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アル・カーイダは米国のプロパガンダ機関か?
勢いを増すばかりの“対テロ戦争”
忘れもしない2001年9月11日――ニューヨークの世界貿易センタービルに飛行機が突き刺さっているという衝撃的な映像が世界を震撼させた。9.11同時多発テロ事件である。そして、その容疑者として世界に名を広めたのがイスラム教急進派の国際テロ組織「アル・カーイダ」であった。
テロへの怒りと憎しみが全米に充満し、やがてブッシュ米大統領は、その非難の矛先をアフガニスタンに向けるようになった。アル・カーイダのリーダーであるウサーマ・ビン=ラーディンを保護しているのが、アフガニスタンのタリバン政権だと考えられたためである。そして、事件から1ヶ月も経っていない同年10月7日には、米国を中心とした連合軍がアフガニスタンを舞台に対テロ戦争を開始した。米国に続き英、仏、独、伊、蘭、カナダなども派兵した他、日本の自衛隊も後方支援を行った。
この対テロ戦争開始から7年、このような大規模部隊の展開にもかかわらず、未だ「アフガニスタン情勢は落ち着かない」という。タリバン政権は一度政権の座を追われるも、近年、特に2006年以降南部からじわじわと支配力を増しているという。アル・カーイダ指導者ウサーマ・ビン=ラーディンの行方も「不明」なままである。「だから」米国勢は更にこのアフガニスタンにおける対テロ戦争を大規模なものにしようとしている。実際、米軍は今年夏までに2万から3万の増派を予定しており、また英・独・仏などの欧州勢にも増派するよう求めているというのだ。
しかし、ここに1つの疑問が残る。他ならぬ世界一の軍事大国、そしてインテリジェンス大国である米国が中心となって7年以上の掃討作戦を実行しているのだ。にもかかわらず、なぜ事態は収拾へと向かわないのだろうか。アル・カーイダ、そしてタリバンは、米国が本気を出してもなお手に負えないような相手なのだろうか。
アル・カーイダの存在を否定する英国元外相
マーケットとそれを取り巻く国内外の情勢をめぐる「潮目」をウォッチする中、この関連で気になる分析が1つあった。英国のロビン・クック元外務大臣が、なんとアル・カーイダの存在を否定し、「この組織は米国が対テロ戦争という名目で世界をリードするために作られたものにすぎない」と述べたというのである(2008年12月24日付カナダ・グローバル・リサーチ参照)。これを口にしたのは陰謀論好きの作家でも、いわゆる反米メディアでもない、英国の元外務大臣なのだとこの分析はいう。そしてその中身は、痛烈な米国批判をも意味する。
クック(1946年2月28日-2005年8月6日)は、1974年に労働党の下院議員に当選し、1997年から2001年の間ブレア政権下で外務大臣を、2001年には下院院内総務を歴任した人物である。クックは労働党内でも論客として知られており、独自の外交論を持っていたことで有名だ。例えば彼が、イラク問題は国連決議を通じてのみ有効な対処ができると主張し、ブレア首相と真っ向から対立していたことは有名な話である。クックは自国の首相や米国の政策をためらうことなく批判できた人物なのである。彼はアル・カーイダによるテロは米国の自作自演であるという米国批判も堂々と行っていたのだ。クックのこのような「勇気ある」発言は、沢山の敵も生み出したことだろう。2005年、彼がスコットランドで山歩き中に心臓発作で倒れ、59歳の若さで死去したのは気にかかるところである。
クックがこのような発言を行ったとされたのは過去のことであるが、そのような「英国元外務大臣の対米批判」が突拍子もなくカナダ・メディアで取り上げられたことは“異様”だと言えよう。しかもよりによって、米国の政権交代を前にして、である。これは米国における政権交代という「潮目」に合わせ、英国勢が何らかの新たな展開を起こす可能性も意味しうる。しかし、それはなぜなのだろうか。
第1に考えられるのが、やはり対テロ戦争における米国のターゲットとなっているタリバン政権と英国勢の「裏の繋がり」である。実は、英国勢が対テロ戦争に関して“異様な”発言を行ったのは初めてのことではない。2008年10月には、英国政府関係者が「最終的に西側諸国は5年から10年以内に無難な独裁者(=タリバン)を政府として擁立させなければならないだろう」と予測していることが報じられている(2008年10月1日付カナダCBC参照)。また、同年12月にも英国の現外務大臣が「アフガニスタンのタリバンとアル・カーイダは戦略的な脅威ではない」と述べている(2008年12月13日付米AP通信参照)。これは、アフガニスタンにおける対テロ戦争の重要性を謳っている米国を突き放す発言として捉えられよう。その裏では対テロ戦争を早く終焉させたいタリバン政権と英国勢の“コネ”を感じずにはいられない。
第2に考えられるのが、英国勢が米国における軍事産業の拡大を止めたがっているということである。実際に米国では、対テロ戦争が始まった2001年から軍事費が増え続け、2008年は同年と比べて2倍近くになっているという。それだけ米国では軍需が高まっているということである。更に米国では2018年に新たな戦略爆撃機を採用する予定がある。その新型導入に向けて需要を絶やさないようにしていくのが米国軍事産業にとって重要になってくるだろう。しかし既に軍事大国の座を築いている米国が、対テロ戦争で軍事マーケットを拡大させていることは、世界第3位の防衛航空宇宙企業であるBAEシステムズを抱える英国勢にとって「不愉快」なのかもしれない。今回の報道は、そうした軍事マーケットの視点から対テロ戦争を終わらせたいという勢力の「声」の表れなのかもしれない。
