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ケイン号の反乱編集する 2008年09月17日19:59
『ケイン号の反乱』（１９５４年・アメリカ映画）
と言ふ映画が有ります。
この間の連休に、ＤＶＤで、久しぶりにこの
映画を見ました。その「久し振り」と言ふのが、
どれくらいかと言ふと、３９年ぶりなのです。
年が知れてお恥ずかしいのですが、私が、この
映画を初めて見たのは、私が中学１年生だった
１９６９年の秋、「月曜ロードショー」と言ふ
テレビ（ＴＢＳ）の洋画番組で、この映画の日
本語版を見た時の事でした。
その『ケイン号の叛乱』を今回、３９年ぶりに
見て、ため息が出ました。いやあ、凄い映画です。
３９年前、テレビでこの映画を見た時も、中学生
なりに楽しみはしたのですが、本当に深い映画
です。今回痛感した事は、中学生なんかに分かる
映画ではなかった、と言ふ事です。
内容を要約すると、第二次世界大戦中、太平洋
の戦いで、戦線の後方にケイン号と言ふ駆逐艦が
在り、その駆逐艦ケイン号は、永い間、後方に
居たので、乗組員たちは士気が低下し、ダラけ
切って居ました。
そのダラけ切ったケイン号に、キースと言ふ
海軍学校出たての若い将校が配属されます。
彼は、そこで、ケイン号の乗組員のだらしの
無さや怠惰ぶりを見て憤慨しますが、乗組員
のみならず、艦長も怠惰な人物に見える。
そこで、若いキースは、大いに怒りを抱くので
すが、それから間も無くして、そのケイン号に、
クリーグと言ふ新しい艦長が配属されます。
その新しい艦長（ハンフリー・ボガード）は、
前任者とは大違いで、規律に厳しく、だらけ
切ったケイン号の乗組員を鍛え直そうとしま
す。それを、若いキースは、好意的に迎えます。
ところが、次第に明らかに成る事は、その
新しい艦長の厳しさが異常で、部下からの意見
も助言も全く受け付けない人物である事、
そして、それで居て、戦闘に成ると、誤った
判断を下して、問題を起こしながら、自分の
失敗を絶対に認めない異常な性格の持ち主だと
言ふ事でした。
その為、ケイン号の将校の一部は、その新しい
艦長は、精神的に病んで居るのではないか？と
疑ひ始めます。そして、或る日、ついに危機的
な状況が生まれます。
或る台風の夜、台風の中で、ケイン号は沈没の
危機に直面します。ところが、その沈没の危機の
中で、艦長は、誤った判断を下し、自分のその
判断に固執します。そして、部下の意見を拒否し、
艦を沈没の瀬戸際に追ひ込んでしまひます。
その状況の中で、既に艦長が精神的に病んで居
ると確信して居た将校たちは、アメリカ海軍の
規則を根拠として、艦長を解任し、自分たちで
指揮を取ります。そして、ケイン号は、沈没の
危機を逃れるのですが、その後、彼らケイン号の
将校数名は、反乱の容疑を掛けられ、軍の裁判で
ある軍法会議に掛けられます。
その裁判での争点は、事件のこうした流れから、
当然の事ながら、
１．彼ら（ケイン号の将校たち）の行為は
反乱に相当する行為であったか？
２．艦長は、精神的に病気であったかどうか？
の２点にしぼられます。
そして、その裁判（軍法会議）の中で、海軍の検事は、
艦長は事件以前も事件当時も、そして現在も全く
正常であり、その正常な艦長を解任した将校たちは、
単に台風が恐ろしくて、艦長の命令に従わず、艦長を
「解任」したに過ぎない。よって、彼らの行為は
反乱であったと主張します。その主張を証明する
為に、検事は複数の精神科医の証言を提出し、
艦長が精神医学的に何ら問題を持って居なかったと
主張します。
そして、その法廷で、検事は、艦長を解任した将校に、
「あなたは、医者ではないのに、何故、艦長が異常
だと判断出来たのか？」と質問します。同時に、検事
は、喚問した検察側証人の精神科医に、艦長を診察
した際の判断等を聴いて行く。
それに対して、弁護側は、喚問された検察側の
精神科医に対して、彼（精神科医）が、艦長を診察
したのは、陸上であり、海上ではない事。そして、
