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議長のコメント
文明間の対話・時間の論理
わが国は独立以来、宗教人と宗教全体に対する姿勢を根本的に変更し、「信仰と宗教団体の自由に関する」法律を旧ソ連諸国で最初に採択しました。40宗派に属する130民族集団の代表がカザフスタンで平和的に共存しています。この点で、アスタナが多様な宗派指導者たちの対話のための会合場所と開催指定地になったことは偶然ではないのです。
カザフスタンで世界伝統宗教の指導者たちの会議を主催するというヌルスルタン・ナザルバエフ大統領の構想は、世界中の地域社会から広く支持されました。このフォーラムの目的は、世界伝統宗教の普遍的指導原理を探求すると共に、多様な信仰と文明間の対話の促進のために定期的に活動する国際的宗派間機関を確立することです。
「宗教の対話から文明の和解まで」と題する第1回会議が2003年9月にアスタナで開催されました。イスラム教、キリスト教、仏教、ヒンズー教、道教およびその他宗派を代表する17宗教団体がフォーラムに参加しました。参加者の善意とフォーラムの人道的考え方には世界中から賞賛が集まりました。
その3年後、第2回サミットがカザフスタン首都に特別に建設された平和と協調の宮殿で開催されました。この重要な宗派間フォーラムには、欧州、アジア、中近東、アフリカから29宗教代表団が集いました。
神社本庁統理久邇宮邦彦王が率いる日本代表団も会議に出席しました。国家、国際団体、宗教指導者からの挨拶に加え、全日本仏教会理事長安原晃師からのメッセージも受け取りました。
第2回会議の議題は、宗教間のパートナーシップの育成に重点が置かれました。フォーラムへの挨拶で、ヌルスルタン・ナザルバエフ大統領は、近代文明の価値を守り向上させるパートナーシップ強化の必要を力説しました。
大統領は、ほとんどすべての大陸で時折生じる複雑な争いは、政治や武力による手段だけでは解決できないことを強調しました。この点、大統領は、近代世界の異宗教間対話に関する原理の概要を示し、これは会議で採択された共同公式文書「宗教間対話の原理」に盛り込まれました。
それらは総じて、相互理解の原理と位置付けることができます。すなわち、対話は、誠実、忍耐、謙遜、相互尊重に基づくべきであり、その最も重要な原理は、他者の神聖な分野へ侵入することを意識的に放棄することです。
ヌルスルタン・ナザルバエフ大統領は、「イランの聖職者とイスラエルのラビ(師)、インドとパキスタンの精神的指導者、その他宗教界の大物の代表たちが1つの交渉テーブルに就き、その会議で起きた精神世界の指導者たちの対話が、際限ない争いに巻き込まれたすべての人たちの間で開催されるなら、相互理解と和睦は間もなく達成されるでしょう」と語りました。
第2回会議において、「対立のイデオロギー」を「平和の文化」に代えるという世界のニーズを反映した共同宣言が採択されました。宗教界の指導者たちは、文明の不可避な衝突という神話を克服し、宗教間のパートナーシップを強化して、近代世界に異宗派間対話の共通原理を適用すべきであることを全員一致で認めました。
アスタナの精神的指導者会議は、多様な宗派代表者が建設的な努力を結集する試み全てが、宗教の相互理解と協力に向けた一歩であり、世界の緊張克服に大いに役立つとことを理解し、知る一助となりました。
日本代表団の一員である薗田稔がこうした考え方を支持し、大いに賞賛したことを知り嬉しく思っています。彼は、アスタナで始まった宗派間対話をあらゆる国で継続すべきであると強調しました。
カザフスタンがすでに2回の宗教指導者会議を主催したことは、注目に値します。それは、広く複雑な地政学的地域において、忍耐と協調の見本となる国が平和と安定の確保に決定的要因となることの強力な証拠です。これに関し、ヌルスルタン・ナザルバエフ大統領は、国連での演説で、この重要な組織の主催による世界伝統宗教指導者の第3回会議を開催するよう提案しました。
2010年を文明和解の国際年と宣言するカザフスタンの新イニシアティブは、2008年1月にマドリッドで国連が主催した第1回文明間同盟フォーラムで賞賛されました。昨年11月、国連総会で国連組織の参加と技術的支援による第3回会議を開催する決議が採択されましたが、これは国際紛争を解決し、グローバルな脅威に対処し、外国人嫌いと不寛容を克服する世界の宗教の精神力活用に向けたさらなる一歩でした。
7月初め、世界の宗教指導者たちは、カザフスタンの首都で第3回会議を開催し、忍耐、相互尊重および協力の世界を構築する問題について議論します。日本側がアスタナでこの重要なサミットを開催するイニシアティブを支持してくれたことを感謝しています。
