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オバマ米次期政権 イスラエルに 「核の傘」提供か
受け入れれば イスラエル核戦略転換
(朝日 12月12日 朝刊)
[概要]イスラエルの有力紙ハアレツは11日付けで、米国のオバマ次期政権がイランの核攻撃に対抗するために、イスラエルに米の「核の傘」を提供する意向だと報じた。
イスラエルは米の同盟国を自負しているが、イスラム諸国からの脅威には軍が独自に対処する方針を堅持している。もし「核の傘」を受け入れれば、核戦略の方針が転換したことを意味する。
[コメント]
言うまでもなく米次期政権のこの提案は、イランの核開発がイスラエルの核脅威に対抗するためという口実を封じるためだ。この記事には書かれていないが、「イスラエルが核兵器を廃棄すれば」という希望も当然含まれている。
北朝鮮の核実験が行われた時、直後にライス国務長官が「日本にはアメリカの核の傘を提供している」と発言し、日本でおこる核武装論を必死に打ち消したことと同じである。
イスラエルは戦争で国家存亡の危機に直面した時、核兵器を使うことを自国の核戦略として、200〜250発(20年前頃から)の核弾頭と、核爆弾搭載可能な攻撃機や、核弾頭が搭載できる弾道ミサイル「ジェリコ1(短距離・SRBM)」と「ジェリコ2(中距離・IRBM)」を配備している。それをイスラエルが廃棄して欲しいという米側の意味が込められている。
現在のイスラエルの核兵器は全面戦争を抑止した時代が終わり、周辺国の核武装化を誘う要因に変化しているのだ。日本の核武装論者はそのことに気がついていない。
しかしイスラエルが米の「核の傘」を得ても、保有する核兵器を廃棄することは難しいのが現状だ。イスラム諸国に対する根深い不信感と、核兵器の持つ絶対性から離れられないのである。米露中仏英や印パなどの核武装国も同じ思考である。
さらにイスラエルの核は別の問題も抱えている。それは古くなった核施設を維持・更新させるには、莫大な費用が必要という点である。さらに使用期限が越えた核弾頭の破棄の問題と、新しい核弾頭(小型化など)の信頼性を得る核実験が行えないことである。
アメリカは全面核実験禁止条約が発効する前に地下核実験を繰り返し、小型核弾頭の開発などの臨界前核実験に必要なデータを得たといわれる。だから今でも臨界前核実験で新しい核弾頭の信頼性を得ている。しかしイスラエルは再度の核実験が禁止されている。そのため現在の核弾頭の信頼性は格段に低下していると見られる。これを救うためにアメリカがイスラエルに「核の傘」を言い始めたという理由も成り立つ。
果たしてイスラエルがこの提案にどう出るか。もしオバマ新政権がイスラエルの核兵器を廃棄させることが出来たら、今までの核戦略の常識を大きく変える要因になる。日本で日本の核武装を主張する人は、このあたりの軍事常識(核戦略)を知っているのだろうか。