彼（精神科医）の経歴を質する中で、海上で、診察
した事が有るかと尋ねて、海上での診察経験が無い
事を指摘したりする・・・。
もし、検事の主張通り、艦長は正常であり、将校
たちの艦長「解任」が「反乱」に相当するなら、
将校たちは、死刑に成る可能性が高いのです。
だからこそ、上の二点を巡る検事と弁護側のやり
取りには、緊張がみなぎって居ます。
こんな法廷でのやり取りが為され、ドンデン返しに
至るのですが、いやあ、深い映画です。
今回、５０歳を過ぎた社会人の目で、そして医者の目で
この映画を見て、そのストーリー展開の面白さ、法廷
のやり取りにこめられた法律的な問題、精神科医は
どこまで患者の異常を見抜けるか、と言った問題など
を見せられ、こんな知的な映画を作ったこの時代の
アメリカ社会に畏敬の念を持たずには居られませんで
した。（今のアメリカ映画に、こんな高い知的レベル
の作品は有りません。）
特に印象的だったのは、精神科医たちが、この
艦長の異常さを見抜けないと言ふところで、経験
豊かな精神科医の前でも、艦長が「正常」に振舞って、
自分の異常さをさらけ出さないと言ふ展開に、この
映画の脚本の見事さを感じずに居られませんでした。
（私の話を読んで、このＤＶＤを見る人が居るかも
知れないので、結末は書きません。）
ところで、この傑作映画『ケイン号の反乱』には、
原作と成った小説が有ります。
私は、その原作は読んで居ませんが、この原作の
『ケイン号の反乱』について、或る人が、大変興味
深い話を書いて居るので、下に紹介したいと思ひま
す。
この人が書いておられる事を、皆さんは、どう
受け止められるでしょうか。
２００８年９月１７日（水）
西岡昌紀
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ところで６００万人ものアメリカのユダヤ人という
のは、ほとんどがヨーロッパの戦地を生きのびて、ア
メリカへ戦後やって来た人なのです。彼らはあのナチ
スの体験を直接知っているか、知らなくても、その
体験を親から聞いているわけです。何かことがあれば、
石もて追われるのはユダヤ人だという気持ちがありま
す。「いざというとき帰っていけるイスラエルという
国を守らねば」というのが心のテーマになります。
また、イスラエルのほうでは、６００万人の虐殺の
恐怖を忘れないように、世界のユダヤ人に訴えるわけ
です。特に、アメリカのマス・メディアは三大ネット
ワークをはじめ、ユダヤ人の力が強く、重要な出版社
もユダヤ人が主流です。
じつは、この件に関しておもしろい話があります。
私たちのグループで、この本の協力者でもあるユダ
ヤ人のリチャード・メルソン氏が、こんな話をして
くれました。それによると、最近は、イスラエルが、
アメリカ人にとっても、やっかいな存在になってい
るというのです。「とにかくアラブは金があるんだ
から仲よくすればいいじゃないか。パレスチナ人は
国が欲しいんだから、つくってやって、一緒に世界
経済をよくすることを考えようじゃないか」という
風潮が、アメリカでだいぶ高まっているというので
す。
これは、まさにイスラエルのピンチで、こう
いうときは、まず出るものがあると、彼は二つの
例をあげたのです。一つが『ウィンズ・オブ・
ウォー』といって、今のユダヤ人の年寄りたちに
非常に影響力のあった小説で、これがリバイバル
するであろうということ。そしてもう一つは
『ケイン号の反乱』の復活です。これもユダヤ人
の小説で、映画にもなったので有名ですが、リバ
イバルすると予言したのです。
その一ヵ月後『ウィンズ・オブ・ウォー』が
テレビで放映され、大きな話題となりました。
『ケイン号の反乱』のほうもリバイバルされ、
劇場にかかったようです。
藤井昇＆ケンブリッジ・フォーキャスト・グループ
『世界経済大予言』（カッパブックス・１９８４年）
４０〜４２ページより
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