カザフスタンと日本は、あらゆる形とマニフェストで民族宗教的過激主義も受け入れず、かつ阻止していますが、これは私たち両国民の日常生活の規範となっていることは言及に値します。たとえば、異民族間と異宗派間の協調に関するカザフスタン社会の原理は、相手側宗教の信条を排除しない忍耐を説く、仏教と神道という2つの宗教を共存する日本のユニークな経験と一致します。
日本代表団の一員である薗田稔がこうした考え方を支持し、大いに賞賛したことを知り嬉しく思っています。彼は、アスタナで始まった宗派間対話をあらゆる国で継続すべきであると強調しました。
ユーラシアの中心と大陸中央部に位置し世界で9番目に大きな国であるカザフスタンは、アジアとヨーロッパをつなぐ懸け橋です。このことが、わが外交を形作り、バランスのとれた政策アプローチを選択する決定的要因となっていました。
それが、独立早々にわが国が平和外交の原理遵守を宣言し、国の安全保障を確保する問題と、宗教と世界の双方における相互信頼と協力の環境を作り出す問題とを結びつけてきた理由です。
わが国は、国際社会の責任ある一員であることを証明しました。つまり、カザフスタンは、自主的に世界で4番目に大きな核兵器工場を放棄し、世界最大のセミパラチンスク核実験場を閉鎖しました。こうした前例のない運動は、国際安全保障の向上に貢献し、一般国際社会とりわけ日本から賞賛されました。
カザフスタンは、欧州、北米、中央アジアの56カ国からなる欧州安全保障・協力機構(OSCE)の今後の議長職を、多極化した世界において安全保障構造モデルを求める重要な一歩であると見ています。欧州安全保障とカザフスタンを欧州機構に段階的に統合する機会の実現を支持するため、文明化された東西の一部である「欧州に向う道」プログラムが策定されました。
わが国は、偉大なシルクロードを回復するこの途上にある分裂路線を排除するため、一致協力し努力してきました。
カザフスタンと日本は強い関係で結ばれており、その特徴として、相互尊重および友好、パートナーシップ、協力に対する情熱があります。
カザフスタンの統合プロジェクトと核不拡散条約加盟ならびにアジアで交流・信頼創出対策会議を開催する私たちのイニシアティブを支持する日本の積極的姿勢は、両国が同様のアプローチを持つことを証明しました。さらに、日本は、カザフスタンが国連安全保障理事会の非常任国として日本選出を後押しした事実を歓迎しました。
カザフスタンと日本の緊密な協力を促進する日本のユーラシア外交の論理的継続は、核兵器不拡散、民主主義および安定化を通じ、地域における政治的対話と経済協力の進展、平和の推進を目的とするシルクロード外交でした。
2008年6月、ヌルスルタン・ナザルバエフ・カザフスタン大統領による日本公式訪問は、両国関係を著しく強化しました。訪問中に、軍縮進展に対する傑出した貢献、国際安全保障と平和、忍耐および国際的調和強化に関する世界的イニシアティブに対し、国家元首に日本の最高位の勲章、大勲位菊花章が贈られました。
日本国天皇には、両国間の友好と相互理解強化への貢献に対し、外国指導者に付与されるカザフスタン最高位の勲章、アルチン・キラン章が贈られました。
カザフスタンと日本の貿易と経済協力は増大してきました。カザフスタンの首都の基本計画は日本の著名な建築家、黒川紀章が設計し、またアスタナ国際空港は日本の援助で建設されました。
議会間の連携も強化されてきました。わが国の意向に十分沿う国会議員からなる推進会議である、カザフスタン・日本議会同盟は、10年以上活動してきました。
同時に、カザフスタン上院には日本との協力に関するグループがおり、下院であるマジヒリスが同グループを設置しました。
第3回世界伝統宗教指導者会議に招待された神社本庁と全日本仏教会の指導者、江田五月上院議長を迎えることを楽しみにしています。
カザフスタンと日本の緊密な協力を促進する日本のユーラシア外交の論理的継続は、核兵器不拡散、民主主義および安定化を通じ、地域における政治的対話と経済協力の進展、平和の推進を目的とするシルクロード外交でした。
きたるアスタナのフォーラムに向け周到な準備を行ってきました。世界伝統宗教の指導者と代表者、欧州、アメリカ、アジア、アフリカ、中近東からの名誉あるご来賓が活動に参加します。成熟した対話の促進と、フォーラムで採択される勧告の策定を手伝う参加者の中に著名な政治家たちもおりますから、きたる会議はこれまでとは異なるものになるでしょう。
フォーラムに先立つ会議事務局の会合では参加者からのすべての提案を検討し、会議では、忍耐、相互尊重、協力の世界を構築する宗教指導者の役割に関する問題を議論することに決定しました。部会の名称は「道徳と精神的価値、世界倫理」、「対話と協力」、「特に危機の時代における連帯」です。
こうして、カザフスタンの首都は、国際的議題の最も切迫した課題に関する世界宗派代表者の対話のための、伝統的開催指定地になりつつあります。きたるフォーラムは、忍耐、相互理解、対話と協力の原理を強化する国際社会の努力にもちろん貢献し、地球の平和と協調を推進する着実な一歩となるでしょう。