでもない。地方放送のアナウンサーが着ていた「かりゆしシャツ」や国際通りの市場など、南国の雰囲気がとても印象的だった。機会があれば今度は是非、遊びで行きたいと思っている。 沖縄のことはそれほど詳しいとは言えない私なので、今回はもうひとつの基地の話をしたい。 ソウルを訪れる日本人観光客は毎年増えているようだが、ソウルに米軍基地があることを知っている人は少ないようだ。ソウル市内の真ん中にあるこの基地の名は「ヨンサン基地」。2.9平方キロの広さで6000人あまりの米軍人、そしてその家族が生活している。中には軍事施設のほかゴルフ場、ホテル、大学までがあり、まわりは壁に囲まれて韓国人は立ち入り禁止区域になっている。 まだ私が日本に来る前の話である。夜の10時、基地周辺のバーガーキングで食事をしていたらいきなり武装した米兵が7、8人入ってきた。何か問題を起こした米兵の捜査を行っているようで、一回店の中を回ったらすぐに外に出ていったが、武装した人間に接触したのはこれが初めてである。 沖縄と同様に事件事故も頻繁にあってクラブなどで韓国人と揉めたりすることはよくある。02年6月には米軍の軍用車両が女子中学生二人を踏み殺した事件は起きた。この事件は全国的に反発を呼び、平等な対米関係を主張していたノ・ムヒョン政権誕生にも大きな影響を与えた。 またこの米軍基地の存在は徴兵制との関わりもある。在韓米軍には「KATUSA」という制度があるが、これは韓国軍が徴兵した人材を米軍に貸し出す形になっている。今年の募集人数は2040名、競争率は7対1ほどである。これに入るために英語を勉強する人もいるくらいでその推薦は公開的に行われる。その人気の理由は「米軍のほうが待遇がいいから」。もっと具体的にいうと「米軍は殴らないらしい」、「給料も出る」、「アパートで生活できる」。 更にアメリカ本土の米軍に市民権を求めて入隊する韓国人も多い。09年米軍に入隊した外国人の3分の1は韓国人である。彼らは市民権のかわりにイラクやアフガニスタンに送られている。07年には米軍に入隊した韓国人青年がイラクに行く直前韓国に帰国、そのまま韓国軍に徴兵されるが再び脱走し、ソウルの米軍基地で(米軍の)脱走兵として逮捕された。韓国軍はこれをまた(韓国軍の)脱走と規定し米軍に引き渡しを要求したが、米軍側はこれを拒絶した。 アメリカと韓国の間では「首都の基地だけはどうにか撤廃しよう」という交渉が何度も行われていた。しかし韓国内の政治対立もあって決裂しつづけている。その内容はここで説明しきれない非常に複雑なものであるが、「結局どうすればいいか」は「誰も分からない」。今の日本とも似ているものである。 地図にソウル、平澤(ピョンソク)、横須賀、佐世保、沖縄など米軍基地を繋げる線を引いてみると米軍戦略図がよく分かるだろう。つまりこの問題の解決にはアメリカのアジア戦略の根本的な見直しが必要であって「日本」とか「韓国」といった一国で解決できるようなものではない。またこの連載の二回目に紹介した「軍艦沈没事件」も報復戦争でも起きるとすれば、韓国軍の作戦権は米軍にあるので米軍からすると沖縄基地の存続根拠はより重要なことになる。 このように広い視野でみればソウルと沖縄の基地問題は無関係ではないことが分かる。政治家たちもこれくらいは知っているだろう。しかし韓国でも日本でも私は政治家からはこうした分析は聞いたことがない。 だから私としては沖縄の人々の気持ちがなんとなく分かるような気がする。 現実的な解決のためには、東アジアにおける防衛協議機関が必要かも知れない。日本と同じく米軍基地を持ち、更に米軍に入隊できたことをよろこぶ様な今の韓国の現実も、沖縄の人々に伝えておきたいと思う。 関連記事 韓国からの留学生キム・ソンハの「パンにハムをはさむニダ」より【マガジン9条】(第1回 バンドのための兵役拒否計画のはじまり〜!) 韓国からの留学生キム・ソンハの「パンにハムをはさむニダ」より【マガジン9条】(第2回 韓国天安号沈没事件 その1) パンにハムをはさむニダ 第3回サンチュに豚バラをはさむ【マガジン9条】
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