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ネパール・毛派政権崩壊、参謀長解任問題で首相が退陣表明【読売】
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20090504-OYT1T00717.htm
4日、カトマンズの執務室でテレビ演説を行い、辞任を発表するネパールのプラチャンダ首相(ロイター)
【ニューデリー=永田和男】ネパールのプラチャンダ首相は4日、テレビ演説で辞任を発表した。
自身が3日に発表したカタワル陸軍参謀長の解任にヤダフ大統領と主要政党がこぞって反対し、政府内で孤立したためと見られる。首相が率いる、制憲議会最大会派のネパール共産党毛沢東主義派も政権を離脱、政局の一層の混乱は避けられない事態となった。
演説で首相は、「大統領は一方的な決定を下した、各党は我々に陰謀を働いた。民主主義と平和を擁護するため、私は辞任する」と述べ、大統領らへの抗議の辞任であることを強調した。
大統領は今後、第2党のネパール会議派(110議席)、第3党の統一共産党(103議席)に組閣を要請するが、毛派(220議席)は依然として圧倒的な最大勢力。新たな連立与党ができても、不安定な政権運営を強いられることになりそうだ。
プラチャンダ首相は、カタワル参謀長が、内戦を戦った毛派兵士1万9000人の軍への編入を「共産主義思想に教化されている」ことを理由に拒み続けたため、解任に踏み切った。だが、元ゲリラの毛派兵士は最近も各地で暴力事件を繰り返し、軍への受け入れには各方面から反対の声が上がっていた。
大統領は、3日深夜にカタワル参謀長に執務継続を要請する書簡を送って、解任を事実上却下していた。王制廃止と同時に合意された暫定憲法では、大統領が軍の名目的な最高司令官とされたが、軍の指揮には内閣の承認が必要とされた。それ以上、軍の人事などを巡る大統領と首相の役割分担は明確に規定されなかった。
首相は4日のテレビ演説で、「憲法上、大統領には首相の決定を覆す権限はない」と主張した。だが、陸軍司令部ではカタワル参謀長が解任を拒否して居座りを続け、軍と大統領、他政党による「毛派包囲網」が形成されたのを見て、辞任に踏み切った模様だ。
毛派は、昨年4月の制憲議会選で第1党となったが、長年国政を担ったネパール会議派は毛派主導の政権に加わるのを拒み、連立交渉は難航。8月のプラチャンダ政権発足後も、連立与党内の足並みはそろわず、高まっていた毛派と他の与党の間の不信が、参謀長解任を機に噴出した。
ネパールは、10年あまりの内戦と昨年5月の王制廃止を経て、2010年5月までに新憲法を制定して新しい国のあり方を決めることを目指していた。今回の最大与党の政権離脱という異常事態で、この和平プロセスも重大な危機を迎えた。
(2009年5月4日22時16分 読売新聞)