いずれにせよ、このような発言の数々は対テロ戦争の継続、拡大を謳っている米国にとっては不利なものであろう。「米国の属国」とも皮肉られる英国が、対テロ戦争を通じて見せている「米国離れ」の動き。これに対する米国の反応、そして米英関係の先行きが気になるところである。
アル・カーイダと米国の政党
このような米英関係を含めた最新の国内外情勢が示すマネーの「潮目」について、私は2月7、8日に東京・横浜、21、22日に大阪・名古屋でそれぞれ開催するIISIAスタート・セミナー(完全無料)で詳しくお話したいと考えている。
さて、ここまでは「アル・カーイダは米国の対テロ戦争を正当化するプロパガンダ機関」という発言から読み取れる英国勢の“本音”を取り上げてきた。しかし、政権交代直前という点に着目すれば、米国内における新たな展開を暗示するものとしても読み取れないだろうか。
我が研究所ではかねてより、2009年1月にオバマ新大統領が就任早々「デフォルト(債務不履行)宣言」を行う可能性があるとの予測分析をお伝えしてきた。そうともなれば、米国がデフォルトせざるを得ないほどの苦境を作り出した「ブッシュ元大統領」については様々な方面から「メス」が入れられ、多くの情報公開があると考えられる。たとえデフォルト宣言までいかないにしても、現在の米国における「危機的状況」の原因追究のため、過去のブッシュ政権下における政策の様々な情報が掘り起こされていく可能性はあるだろう。対テロ戦争もその対象となれば、下手をするとクックが述べていたような情報に行き着く可能性もあるのだ。
しかし、これは日本で余り知られていないことなのだが、実際には米国で「アル・カーイダの脅威」が注目され始めたのは米国民主党政権下である。アル・カーイダは9.11事件以前、1993年に世界貿易センタービルの爆破事件、更に1998年にケニア・タンザニアで米国大使館爆破事件などを起こしている。そして、そのような事件が重なり、メディアでも徐々に多く取り上げられるようになってきたという経緯がある。注目すべきなのは、それらの事件が起きた当時米国で政権を担当していたのはビル・クリントン民主党大統領だったということである。一部では、ビル・クリントン元大統領がブッシュ大統領に対して対アル・カーイダ戦略を提案していたとの情報すら流出している(2006年9月27日付米ナショナル・セキュリティ・アーカイブ参照)。
つまり、「アル・カーイダは問題の集団だ」という認識を広めたのは民主党政権ともいえるのである。とすると、万が一「アル・カーイダと米国が組んでいた」といった情報が開示されれば、それはむしろ民主党自身にとって「不利」なものともなりかねないのである。このことを踏まえれば、政権交代後の米国で「アル・カーイダは、実は米国のプロパガンダ機関だった」といった論調が出てくるのかには疑問が残る。
いずれにせよ、クック元英外務大臣が行ったとされた発言が今後目立ってくるとすれば、それは対テロ戦争を巡る1つの「潮目」となるだろう。それが現実となるのかまだ先は見えていない。が、日本の大手メディアによる表面的な報道のみでは見えない動きも、世界では着々と進んでいるのである。それを常に意識し、先を見越していくことこそ私たち=日本の個人投資家・ビジネスマンに求められることなのだ。
今回の報道からは以上のような次期米政権を巡る「潮目」を読み取ることができるが、他方でこれは「アル・カーイダは危険なテロリスト組織」という“常識”を疑う機会を与えてくれるものではないだろうか。そのような多角的な視点を持つことが、今後情報過多の世界を生き抜くには不可欠になってくると私は考える。この点については今月開催する「新刊記念講演会」において詳しくお話する予定である。ご関心を持たれた皆様には、ぜひご来場いただきたい。
<注:その後どういう訳かグローバル・リサーチ(カナダ)はこの分析をHP上から削除。一部には全く別のフランス系情報機関による工作との見方も出ている。何かが動いているのは確かだが、真相は闇の中だ。>
[新世紀人コメント]
今までにあちらこちらで語られてきた見解と情報であるが興味深い。
クック氏は暗殺されたのかもしれない。
又最近亡くなったハンチントン氏も死因は不明であったとの事で、そんなに高齢ではなかった事から暗殺も考え得るのではないだろうか。
米国と英国はどちらが属国であるのか簡単には判断できないだろう。
ただ、本当に表面に現れた印象を見ると、
英国側の方が、米国側よりも相対的にではあるがよい印象を与える発言をしている事が多い。
そして英国側の方が「いいとこ取り」をしてる印象を受けるのだが如何であろうか?
「それでどうなんだ?」と問われれば、それに応える言葉を私は用意できないのではあるが。
クリントン政権とブッシュ政権は明らかに役割分担をして経済と戦争の計画された戦略を遂行してきたと考えられる。
20日から始まるオバマ政権もその戦略の役割を受け継ぐだけの事であろう。
ビル・クリントンは不倫をばらされたみっともない男の印象を宣伝されて退場した。
ブッシュはイラク人記者から靴を投げられるみっともない嫌われ者として世界中に宣伝された。あれが退場の象徴的場面と言えよう。
では、オバマの退場時にはどのような姿が演出されるのであろうか?
彼ら三人は、大河ドラマの主演役者達に過ぎない。
司令塔が何処にあるのかは不明なのではあるが、この戦略が未来を切り開く性格のものであるとは私にはどうしても思えないのだ。
彼らのやっている事を世界中の大多数の人々が喜ばないからだ。
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